1
Sep

繊細でインテリ派醸造家:アルザス地方のドメーヌ・アンドレ・オステルタグ*Domaine André Ostertag

お日様の暑い日差しが肌に焼きつく中、私は今日アルザス地方、アンドレ・オステルタグ氏 の醸造所を覗いてきました! アルザス、コルマールの町 に住んでいるアンドレ。とにかくとても可愛くて色が溢れでている町です! とりあえず‘綺麗で清潔’が彼のモットー。 いつも綺麗にしておかないと気がすまない完璧主義者のアンドレ。 確かに醸造所はピカピカに光り、何一つ無駄な物が見当たらなくサッパリとした場所です! フルーツを全面的に表しているワインはステンレスタンクで、そして複雑感をより引き出したいワインは木樽で醸造しています。 そして畑へレッツ・ゴー! アルザスは、フランスの中でも、土壌がとても複雑で有名。 例えば同じ区画でも、4種類以上の石がゴロゴロと転がっていたり・・・ なぜかと言うと、昔、ドイツとの国境に見当たる一つの山が崩れ、地下に潜まれた様々な土壌の種類が表面に上がり、ゴッチャ混ぜになってしまったとか・・ ですので、同じ区画に砂利や白亜、石灰や水晶などが沢山! そしてこの地方で造られたワインは、同じ品種でもテロワールの違いが全く違う味を生み出すので、ビックリするほど楽しいです! この地方では色んな面白い山が見当たります。 例えばハイセンバーグ(Heinssenberg)= 暑い山 標高260m、南方面に立っている事からこの名前になったそうです。 ムッシュバーグ(Muchberg)=シトー会修道土達の山 これは、この山奥にシトー会修道土達が住んでいる教会がある事から名乗られたそうです。この山には不思議なパワーが感じられるとか。。。! アンガースバーグ(Ungersberg)=アルザスの富士山! 嵐が来ると、この山のお陰で、嵐は左右に分かれ、畑(特にフローノルヅとムッシュバーグ)には一切害を与えないのです! アルザスではブドウ木が高い・・・! ですので、他の地方に比べたら収穫中の腰の負担は避けそうです・・・・!(笑) そしてとにかく区画の数が半端なく多い・・・! 例えば、アンドレは5つの村に、120個の区画を栽培しています! 移動だけで大変そうです・・・! そしてブドウを一口パくっ・・・ あま~い!美味しい~! 今年の出来は ?と聞くと 『2008年は特にフレッシュでまろやか!出来は特にいいと思うよ!』 と満足な笑顔で語るアンドレ! それではテスティングをしてみましょう! 試飲室はとてもオシャレでシック! 棚にはアンドレの綺麗なボトルが並べられ、壁には奥さんの絵がズラリと飾られています! アンドレさんのラベルは、殆んど奥さんの作品が使われています!何か素敵ではないですか・・・? さて問題です! このラベルは一体どの絵でしょう・・?! Vielles Vignes de Sylvaner*ヴィエイユ・ヴィーニュ・ド・シルバネール2008 土壌:粘土質 樹齢:60年 とてもまろやかでトロリとした感覚! 花の香りがありえないぐらいフォワーンと漂ってくるのですが、 口に含むとあんがいセックで美味しい~! 何故このワインはこんなに丸みがあるのかと聞いたところ、 マロラクティック発酵、そしてシルバネールの品種が、この特徴を出しているそうです! Pinot Blanc 2008*ピノ・ブラン2008 品種:全てピノなのですが、ピノ・オクセロワ、ピノ・グリ、ピノ・ノワール、ピノ・ド・ブルゴーニュなど、ピノの勢ぞろいです! 土壌:粘土石灰質・花崗岩質 とても繊細でフレッシュ!しかも飲みやすいので、女性の方にはお勧めです! Clos Mathis 2007*クロ・マティス2007 品種:リースリング 土壌:水晶と砂質 甘い白い花の香りとは逆に、とてもミネラルで酸味がスカっとする口当たり。リースリングの畑はいつでも日が当たっているため、毎年一番先に熟されます。しかもの区画は風通しがいいため、とても爽やかなワインが出来上がります! Fronholz Riesling 2007*フロ-ノルズ・リースリング2007 土壌:水晶 とにかくアロマがとても複雑・・・! 花の香り、熟成されたフルーツのアロマ、そしてミネラル感抜群のワインです。 Muenchberg Riesling 2007*ミュエンシュバーグ・リースリング2007 土壌:火山岩が含まれた白亜質 樹齢:20~70年 とてもパワフルでまろやかなワイン。 特に甘さと酸味のバランスが最高!そして何といっても、火山岩を特徴とした土壌が、ブドウに大きな力を与えて、より力強いワインと出来上がっています! Pinot Gris Barrique 2007*ピノ・グリ・バリック2007 土壌:粘土石灰質・シスト質・砂利質(3つの区画から収穫されたブドウ) スパイシーでとても複雑な味わい!掘れば掘るほど様々なアロマが湧き出てきます・・・!特に梨のような香りがグ~~! この『複雑感』がまさにアンドレが捜し求めていた特徴! そしてこの『シスト質』の土壌は、この地方では結構珍しい! A360P 2007*A360P 2007 土壌:砂岩、石灰、そして火山の溶岩が固まって出来た石 何故A360P?それはこの区画のナンバーがA360Pだったから・・・ とりあえず香りにしても味わいにしても、とても奥が深いと感じるワイン・・そして繊細!このワインはアンドレの性格がとても良く出ています、特に繊細な部分は彼そのもの! Gewurztraminer Vignoble d’E 2008*ゲヴュルツトラミネール・ヴィニョーブル・ドゥ2008 土壌:砂利が含まれた粘土質 樹齢:25-30年 バラの香りが漂ってくるこのワイン・・・しかし口に含むとスパイシー!50Grも糖分が残っているのに、とてもスムーズに飲めるこのワイン。秘密は・・・この酸味に隠されていました! この綺麗な酸味と、甘さのバランスが、美味しい貴腐ワインを造る鍵となるのです! Muenchberg Vendanges Tardives 2007*ミュエンシュバーグ・ヴァンダンジュ・タルディブ2007 とても飲みやすく、軽い感じが特徴的なワイン。100Grの残糖も甘すぎず、とても綺麗でサッパリとしたな味!そしてマンゴやパッション・フルーツ、エキゾティック・フルーツの香りは、もう美味しすぎてたまらないです!特に女の子は絶対にはまってしまう味です! Fronholtz SGN 2007*フローノルヅSGN 2007 土壌:水晶が含まれた粘土質 これはとても不思議なワインです! 第一に、この2007年の出来は、今まででも一番と言えるほどの特別な出来!とにかく選果を何回も行い、とびっきり綺麗なブドウしか使用していない!アンドレも初めてこんなに選果を行ったと言うほど! そして何といっても、この不思議な味が凄い・・!一回飲んだら忘れられません・・・!口に含んだ瞬間は、エキゾティック・フルーツの味。それがだんだんと変わり、次にはハチミツのトロ~っとした感じ。そしてそして!最後に残る味・・・コレは何としょっぱい!土壌のミネラルが、後味にプア~と爆発するくらい感じられるこの塩の味・・ 塩キャラメルのような、ワインでは初めて体験した感覚です! アンドレのワインは、とにかく繊細で綺麗な味が特徴的。 『ワインには人が出る』といいますが、アンドレのワインは彼の誠実さ、繊細さ、そして何よりも彼の今まで経験して来た全てがこもっているような感じがします。 […]

21
Août

TOUR BOISEE NOUVEAU トゥ-ル・ボワゼ・ヌーヴォー2009

過去最高のヌーヴォーの予感 収穫直前のラトゥ-ル・ボワゼの葡萄。 久々に濃縮感ある南仏ヌーヴォーが出来そうだ。ヌーヴォ-は出荷日が醸造する前から決まっている。ボジョレ・ヌーヴォーの解禁日に間に合わせる為だ。07、08年はここまで葡萄が熟すまで待てなかった。09年はもうこの段階で両年の熟度を超えている。 « 今年こそ、これぞ南仏ヌ-ヴォ-!といえる濃縮感も備えたヌーヴォ-をつくるぞ!! »とプド-さんは吠える。 10年前からプド-さんは日本の酒販店の皆さんの為にヌーヴォーを造る。 今年は過去最高の葡萄が取れそうだ。 例外的な8月の雨 恵みの雨が8月上旬に降ったお陰で乾燥のストレスが一挙になくなった。 その後の晴天気が、葡萄が熟すことに集中できる条件を整えてくれた。 毎年、ここミネルボワでは、8月の強烈な乾燥が葡萄木にストレスを与えて熟すのがゆっくりになってしまうのが普通だ。今年は8月初旬に27mm の雨が天より送られた。 8月中旬、後半は晴天が続いている。葡萄の葉っぱに燦燦と太陽光線があたり、光合成が順調に行われている。 光合成に必要な水分は、地下土壌にまだたっぷりある。 健全に耕された畑には微生物が育っている。勿論、自然酵母も力強く生息している。 大らかな性格のジャンルイ ザ・南仏人というか地中海人の明るく大らかな性格のジャンルイ・プドゥさん、その大らかな性格がそのままワインに反映されている。大らかなワインだ! 元気の出るワインだ! 活力が必要な方にどうぞ! 地中海の明るさが伝わってくること間違いなし! la Tour Boisée のワインの情報は、こちらまで: 株式会社MOTTOX TEL:06-6725-4925 FAX:06-6725-4923 http://www.mottox-wine.jp

17
Août

En Mets fais ce qu’il te Plaît

*お店情報 43 rue Chevreul 69000 Lyon 7e TEL : 04 78 72 46 58 *営業時間 休み:土・日 *価格情報 30-60€ ランチ・メニュー:20€ ディナー:50€ あのマルセル・ラピエールや、有名醸造家がお勧めするこのレストランは、ローヌでは知らない人はいない位有名!しかもシェフの石田さんは皆が大好きな人気者!!皆さんも是非彼の繊細な料理をお試し下さい!

13
Août

MARCEL LAPIERRE マルセル・ラピエ-ル家に自然派大集合

~毎年恒例の自然派ワイン祭~ フランス革命記念日前夜祭の日にフランス全土より自然派醸造家が集合した。 本当は数日前からマルセルのところに寝泊りして準備活動をしている若手醸造家が何人もいる。何せ500人程の人が集まるので準備だけでも大仕事となる。 会場となるマルセルの敷地に巨大テントを幾つも張ったり、ミュ-ジシャンの為の舞台を造ったり、大テントが大食堂となって500人が一斉に会食するので、一週間前より準備がかかる。当然みんなボランティアである。大祭りは7月13日の夜行われた。 ~自然派ワイン造り情報交換会議~ 前日の12日は、恒例の自然派ワイン講座というか情報交換会というか持ち回りでそれぞれの地方を代表する自然派醸造家が各地方の違った条件の中での自然派ワイン造りの経験を発表するのである。これは特に若手醸造家には貴重な情報収集の機会となる。 今までやった講師は、ジュラ地方のオヴェルノワ氏、ルシオン地方のカソドマイヨ、アルザス地方のヴィネル氏などである。それぞれの地方の微気象、土壌の違いに合わせて、自然派造りの問題点がことなり、それぞれが工夫を重ねて発見した対応策は自然派を目指す醸造家にとって貴重な情報となる。特に若手には本当に貴重な財産となる。 朝から葡萄木を燃やしたスミ造り ~そして、マルセル・ラピエ-ルによる10年ミレジムの垂直テ-スティング~ 1998年より2007までのマルセル・ラピエ-ルのワインである。各年代とも3種類がある。 1-SO2添加ゼロのもの  2-10mgのSO2添加したもの 3-30mgのSO2添加したもの これは大変興味深いテ-スティングである。SO2無添加のワインは熟成に耐えないとよく批判される。しかし、マルセルの無添加ワインは若々しくまだまだ熟成ができるものばかりである。私は数回89年を飲ませてもらったことがある。 完璧なブルゴ-ニュのグランヴァン・ピノ・ノワ-ルを彷彿させるワインだった。また、ほんの僅かなSO2添加の差がどのくらい味覚に影響するか?を知ることは重要な経験となる。 4頭のブタの丸焼きを朝から準備。 ~皆、ムッシュ・自然派・マルセル・ラピエ-ルの周りに集まってくる~ フランス全土の自然派レストラン、愛好家など集合 夕方から人がぞくぞくと集まりだしてきた。今夜飲むワインはすべてマルセルのワインオンリ-だ。太っ腹マルセルの提供である。 なんせ、500人分のワインだから恐ろしい量だと想像する。有難う、マルセルである。 そして、、色んな人達がボランティアで準備参加してくれている。まるでマルセル王国だ。今夜は参加者皆が王国の住民だ。近所の肉屋さんもいる。近所のレストラン経営者や皆が喜んで手伝いにやってくる。 マルセルの人物の大きいところは、自然派醸造家のみならず、ボジョレの普通の醸造家も招待している。いつもマルセルは言っている 『皆、どんな醸造家もそれぞれ存在理由があって存在している。』マルセルは自分だけが正しいことをやっているとは思っていない、ところが凄い。こんな人物が存在することに喜びを感じる。感謝! 料理のリヨンの日本人フレンチシェフとして有名な石田さん 石田さんは自然派の良き理解者であり自然派の醸造元から愛されている人物。 リヨンEN METS FAIS CE QU’IL TE PLAITアンメ・スキルトゥプレと云うレストランを経営すオ-ナ-シェフだ。気合の入ったトラディション・フレンチだ。 そろそろ焼き具合も良い頃だ! ~さあ、皆お腹が空いてきた。石田さんの出番だ!~ アペリティフがわりにマルセル・ラピエ-ルをグイグイとやりながら色んな人としゃべっているうちにお腹がグ-グ-鳴り出してきた。 石田さんとモルゴン村の肉屋さんが動き出した。 500人分のブタの丸焼き解体は格闘技だ。ほぼ2時間の格闘が続いた。しかも目の前に皿を持った人が並んでいる。石田さん、汗を拭く間もなく格闘が続いた。お陰で皆、美味しいワインとブタを頂きながら色んな人との出会いを楽しんだ。 まずは、ロックバンドの演奏が始まった。 真夏の葡萄園でのロックコンサ-トだ。しかも、自然派ワインをグイグイやりながらだ。 そして、次は太鼓ミュ-ジック!?真夏のモルゴン村に響く太鼓、まるで日本の夏まつりだ! 50人ほどの太鼓隊の音は迫力がある。踊る舞台も設置されている。 皆が踊りだした。そのエネルギ-は凄かった。 最後は太鼓隊も踊り台に入り混じっての大フィ-バ-だ!それぞれ、話し込む人、踊る人、ただ黙々と飲む人、皆自由に吹っ切っていた。 そんな中に、醸造元が入り混じって一年に一度の祭りを楽しんでいた。昨年の厳しい年を忘れて今年にかける彼らの意気込みは燃えていた。 今年、ヌーヴォ日本初デヴュ-するクリストフ・パカレ ヴァレットとジャンボンの両フィリップ 自然派には欠かせない人、オヴェルノワ氏も お疲れさんでした、石田さん! 隣はあの偉大な料理人故アラン・シャペルの息子さん。 マルセル・ラピエ-ルが自然派になる切っ掛けをつくったのは、アラン・シャペルだった。80年にマルセルを偉大なるジュル・ショ-ヴェ先生に紹介したのがアラン・シャペルだったのだ。 彼のお父さんが居なかったら今の自然派は存在しなかったかもしれないのである  夜も更けて、何と朝4時まで続いたとのこと。 若手はそのまま現場で寝ていたそうです。 私は1時ごろに引き上げてモルゴン村のホテルに帰った。 楽しい夜でした。とてつもない自然派のエネルギ-を感じた夜だった。 マルセル・ラピエ-ル氏の精神力と実行力とすべてを包み込む大きくてシンプルな人柄に感謝! 燃えろ!!PASSION!!燃やせ!!PASSION!! 伊藤  PARIS

6
Août

質実剛健・義理人情に厚いラパリュIN PARIS

ボジョレのブルイから質実剛健のラパリュがパリにやって来た。 彼は年に2回ぐらいしかパリに来ない。 7月30日私もこの日に出張からパリに戻ったところだ。ボジョレからムスカデまでの長期出張だった。ジャンクロ-ド・ラパリュとは前から約束していたことがある。パリに来たら一緒に日本料理店に行くことだ。 パリで最高に美味しい和食“眉山” 今夜はアサミとサンドリ-ヌを連れてパリで最高の日本料理が食べられる“眉山”に行った。眉山はオペラ街にあるレストランだ。 私は行くごとに自然派ワインを抱えて持っていく。何故ならシェフの進藤さんは自然派ワインの大ファンだからだ。美味しい和食に優しい自然派ワインは最高の贅沢だ。 特にフランスの田舎出張が多い私にとっては、パリに戻ってきた時の楽しみはこの店でゆっくり美味しい和食と自然派ワインをやることだ。心から楽しめる店だ。今日は人間的にも大好きなラパリュと一緒だ。2倍楽しいひと時を過ごしたい。 ラパリュとマ-ク・ペノを飲む。 アペリティフと前菜をかねてマ-ク・ペノのペティアン、シャポ-08をやる。そして、ミステ-ル08を飲んだ。 ジャンクロ-ド『これがムスカデかい、初めてだよ、こんなムスカデは !素晴らしいねグイグイいっちゃうね!』と大喜び。 ラパリュ持参の赤を刺身・寿司にあわせる まず、軽く冷やしたBEAUJOLAIS VILLAGE 08を刺身にあわせる。素晴らしいマリア-ジだ。特に2008は涼しい夏の影響で爽やかに仕上がっている。軽いミネラルと爽やかな果実味が魚の旨みとピッたり合う。そして次はBROUILLY VIEILLES VIGNES 2008を同じく刺身と寿司に合わせる。 ラパリュの赤ワインが刺身・寿司に合う訳 完璧だ!ブルイの葡萄木は80年を超える。根が10メートル以上地下に入り込んでいる。ラパリュの葡萄園の地下地層は1.5メートル下がると“ロッシュ・メール”と呼ばれる元海底だった岩盤がある。 ラパリュの根っこはその岩盤に突き入って根を伸ばしている。 その根っこが昔海底だったころのミネラルを葡萄果実の中に運んでくれている。だから、ラパリュのワインはヨ-ド風味や昆布ダシに似た旨みや塩っぽいミネラルが感じられる。刺身、寿司に合うはずだ! ジャンクロ-ドも驚くほど完璧なマリア-ジだった。 最後にキュ-ヴェデ・フ07を楽しんだ。 公私ともに色んな話がでた。                 今年の9月からは娘が仕事でパリに1年間は滞在すること、だから今年はパリに来る回数が増えそうだ。実は、2週間前にジャンクロ-ドとはマルセル・ラピエ-ルのところで会っている。7月13日の自然派ワイン祭の時だ。その時の話になった。ジャンクロ-ドはマルセル・ラピエ-ルのことを心から尊敬している、『マルセルから学んだことは実に多い。栽培、醸造、生き方など』本当に感謝している。だから、フランス革命記念日にはフランス中の自然派醸造家がマルセルのところに集まってくるのだろう。マルセルは偉大な人物だ。私も同感だ。 自然派ワイン祭の時のご機嫌なマルセル ボジョレで最近起きていること - 引き抜かれた畑が目立つようになってきた ボジョレでは最近、多くの葡萄園が引き抜かれている。理由はボジョレが全体的に販売不振に至っていること、特に、今まで大手ワイン商に販売していた農家が苦しんでいる。有名ワイン商の経営状態が極端に悪いらしい。などなど。そんな中で、自然派ワインはそれほどの影響もなく順調に売れているようだ。やはり何の特徴もない工業的スタンダ-ドワインは厳しい状況にあるようだ。 そんな状況を逆手にとって外国バイヤ-が値段を値切るので、採算が合わなくて、もう葡萄栽培を止めてしまう農家が続出しているとのことだった。 2009年のボジョレ・ヌ-ヴォ-は?  7月25日撮影 伊藤『ところで、今年のヌ-ヴォ-の葡萄はどんな状況なんだ?』 ジャンクロ-ド 『今のところ完璧だ!もうヴェレ-ゾン(色づき)もかなり進んでいる。去年に比べれば完璧の状態だ!このまま後一ヶ月が過ぎてくれれば、最高のボジョレ・ヌ-ヴォ-を造って見せるよ!』と頼もしい返事だった。 あの世界一ソムリエのオリヴィエ・プッシエ-ル氏が最高のボジョレヌ-ヴォと云わしめたヌ-ヴォ-の再来か! 2009年のラパリュヌ-ヴォ-は絶対に見逃せませんよ! 二次会は二人で自然派ビストロで 2次会は近所の美味しい自然派ワインが飲めるビストロ“LES FINES GUEULES.レ・フィーヌ・グ-ル”でロワ-ルのブルグイユの新人自然派ワインを一挙に一本を飲み干した。 暑い夜だったので、外で夕涼みにながら一杯やっていた。 そこに偶然にも、ラパリュ・ワインの大ファンがやってきて、 ラパリュも子供のように喜んだ。いい奴だ。 話し込むジャンクロ-ド 今夜のワインはすべて最高だった。 本当に楽しい時間を過ごせた。ジャンクロ-ド、自然派ワインに感謝。 Lapaluのワインの連絡先は オリゾン事務局 tel. 03(5565)5884 Les Fines Gueules に関する情報はこちらから!

4
Août

アンペキャブル ~ Impeccable

九州は長崎に燃える男あり。その名は大坪シェフ。 自然で新鮮な食材を自らの手で集めた気合の入った料理は、食べるものを感動させ、定期的に訪れるフランス自然派生産者でセレクトしたワインは、心と身体を癒してくれる。 ぜひ、長崎へ!ぜひアンペキャブルへ! *お店情報 〒850-0832 長崎県長崎市油屋町2-10 ヤサカストリートビル2F Tel:095 824 2047 Fax:095 824 2047 Homepage:http://impeccable.petit.cc *休み 不定休  (日曜日は基本的にお休みしてます。  夜はご予約を前日までにいただければ御用意できますので、問い合わせください。) *営業時間 昼 * 12時~13時半(LO)  閉店14時半 夜 * 18時~22時(LO) 

31
Juil

地産地消と地産他消の絶妙なコラボレーションに魅せられて

札幌の中央区にある、ワインショップ円山屋さんが経営するフレンチレストランMARU:Ni を訪問。 シックな雰囲気のエントランスから中に入ると、1階はおしゃれなスペースの中に、厳重に温度管理されたワインセラーが出現。 こちらはお酒屋さんのスペース。 2階と3階がレストランスペースとなっていて、こじんまりしているが、とても落ち着く雰囲気のつくりとなっている。 特に3階は「屋根裏部屋」といった印象で、6人座ったらもう手狭になるような小ささ。でもこれが妙にしっくりとマッチする。 まるで「家」に居るようなくつろぎ感さえ感じてくる。 *********************************************** 前菜は今が旬の白いとうもろこし「ピュア・ホワイト」を軽くつぶした冷製ポタージュスープ。 あまり市場には出回らないものだそうで、なんと「生」もかじってもいただける、とか。 口に含むと、まるで「ミルク」を飲んでいるようなクリーミーな味わいに、思わずびっくり。 続いて2皿目は、フランボワーズ・ジャムを添えた フォワグラのテリーヌ。 フランスの素材をわざわざ空輸して食材として提供。 3皿目はズッキーニのファルシーと金目鯛のソテー・アメリケーヌソース添え。 ファルシーの中身はズワイガニのすり身。 ナイフを入れると、カニの風味がふわっと立ち上る。 かまぼこのような食感でもなく、柔らかな舌触りが口の中に広がる。 いよいよメインディッシュ。 マグレ・ド・カナール・フランボワーズ・ソース添え。 フランス産のカナールを使用。カナールのジューシーな肉汁とフランボワーズ・ヴィネガーの酸味がベストマッチ。 デザートはガトー・ショコラ、 ヴァニラアイスクリーム添え。 *********************************************** 地元北海道の旬な食材とフランス直輸入の食材の見事な融合と、 素晴らしい料理を造り出すMARU:NIの長尾彰浩シェフ。 MARU:NI 札幌市中央区南5条西24丁目3-16 TEL : 011-530-0202 火曜日休 Lunch : 11:30 – 14:00 L.O. Dinner 18:00 – 23:00 L.O. (日・祝は22:00 L.O.) www.vin-maruyamaya.com maruni@vin-maruyamaya.com

27
Juil

試飲会レポート in 札幌

2004年以来5年ぶりの開催となる、CPV試飲会の札幌開催。。 例年この時期、北海道はおおよそ「梅雨」という時期は存在しないのであるが、会場当日(7月13日)は朝から雨一色。時折横なぐりの大雨でいささか本土にいるかのような印象。 会場はロイトン札幌。道内でも有数のホテルで、数多くのイベントが行なわれているいわば「ランドマーク」的なホテル。 約120名の事前参加の予約をいただいたが、降りしきる雨でいささか心配に。 出展にご協力いただいたインポーターは9社。 各社それぞれ渾身のラインナップを揃えて開場を待つことに。 イーストラインのイチ押しはジュリアン・クルトワ。 ロワールの自然派を代表する生産者でワインに賭ける情熱は並々ならぬ物を感じさせてくれる。まさにパワフル&ナチュラルのワイン、といったところ。 中でも娘の誕生記念に彼女のニックネームを名前にしたZOZO 2004(10番の札のついたワイン)は秀逸。樽熟成・樽発酵36ヶ月、瓶熟1年ならではの落ち着いた味わいが特徴的。 エレモン・テールも超ド級のガメイといいたいほどの複雑さと酸・旨味のバランスの良さはさすが、といったところ。 左からゾゾ、フラン・ド・ピエ、ソン・プールソン、エレモン・テール 株式会社イーストライン TEL / FAX:054-205-4181 MAIL : lavigne4181-shizuoka@tokoseika-group.jp http://tokoseika-group.jp/index.html JALUXからは“自然派”のキーマン的存在であるエリアン・ダロスがラインナップ。 中でもアブリューは非常に特徴的。ボトルの名前にもなっているように、ガメイ種の親戚にあたるアブリュー種100%. 使用された、本場のボジョレーと同じMC製法で作られている。アロマティックでフルーティーさとフレッシュな風味で喉ごしはなめらか。 左からル・ヴァン・エ・ユヌ・フェテ、ヴィニョーブル・デリアン、アブリュー、シャンテ・クク・ルージュ 株式会社 JALUX ワイン部 営業チーム TEL:03−5460−7156 FAX:03−5460−7227 http://www.jalux.com Dionyからはドメーヌ・ド・ラ・ガランスの日本限定発売の「キュヴェ・風(KAZE)・ルージュ」がお目見え。南仏の広大な丘の上で自然栽培を行なうガランス。新しいピノ・ノワールの可能性を「風」に託して日本限定発売に。バナナやスイートピーのような甘くチャーミングな香りと若々しいタンニンが主導するハートウォーミング系赤ワインである。 ディオニー株式会社 TEL : 03-5778-0170 FAX : 03-5778-0278 www.diony.com Mottoxからは、専門家たちのブラインド・コンテストで最後までぺトリュスと張り合ったといわれる「プピーユ」のラインナップを4種類、ミネルヴォアを代表する生産者であるドメーヌ・ラ・トゥール・ボワゼは「キュヴェ・マリ・クロード」など4種類含め14アイテムを出品。 株式会社MOTTOX TEL:06-6725-4925 FAX:06-6725-4923 http://www.mottox-wine.jp オルヴォーからはフランスとスペインの国境にあるランサックという町にあるドメーヌ・デュ・ポッシブルから「クール・トゥージュール」、「シャリヴァリ」、それぞれミネラル感みなぎる、濃厚な葡萄の旨味が染み渡る珠玉のワイン2種類を含む12アイテムを出品。 株式会社オルヴォー TEL : 03-5261-0243 FAX : 03-5206-8557 MAIL : tanaka@orveaux.co.jp TOPページ ロワールのミュスカデのワイン造りに並々ならぬ情熱を燃やしているドメーヌ・セネシャリエールから「ラ・ボエーム」「ラ・ミス・テール」「ムロン」など4アイテムを出品されたのは今回が札幌初“上陸”のエスポアしんかわ(横浜) 株式会社エスポア TEL : 06-6384-3319 FAX : 06-6386-0248 MAIL : jssesaka@vega.ocn.ne.jp 「自由な畑(領域)」を意味するフランス語で、様々な規制やしがらみを受けず、思うがままにワインや食材を紹介したいというコンセプトからスタートしたレ・シャン・リーブルの「ラール・デ・ショワ・ブラン」「レ・ゼール・コート・デュ・ローヌ」他16アイテムを出品したのは野村ユニソン株式会社。 野村ユニソン株式会社 TEL : 03-3538-7854 FAX : 03-3538-7855 MAIL : wine@nomura-g.co.jp http://www.nomura-g.co.jp BMO株式会社(片岡物産)からはローヌの重鎮であるラングロール、ルーションからは新進気鋭の生産者であるドメーヌ・ラゲール、ミネルヴォワの若き天才醸造家であるジャン・パブティスト・セナなど16生産者24アイテムを出品。 BMO 株式会社 TEL : 03-5459-4243 FAX:03-5459-4248 MAIL: wine@bmo-wine.com http://www.bmo-wine.com あいにくの天候にもかかわらず、128名のご来場者で会場は大いに賑わい、熱気に包まれていた。 中でも熱心に質問をされる方も数多く、この試飲会に並々ならぬ意気込みを持って参加されているのがひしひしと伝わってきた。             Shoji

22
Juil

ロックで磨いた腕をフルーリーで花を咲かすニコラ・テスタ

~ ピノノワ-ルの真髄を知り尽くしたニコラがガメを醸す ~ ジル・ジャイェで2年間修行した後、2000年にプリューレ・ロックに入社。1年間は天才フィリップ・パカレと2人でロックを造った。2001年からはパカレの後を引き継ぎ4年間、ロックを造った男である。パカレの後を見事にロック風味を成功させた。シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ、クロ・ド・ヴージョなどブルゴーニュの特級畑を醸した経験は実に大きい。 ロマネ・コンチオーナーでもあるアンリー・フレデリック・ロックと共に試飲した年代もの(まだ化学物質が栽培・醸造に使われていなかった時代)のブルゴーニュワインの味覚は体の芯まで覚えている。アンリー・フレデリック・ロックは大切な顧客が来ると惜しみなく年代ものブルゴーニュを開ける。そんな時はいつもニコラは呼ばれてソムリエ係を担当していた。当然パカレの造ったワインもよく飲んだ。体全体でピノの真髄を憶えている。そのニコラが今、ガメを醸している。 ~ 大草原の小さな家いやフル-リ-葡萄園の小さな醸造蔵 ~ フル-リ村から山手に入っていき、途中からは農道を右に曲がり、さらに小さな農道を左に曲がると写真の蔵が見える。毎回道を間違えてしまう。 今回は小さな看板がついていた。 ニコラとはロック時代からの付き合いだ。実に真面目でコツコツやるタイプ。若いのに人を包み込む大きさをも備えている。兎に角、人が良い。 お茶目なお笑いの雰囲気を持っており、醸造元仲間に愛されている。 ピンチはチャンス!! 2008年は雹にやられた。その影響もあって、今年も葡萄の数が極端に少ない。よく枝と葉をかき分けないと葡萄房がみえないほどである。 ニコラは逆にファイトを燃やしている。何故なら、濃縮された葡萄が収穫できそうだからだ。ピノ・ノワ-ル好きのニコラはこの地でピノッテのガメを造ろうとしている。 親友であり、兄貴分のラパルュが2005年に雹にやられた年は、残された少量の葡萄が濃縮して、まるでピノ・ノワ-ルかと間違うようなワインに仕上がったのをニコラは知っている。 ピンチはチャンスだ。 ピンチを逆手にとって自分の夢を実現しようとするニコラ。 BEAUJOLAIS NOUVEAU 2008年ボジョレ・ヌ-ヴォ- 爽やかで、フレッシュで、軽快な ワイン。グイグイいける果実味だ。 ヌ-ヴォ-も今時ロゼ代わりに 夏場に冷やして飲むと実に美味しい。 まさに、VIN DE L’ETE 夏ワインだ。 左のラベルは料理人 GERARDの特別ラベル ← AOC BEAUJOLAIS 2008年残った葡萄をかき集めて仕込んだワイン。ミネラル感もしっかりあり、真っ直ぐなワイン。これも夏に冷やして飲みたい。 ⇒ AOC BEAUJOLAIS VILLAGES ヴィラ-ジ08はミネラル感プラス軽いボリュ-ム感もあり、フレッシュな果実味、これもやや冷やして飲みたい。 ← AOC FLEURIE フル-リ2008 このワインこそニコラが、パッションでピンチをチャンスに変えたワインだ。ミネラル感が素晴らしい。限りなくピノに近いガメだ。お勧め! ⇒ AOC BROUILLY ブルイ ニコラの醸造はすべてブルイで行っている。ラパリュの隣の畑だ。ラパリュと共同で畑仕事を行っている。酸、ミネラル、果実味のバランス最高                    VDT GAMAY PLUS GAMAY  ガメ・プリュス・ガメ2005年 熱烈なピノ・ファンのニコラが醸すガメ ニコラの入魂の一本だ!         ネ-ミングもガメ+ガメ=ピノノワ-ルとでも云いたいのがよく解かる。 ブラインドで試飲すれば濃縮感、ミネラル感、酸を含んだ果実味があり、心地よいワインだ。              ニコラが初リリ-スしたフル-リ AOC FLEURIE 05 フル-リ- 瓶詰めしたけど、還元が強かったので、販売しないで現在まで寝かしておいたもの。約4000本そのまま残っているワイン。まさに、これこそブルゴ-ニュのクリュを思わせるピノだ。これは絶対にお見逃しなく! まだ、何処にも出荷されていない。近日中に出荷予定。 ~ 今、ボジョレで一番の幸せな二人 ~ ロック時代に知り合った2人に昨年ベビーが生まれた。 カロルは長年パリのカーヴ・オジェで働いていた。カーヴ・オジェの看板娘で大人気だった女性だ。 その彼女をニコラが略奪した感じだ。そんな2人に生まれたベービーはワイン天才のDNAを備えている。 テースティングの超エリートだ。 1歳3か月で既にブラインドで品種を当てる!? スセットの代わりにコルクをしゃぶる。 しかも、ワインの液面に触れていた方をしゃぶっている。 天変地異もなんのその!笑顔絶やさず 2008年は8月の収穫直前に雹が降ってフルーリーはほぼ全滅状態。 それでも、数少ない葡萄を収穫して最終的に例年の25%ぐらいはワインが出来た。 経済的にも、かなり厳しいにも関わらずこの2人はいつもニコニコしている。 根っからの楽天家カロルさんお陰だ。 何と今年の5月にも雹が降って被害にあった。 畑が真白になるくらい降った。 今年もまた50%ぐらい失いそうである。 それでも笑顔を絶やさない。 ~ ラパン(ウサギ)のヌイグルミとコルクが大好きなジュスティ-ヌ ~ パパのワイン美味しいよ!幸せが一杯詰っています!! Nicolas Testard のワインのお取り寄せはこちら: 株式会社オルヴォ TEL : 03-5261-0243 FAX : 03-5206-8557 MAIL : tanaka@orveaux.co.jp TOPページ

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FOULARD ROUGEルシオン地方のフィネス・上品さの最高峰

~ 南フランスを代表する自然派ジャン・フランソワ・ニック ~ 今、最高に波に乗っているジャンフランソワ 2002年にフラール・ルージュを立ち上げて7年目に入る。年齢的にも経験的にも最高に波に乗っている佳境にいるジャンフランソワ・ニックを訪ねる。繊細な感性を持ちながら果敢に挑戦し続けるジャンフランソワ・ニックだ。良く研いだ日本刀のように繊細で切れ味の良い感性をもった人物だ。鋭い視線の奥に光る意志の強さは大自然を相手に共存を図る男の冷静な観察力が表現されている。 強い精神力と何がってもやり抜く実行力の持ち主 スペインの国境に近いアルベル山麓の荒地を買い取って、自分自身で雑木林を引き抜き開墾した畑が原点だ。 アルベル山の傾斜面一帯は、昔、葡萄園で埋め尽くされていた。近年になると葡萄栽培農家は農作業の難しく厳しい斜面畑を避けて平地に葡萄園を引っ越してしまった。 そのまま何十年も放置されていた荒地を、葡萄園に再開拓したのである。開拓と一言で云ってしまえば簡単なことのように聞こえるが、実際はとんでもない困難を窮めた作業である。葡萄園を開拓した人間でその後に体を壊したり、命まで落としてしまった醸造家を何人も私は知っている。 並大抵の精神力や体力ではできない作業である。そんな過酷な作業をやり抜いた志も眼の奥に読み取れる。尊敬すべき人物である。 若手の育成・まるでジャンフランソワ学校だ もう一つ尊敬すべきことがある。 南フランスの自然派ワインを育てあげた男である。南仏におけるボジョレのマルセル・ラピエール的存在の人物である。10年前にルシオンにやって来た時は、この地方には自然派らしき醸造元は殆ど存在しなかった。特にセミ・マセラッション・カルボニック方式の自然派は皆無だった。ところが今はこのジャンフランソワ・ニックが育てた若手自然派が竹の子のごとくに増えている。彼の指導力のお陰だ。 若手に惜しみなく醸造方法を伝授しているのである。まるでジャンフランソワ学校と云ってもいいほどである。 若手にとっては尊敬とあこがれの人物といっていい。 彼の自然派醸造の能力は天才的と云っても過言でない。その凄さはエステザルグ農協で働いていた時に身につけた。現存する自然派の造り手は殆どが小規模醸造の造りしか知らない。 ジャンフランソワの凄さは、設備がそれほど整っていない農協の醸造所で、しかも大型タンクで大量の自然派ワインを無事に造り続けてきた実践の中に隠されている。 農協で89年より初めて91年にはSO2の使用を10mgに押さえ、96年にはゼロSO2を成功させた。 恐らく天才といわれるフィリップ・パカレでも農協の設備と大型タンクでの自然派ワイン醸造は困難なことだろう。ここでもジャン・フランソワ・ニックの天才的な実践対応力の凄さを垣間見ることができる。 大型タンクで、清潔度も思うように出来ない条件下で彼なりに工夫している作業に頭が下がる思いだった。 ~ 何故このルシオンの地に、オーダメードの自作葡萄園の誕生 ~ 南ローヌのエステザルグ農協で醸造長を長年務めていたジャンフランソワには無二の親友である現ラングロールのエリックと描いていた夢があった。二人で醸造元を打ち立てる夢だった。 ところがある時、このアルベル山の麓を訪れた時に、すべてが変わってしまった。 元々、地質学を専攻していたジャンフランソワにとって、この土地の多様性と複雑性を持ち合わせた地質と土壌に出会った時は感動を超える感動だった。本当に体の芯から震えるものがあった。 自分がワインを造るのはここだ!ジャンフランソワは即決した。 ピレネー山脈の隆起と共に浮き上がったロッシュ・メールと呼ばれる太古の昔に海だった数億年前の岩盤が地表近くに現れている。地表には若干のシスト状の瓦礫や石英石、水晶がかった小石、鉄石、花崗岩、そして火山岩が砕けて砂状になった土壌。こんなにも多様で複雑な要素を備えた土地を今で見たことがなかったのである。 しかも、標高300メートル、しかも夜は地中海からの風があり昼夜の寒暖の差が大きく、酸が残り安い。 自分が造りたい理想のワインは、酸を主体にしながらも太陽も感じさせるピュア-なワインだった。そんなワイン造りが可能な条件、微気象を完璧に備えていたのである。ジャンフランソワにとって、これからの人生を賭けるのはここしか考えられなかった。 ローヌに戻って親友、ラングロールのエリックにこの話をした。エリックは残念がったが大賛成してくれた。 エリックにとっては尊敬するお婆さん、お祖父さんの畑のあるタヴェルを離れる訳にはいかなかったのである。 こうして二人は別々にほぼ同時期に独立醸造所を立ち上げた。 ジャンフランソワにとって、畑を開拓しながら土壌を検証し自分が造りたいタイプワインの為に、土壌とそれに最適な品種を植えていった。 まさにオーダーメイドの自作葡萄園なのである。 二人は定期的会っている。2人のワインをブレンドしたワインを共同リリ-スしている。 お互いに尊敬しあう親友、ジャンフランソワとラングロ-ルのエリック ~ 倒産した農協の建物を利用して醸造開始 ~ そんなフラールージュに3度目の訪問だ。最初は7年前、ジャンフランソワが3年間の栽培のあと初醸造の為02年にフラ-・ル-ジュを立ち上げたばかりの頃に訪問したことがある。 初収穫のワインがまだ樽で寝ている時だった。元農協の醸造所だった建物を買い取っての初醸造の年だった。難しい顔をしていたのを覚えている。収穫量が極端に少なかった年だった。まだ、彼自身も葡萄達も土壌も馴染んでいなかったのである。土壌、栽培方法、醸造、などが違和感なく馴染むのに最低でも5年はかかる。そして安定して馴染むには10年はかかるといわれている。 当時は、まだ今のような風雪に耐えた精悍な顔つきではなかった。まだ脱サラ醸造家という雰囲気だった。 ~ 初回訪問から7年の歳月が流れ、自然との共生の世界が出来あがる ~ 7年の歳月が流れジャンフランソワが狙っていた理想のワインがやっとできあがってきたところだ。爽やかさを感じさせる酸を持ちながら、南仏の太陽をあびながら熟したピュアーな果実味が心地よい、なんて素晴らしいバランスなのだろうか!素晴らしい!マニフィックだ!ジャンフランソワのここまでの“道のり”に大拍手と感謝だ。 何事も時間がかかるものだ。特にワイン造りは、人間だけではない。人間が関われない自然を相手にするからなおさら時間がかかる。自然派は人間の妙なテクニックを使って、人間の都合のいいように自然を曲げるような事はしない。 開拓した土壌に微生物達が調和とれて住みつくまでも時間がかかる。雑木林を抜いて土壌がかき混ぜられて、葡萄園にした後の地中の湿気や温度、日当たり具合などが雑木林時代とは全く違うのである。それまで住んでいた微生物と葡萄園に再生したあとでは、生息する微生物群の種類が違ってくる。そこに住む微生物のお陰で有機物が発酵してその場所独特の土壌バランスができあがる。その微生物の一部がワインを造ってくれる自然酵母なのである。また、昆虫や草花や野兎やイノシシや鳥達などすべてが関わりあって調和がとれてくるのである。 すべてが違和感なく練れてくる、すべてが馴染んでくる。勿論、人間も含めてそこに馴染んでくる。ワイン造りには最も大切なことだ。自然との共生の世界である。今、フラールージュはジャンフランソワと土壌と風土、葡萄木の調和が10年たってやっと安定してきたところだ。 ~ 醸造家は自分のワインを売る人との交流も大切な仕事の一部だ ~ 今年は4月と6月の2回訪問をした。6月は日本からはオザミ・デ・ヴァンの丸山氏をはじめに酒販店経営者、レストラン業者、大阪の南海酒販の大型空手家営業マンの吉田さん、そしてパッション・ド・ヴァンの竹下、など総勢8名での訪問だ。 ワインは自然と関係のみならず、造る人から売る人達とも深く関わりあっている。つまりそのワインが最終消費者に飲まれるまでに関わるすべての人達とも関わり合っているのである。 自分が造ったワインを売る人達がどういう風に思っているのか?どんな気持ちでワイン販売しているのか?を醸造家が知ることは土壌造りと同じくらい大切なことだと私は思う。勿論、販売する方も、どんな人がどんな状況の中で、何を考えてどんな風に造っているのかを知ることは実に大切なことだ。 今日は、彼のワインを現場で消費者に勧めてくれる人達との共生調和を図る日だ。 販売者にとても、実際に葡萄園を自分の足で歩いて見ないと解からないことが山ほどある。お客さんにどのように説明して、どのように勧めたらよいか?を模索しながらの訪問は、貴重な無形財産となる。 ワインの重要な部分はすべて畑にあり、簡素な設備 フラ-ル-ジュの蔵は実に簡素な設備しかない。 重要なことはすべて畑にあり、と云わんばかりの簡素ぶりだ。蔵で重要なのはトロンコニック型の発酵木樽である。底辺が広くなっている。セミ・マセラッションカルボニック発酵の自然派醸造には絶対に必要な設備である。アル発酵時から木樽から僅かに出入りする空気にワインが馴染んでいく。 発酵中も“アル発酵の心臓部”と呼ばれる塊が樽内にできて、温度が上がり過ぎてくると、この部分が上部に移動して外気に触れて温度が下がり、また中心部に戻るという自然な温度調整をしてくれるのがこのトロンコニック型木樽の特徴だ。 ~ 08年テ-スティング ~ 10年の自然栽培の結果をジャンフランソワは語る 『このルシオンの乾燥度は僕がいたローヌ地方とは比べ物にならない程過酷なものだ。自然なビオ栽培をやって10年がたちやっと根っこが地中深く入りこんだのを感じる。地上が乾燥していても、乾燥に耐えられるようになってきた。つまり地中深いところの水分を吸収できるようになったんだ。だから、葡萄が良く熟しても酸がきっちり残るようになった。 』 LE SOIF DU MAL BLANC ソワフ・ド・マル 白 マカブ 60年の古木 – マカブは収穫直前に急激に糖度が上がり過ぎてしまう グルナッシュ・ブラン30年 – 注意に注意を重ねないと酸を残せない。 ステンレス・タンク発酵 2008年は夏も太陽が少なめでゆっくり熟してマカブも酸が残って、軽めに仕上がった。 ルシオンのワインとは思えないフレッシュな果実味が心地よいワインだ。 LE SOIF DU MAL ROUGE ソワフ・ド・マル 赤 シラ- 70% グルナッシュ 30% 最初の頃はシラ-100%で造っていた。グラップ・アンティエ-ル(除梗なしの葡萄を丸ごと)発酵槽にいれる。発酵はコンクリ-ト槽でやって、熟成を樽とトロンコニック樽 内で行った。早めの8月に収穫してフレッシュでグイグイ飲める果実味の軽快なワイン。 GLANEUSES グラヌ-ズ 赤 グルナッシュ70%  シラ-30%    17HL/H グラヌ-ズとは、収穫が終わったあと、数週間後にもう一度、葡萄園に行って穫り忘れの葡萄を収穫すること。2002年の初収穫の年は、天候も悪く葡萄が極端に少なかった上に 猪や鳥にも食べられて、収穫前だと言うのに葡萄が本当に少ししかなかった。まるで 2度目の収穫のようだったのでグラヌ-ズと名づけた。まさに、果実味に太陽を感じつつ、熟し過ぎること無く、メネラルと酸がビシと閉めているワイン。 GLANEURS グラヌ-ル 赤 グルナッシュ100% 45年 古木のみ ジャンフランソワは永年醸造した南ロ-ヌを彷彿させるワインだ。20HL/Hと収穫量も少なく、濃縮感もあり、ミネラルと酸がきっちり閉めている。理想のバランスだ。 オザミの丸山氏 『深みもあって、重すぎず、上品で、フレッシュまるで89,90のシャト-ライヤスだ』 FRIDA フリ-ダ 赤 カリニャン70% 80年~100年の古木のみ グルナッシュ30% 除梗して、低温で発酵、3週間の長いカモシ、セミ・Mカルボニックのスペシャリストが敢えて除梗をするには理由がある。自然派のセミMカルボニックが最近良く批判される。みな同じ風味だ、と。それに反発するかのように除梗する自然派が出てきた。 タンニンも色も濃縮感あり、でも細かい粒子のタンニンでフレッシュ感もあり。 最後は熟成中のシェリ-酒 試飲の最後は5年間、ウイラ-ジ(つぎ足し)もしないでソーラ-システムで熟成中のまるでシェリ-酒だ。 ムスカ・プティ・グレン品種 マカブ あまりにも量が少ないので毎年少しずつ足してソ-ラ-システムで熟成させている。まだ、販売していない。 アペリテキフ代わりに頂いた。 ~ お昼はモンテスキュ村にあるジャンフランソワの家で ~   モンテスキュウ村の中心部に彼の家がある。 見たこともない巨大なサボテンが繁殖しており、 […]

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VINEXPO時に COTES DE BORDEAUX委員会が新AOC発表会

~ VINEXPO時に COTES DE BORDEAUX委員会が新AOC発表会 ~ 新AOCのコート・ド・ボルド-委員会は活動的だ。世界ソムリエ協会のメンバ-を世界中から呼び寄せて、このイヴェントを開催した。 世界ソムリエ協会の会長、小飼さんをはじめ田崎真也さん、大阪の岡さんなど日本の重量級ソムリエもボルド-空港から直接の参加だった。世界各国のソムリエのトップが集合していた。 そして、世界から料理人たちも招待されていた。日本でもおなじみのボルド-ビストロのチュピナTUPINAの名物オ-ナ-・ジャンピエ-ル・イラダキ氏や日本からはオザミ59(池袋)の金子シェフも招待されての盛大な会だった。 オザミ59の金子シェフとラ・チュピナのオ-ナ-・イラダキ氏 場所はジロンド河沿いの昔大型船が入港してボルド-ワインが世界中に出荷された場所にあるカフェ・ビストロで行われた。 ~ 若いボルド-レ(ボルド-人)が果敢にボルド-を進化させようとしている ~ 新コ-ト・ドゥ・ボルド-の新設には若い力が積極的に動いて実現した。 ボルド-は格式ばったグランククリュだけではない、の理念に立ち自分達の存在価値に危機感を感じている若手がロビ-活動をして現在にいたった。 説得活動を続け、AOC BOURGを除いて下記の従来のAOC名をCOTES DE BORDEAUXに統一した。 BLAYE COTE DE BORDEAUX COTE DE CASTILLON COTES DE FRANC CADILLAC PREMIERES COTE DE BORDEAUX コ-ト・ドュ・ボルド-の部長クリストフ・シャト-氏が現在までに至った経過を発表。 その中にボルド-でも人気者のプピ-ユのフィリップ・カリ-ユも重要な役割を演じた一人である。 ソムリエ世界一のフォ-ブラック氏 にセレモニ-ワインを注ぐフィリップ・カリ-ユ氏。フィリップはすべての醸造元がビオ栽培をするべきだと熱く説得して廻っている。既に、彼の勧めでビオに変換した醸造元が沢山ある。   フォーブラック氏 コート・ドゥ・ボルド-委員会の部長は本当に活動的だ。 ボルド-の顔として人気者のプピーユやチュピナのイアラザキ氏を引き連れて、世界30カ国を、コート・ドゥ・ボルド-の宣伝活動の為に世界巡業中だ。 今年、3月に日本でも同様の会がオザミ59で行われた。 日本から駆けつけてくれた田崎真也氏と大阪の岡ソムリエ 今年3月に日本で開催⇒ 田崎氏との再会 田崎氏と私が知り合ったのはこのボルド-だ。田崎氏がまだ若干19歳の頃だったと思う、私が26歳頃だった?記憶が確かでない。田崎氏が1年間ほどボルド-に滞在していた時だった。 一緒に空手をやったり、食べたり、飲んだり、良く一緒に楽しみました。田崎氏とこのボルド-の空気の中で会うと、何か昔にタイムスリップしたような感じになってしまう。お互いに見かけは年を重ねたけど、彼は相変わらず爽やかで、エネルギッシュだ。

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2009畑の太陽・ひまわりの季節がやってきた

見ているだけで楽しく、明るくなってくる花! 7月13日のフランス革命前日、毎年開催される自然派ワインのお祭りマルセル・ラピエ-ル醸造元に出席する為にボジョレ訪問。 自然派ワインの父・ジュル・ショ-ヴェ氏が住んだ村、ラ・シャペル・ド・ガインシェを通り過ぎようとしたら、目の前にひまわり畑が出現した。 あまりにもの太陽の数に目がまぶしかった。 思わず皆さんの為に車を止めてシャッタ-をきる。 ひまわりは明るくて大好きな花だ! 見ているだけで楽しくなってくる。

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ボルドーワインの美味しさ再発見

~~ デュボスト家のCHATEAU BOSSUET  AOC BORDEAUX SUP ~~ 最近、私はこのシャトー・ボスエのボルドーワインとしての純な美味しさを再発見して驚いている。 私の好みも大きく変遷していることは事実だ。 長いことボルドーと離れていた気がする。今回の6月VINEXPO時にボルドー滞在中、ボルドーワインのメルロー、カベルネの美味しさに触れて再発見したような心境に至っている。私は1976年から1982年までの6年間ボルドーに滞在した。その間、DUBOST家でワイン造りの修行をした。 自分の原点であるボスエやPOMEROLのラ・フルール・ド・ロワの控え目なメルローの美味しさを再発見したことにある種の喜びを感じている。 自然派ワインガイドブック“GUIDE DE L’AMATEUR DES VINS NATURELS” にDUBOST家が紹介されている。 ボルドーの大逆襲もありかな、とも思っている。これにはいろんな意味がある。レポートしたい。   土壌 × 風土 × 人      ————————————– = 美味しいワインの方程式は                            葡萄木                 ~~ 1-葡萄木について ~~ 天才醸造家フィリップ・パカレは自然派ワインの父と云われるジュル・ショーヴェ先生より上記の方程式を伝授された。ワイン造りでやはり基礎となるのは、何といっても“葡萄木”のDNAなのである。 原点である素性の乱れている葡萄木ではいくら栽培努力してもなかなかおいしい葡萄はとれない。つまり美味しいワインは造れない。 DUBOST家の父、イーヴォンはCH-LA FLEUR DU ROYと同時に1949より1989年まで葡萄の苗木栽培屋をやっていた。そのお陰でボルドー品種の各品種の原木を所有していたのである。 当時、イーヴォンがよく言っていたのを覚えている。『俺の葡萄園の木は葡萄収穫が終わっても、まだ売れるんだ。』 つまりメルロー品種やカベルネ品種の原木の枝を買いにくるのである。40年間に苗木を売った先は、ムートン・ロッチルド、ラフィット・ロッチルド、ペトリュス、オゾンなど超特級をはじめラスコンブ、ジスクール、コンセイヤント、など数数えきれないほどのボルドー醸造元の苗木がここから提供されているのである。 人間も同じで努力だけでは、補えないセンス、才能のようなものが存在する。ただ人間の場合は、才のある人ほど“驕り”に陥りやすい。せっかくのセンスを潰してしまっている例が多々ある。私のような才のない人間でも努力とパッションでカバーできるのが人生の面白いところ。葡萄木に驕りはない。それだけに、葡萄素性の大切さは図り知れないものがある。 CH-ボスエの葡萄木は第一級のDNAを持っているのである。 それが今は樹齢が30歳を超えて、これからが最も繊細なワインを造ってくれる時期に突入するのである。これがクローンの葡萄木だったら、その上、無理やり化学肥料で成長させられて30年も経つと疲れてすでに限界、人間で云えば心筋梗塞直前の状態、つまり植え変えの時期に突入する。 ボスエの葡萄木はこれからが、練れた味を出してくれる。子供の時代からやっと大人の味を醸してくれる。益々洗練されてくる。これが素性なのだ。 ~~ 2-土壌について ~~ 何故イーヴォンがこのボスエの土地を選択したか? ここを買い取ったのは1973年から少しづつ買い足していった。今は10ヘクタールになる。 当時、イーヴォンはポムロルの村長として活躍していた。精力全開の時期である。頭からは蒸気機関車のような熱気が出ていた時期である。 AOCボルドーのワインを造りたかった。村の文献を調べていたところ格好の土地があったのである。 ポムロールとモンターニュ ・サンテミリオンとラランド・ポムロルの境界線に位置している畑である。 20年間も休んでいた土地 当時は放地されていた雑草地帯だった。それには理由があった。 1956年にボルドーが大寒波に襲われ多くの葡萄園が壊滅的被害に遭った年である。ここの土地はその年に全滅して、それ以来約20年間も休んでいた畑だった。 その間、除草剤も化学物質も入ることもなく、雑草と共に多くの昆虫や微生物が住んで自然循環されて土壌が発酵して生きていたのである。 小石層が地下5メートルまで続いている⇒    イーヴォンは即、畑を見に行った。土壌構成の複雑・多様性に驚いた。ポムロールのクラス・フェールと呼ばれる鉄分の含んだ部分もポムロル境界線近くに存在していた。一部はサンテ・ミリオンのグラーヴと云われる石英石や火打石の小石がびっしりと詰まった土壌もあり、その多様性に驚き、この土地の潜在能力の偉大さに驚いた。 ← 偉大な潜在能力を備えた土壌構成  自然な湧水の存在 しかも、湧水の源泉があることも分かった。葡萄地の地下水の流れは実に大切だ。土地のエネルギーに大きく影響を与えるからである。ブルゴーニュのクロと云われる壁は、この地下水の流れに沿って、当時のキリスト教修道院の坊さんが造ったものである。それが今のクロ・ヴージョなど、クロと呼ばれている畑である。 イーヴォンは地下水の水脈の重要さを知っていた。 この畑はほぼ10ヘクタールも一か所の一区画にまとまっていた。これも畑仕事を考えると大切なことだった。他の所有者の畑と隣接していないことは大きなメリットになる。隣が化学剤を多量使用すれば影響されるからである。ここではその心配はない。 ブルゴーニュ風に表現すればボスエ区画のモノポールである。 イーヴォンは既に決意していた。村役場に戻って土地台帳を調べた。 何と20人もの所有者に分割されていたのである。翌日から一軒一軒の所有者を回っての説得を開始した。約2年間の時間を要した。最初は5ヘクタールから始めた。最初の植え付けが1975年だった。 私は1976年に渡仏して、2年目の植え付けから手伝ったことになる。                           ~~ 3-風土について ~~ 風土とは、その土地の湿気だとか、温度だとか、降雨量や風の当たり具合だったり、毎年の天候によって変化するものと、大きく見れば大西洋気候の比較的温暖な気候という大くくりや、標高とか傾斜度とかの影響からくる不動的な変化しないものがある。この風土だけを個別に語ることはナンセンスだ。 葡萄木、土壌、人との関連のなかで語られるべきものである。 例えば、湿気のある年はそこに生息する昆虫の種類や微生物の種類も変わる。当然、自然酵母の種類構成も変わってくる。葡萄木も、土壌も、人も全体が生き物のように関連しあって、一つの年代ができあがっている。乾燥した年と湿気が多い年とは栽培の仕方を変えなければならない。それを判断、実行するのは人間だ。 その人間が何を考えているか、一つの事象から何を連想できるかのセンスも大切なことである。熟練者と新人とでは対応の仕方が全く違ってくる。ワイン・葡萄造りは一年に一度しか経験できない。30年やってもたった30回しか経験できないことなのである。しかも風土は毎年変化しているのである。 だから、ワイン造りは伝統とか家族の歴史が大変重要になってくる。 イーヴォンおやじの苗木栽培者としての40年の歴史はそのまま、この醸造元の財産であり、それを継承するローランの大きな財産でもある。何故なら、苗木は最も繊細で壊れやすい。それを育てるには何倍もの注意力と観察力と想像力がないと成功しないからである。 ~~ 4-人について ~~                 最も重要な部分である。イーヴォンお父さんのことはすでに述べたのでここでは別のことを書きたい。その人の人間としての価値のようなものと、それがワインに与える影響の関係の深さに最近益々驚かされている。 例えばマーク・ペノが極低温でしか働かない酵母菌があるとイメージして、いや信じてニュイタージをすれば、誰も造れないマークのムスカデができあがる。醸造学者に話してマークの薄汚れた醸造元を一目みれば、薄ら笑って馬鹿にするだろう。でも現実に誰にも真似できない人を魅了するワインができてしまう。 こんな例は山ほどある。ワインは多くのものと関連し合ってひとつのワインができあがっている。 分析や分化現象をどんなに研究しても自然のほんの一部の側面しか理解されていないのが現実なのだろう。 ムスカデのマーク・ペノ氏 勿論、ここで誤解してもらっては困るのは、私は科学を否定や批判するつもりは全くないことである。 ただ物知り顔で自然派を批判したり、一つの欠点をとらえてそのワインのすべてを否定してしまうような醸造学者や専門家には徹底的反発したい。『君の知っているのはほんの一部の切り口だけだよ』と。 ワインは生き物であり、ワインを物質とみなして、その構成物質どんなに分化させて、どんなに分析しても、生き物としてのワインの本質全体を理解することはできない。 宇宙とも関係している、太陽、月、星、空気、ミネラル、動物、微生物、勿論、人ともすべてに関連された中で一つのワインができ上がっている。全体の中のバランス、調和、色んなもののシンフォニーがワインなのだ。特に人がワインに与える影響の大きさには最近驚いている。 人間としての人物の度合がワインの中に見ることができる。 勿論、性格は簡単にワインの中に表現されている。   Ch-Vieille julienneの緻密な性格のドーマンさんは緻密なシャトー・ヌフ・ド・パップを造るし、元気なランガランは明るく元気なワインができあがる。実直で地に足の着いた性格のジャン・ダヴィドさんは芯のある実直なワインになっている。 Rhoneのジャンダヴィド氏↓ ビオ=自然派ではない もう一つ、最近ビオ、ビオディナミがもてはやされているけど、すでに“驕り”が全面に出たり、物知り博士的存在になって、いい気になっている連中が増えている。自分の頭と心をビオにせよ!と云いたくなる連中が増えている。残念なことだ。私の云う自然派には属さない。どちらかというと利益第一の商業主義的ワインに最も近い存在と判断してもよいものが多い。実に残念なことだ。ビオ仲間内で『日本向けは特別高く売ろう!』なんて云い合っている輩もいる。一部の連中はギラギラのテクニック派と同じ範疇に入る。何故なら、人間としての人物の在り方がワインに与える影響は大であり、ワインの重要な部分を決定しているからである。妙なビオディナミのワインより、田舎の純真で、ビオなど意識もせずもくもくと栽培、醸造をやっている佳き人たちのワインの方がより健全で美味しいものが多いのに驚く昨今である。 “驕り”とある意味の“邪念”が詰まったワインは例えビオでも、おいしくないし体に入っていかない。 今回のVINEXPO時に感じたことが一つある。 あるビオグループの試飲会で感じたことは、その会場に入っただけで、何か居心地が悪く、ワインも美味しく感じないし、何か違和感を感じた。早々と退場した。はじめての経験だった。 なんか“俺はビオだぞ!”とまるで威張っているかのような姿勢に嫌悪感すら感じた。 まるで自然という言葉とはかけ離れた空気が漂っていた。ビオの一部の人間たちの醸し出す最近の空気だ。 私は驕る奴と威張る奴が超大嫌いだ。この連中は私の自然派の定義には入らない遠い存在の連中だ。 ビオよりまず第一に人間ありき フランスには、別に本人達はビオなどと全く意識していなくても、昔から自然に除草化学剤も使用することもなく、ごく普通に、健全にワイン造りをしている醸造元が沢山いる。 しかも人間として尊敬できる立派な人物が多くいる。 高慢ちきになって、人間として大切なものを欠けている人物のビオワインより、よほど健全である。 ビオ、自然云々よりまず人間ありきである。大切なことだ! そんなことを感じてる時に、デュボスト親子に会った。 昔からポムロルでもくもくと親子で同じスタイルでワイン造りを続けている。濃縮、新樽200%のボルドーワインがもてはやされた90年代後半の流行の時も、流されることもなく必要以上濃縮させることもなく、そのくせ長期熟成にも耐えられて、メルローの果実味を控えめに表現し続けてるDUBOST家のワイン、CHボスエ、CHラフルール・デュ・ロワに美味しさを再発見した。イーヴォンお父さんの熱気とローランの繊細で緻密さが詰まっている。特にシャトー・ボスエのカリテ・プリ(品質・価格)のバランスは最高だ。 ボルドーの再発見と、ボルドーの大逆襲もありか! ← CHボスエの熟成樽 AOC BORDEAUX SUP ポムロルと同様に手間をかけてやっている。ローランは熟成中オリと共に樽熟成、オリびきは一回しかやらない。その上で清澄作用もフィルターもなし。 → ポムロルの熟成庫 CH-LA FLEUR DU ROY AOC POMEROL 最後にもう一度、 こんな小石が敷き詰めら れた土壌は ボルドーでは珍しい。⇒             燃やせ!!PASSION!!燃えろ!!PASSION!!  問い合わせはESPOA本部まで! 株式会社エスポア […]

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ボルドー試飲会パート3*Haut les Vins

今日は大きなシャトー内で行われたオ・レ・ヴァン試飲会! 再びナチュールワインの試飲を開始! 会場の中では、プロに混じって生産者達も試飲を楽しんでいます! ~~ ランクドック ~~ ドメーヌ・デュ・グラン・ローズ*Domaine du Grand Lauze コルビエールで醸造しているグザビエ・ルドガール氏の畑は、100年以上のヴィエイユ・ヴィンニュが殆んど! パワフルで真直ぐな味わいは、彼の性格そのもの! ル・コンパニョン07は樽の香りがエレガント。 そして亜硫酸=0のトゥ・ナチュールはミネラル感溢れる一品です! Domaine du Grand Lauze のワインのお問い合わせは、こちらまで: 大榮産業株式会社 TEL : 05-2482-7231 FAX : 05-2481-0499 ドメーヌ・マクシム・マニョン*Domaine Maxime Magnon 自然に囲まれてこそ幸せを感じるというマクシムのワインは、彼のように温かくて穏やか。ラ・ベグーやラ・デマラントは綺麗な味わいで飲み心地が最高! ロゼタのアロマはもうチョイ複雑感に溢れていてミネラル感たっぷり! 奥さんのベアトリスと一緒に、繊細な味わいのワインをこれからも造って下さい! シャトー・ロックフォール*Château Roquefort いつも笑顔でジョークばかり言っているレイモン・・・ でも彼のワインは、とてもエレガントで優しい味! 特にロゼのコライユは夏には必要品! 造り方もこっていて、真夏の太陽の下でグイグイ飲めてしまう不思議なワイン! Château Roquefort のワインについてのお問い合わせは、こちらまで: 豊通食料株式会社 TEL : 03-5288-3854 FAX : 03-5288-9248 http://www.vin-de-t.com ドメーヌ・ラゲール*Domaine Laguerre 恥ずかしがりやで口数が少ないエリックのワインは最高のミネラル感! シスト・ブランはスパイシー、シスト・ルージュは黒フルーツ、ル・ヴァン・ブランは綺麗な酸味、そしてエクリップスはフルーティー! 彼のワインはどのキュベでも楽しめます! 残念ながら2009年はベト病が発生してしまって、収穫量も低くなってしまうかも・・・でもめげずに後3ヶ月の間、綺麗なブドウが生る事を祈っています! Domaine Laguerre のワインについてのお問い合わせは、こちらまで: CLUB PASSION DU VIN 竹下まで TEL:03-5565-5880  E-Mail:passion@basil.ocn.ne.jp ~~ 南西地方 ~~ シャトー・プレザンス*Château Plaisance いつでも気を使ってくれるマークさん!彼のワインの特徴は、何と言ってもネグレット品種を使用したパワフルなワイン!しかし、彼の土壌では、とても酸味が低いネグレットが収穫出来るため、とてもフレッシュで繊細なタンニン! 特にティボー06やトット・コ・ケ・キャル06は、それぞれ18ヶ月間と22ヶ月間の間樽で熟成されていたため、綺麗な骨格とフルーツの熟成度、そして最高なバランスのワインが味わえます! Château Plaisance のワインについてのお問い合わせは、こちらまで: 株式会社オルヴォ TEL : 03-5261-0243 FAX : 03-5206-8557 MAIL : tanaka@orveaux.co.jp TOPページ マス・ド・リビアン*Mas de Libian セクシーな彼女のワインは、とても飲みやすくてフレッシュ! ブ・ド・ザンやキラームはフルーティーで綺麗なタンニンが味わえます! 特に2008年ヴィンテージは、アルコール度数が前年よりも低く、より飲みやすく爽やかなワインに仕上がっています! Mas de Libian のワインについてのお問い合わせは、こちらまで: BMO 株式会社 TEL : 03-5459-4243 FAX:03-5459-4248 MAIL: wine@bmo-wine.com http://www.bmo-wine.com ~~ ロワール ~~ マーク・ペノ*Marc Pesnot 優しくて穏やか!としか言えないマークさん。彼はブドウを育てる事、そしてワインを造る事が出来れば満足!というほど醸造家の仕事を愛しています。そのピュアな心は、彼のワインにも感じられます。特にシャポー・ムロンやラ・デジレは、まろやかで口当たりが良く、一口含んだだけで幸せ~という感覚に・・・! 皆さんも一度は経験してみたらいかがですか?! Marc Pesnotのワインについてのお問い合わせは、こちらまで: 野村ユニソン株式会社 TEL : 03-3538-7854 FAX : […]

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ぶどう畑の天使、アクセル・プリュフール

彼と初めて会ったのは、ロワールの自然派試飲会場。ブースに立っていた彼は、色白で細身、とても優しい物腰で、ワインを試飲させていた。それを見た時は、この蔵元の息子が手伝いに来ているのだろうと思っていた。 どこから見ても、ぶどう栽培が似合わない、ただただ優しい雰囲気を醸し出していた。 そんな彼、アクセル・プリュフールが、このLe Temps des Ceriseを立ち上げた男であったのだ。 この、Le Temps de Cerise 、フランスのシャンソンの題名でもあるが、この地域には、数千本の野生のサクランボの木が生えており、春には、山あいが、桜色に染まるという。 そんなドメーヌのある場所は、もう国の自然公園に入る手前、フォジエールから北に向かった、ベダリュー村の近く、村にはローマ時代の水道橋が残り、険しい山に囲まれ、オーブ川が流れ、まさに野生の自然に囲まれた所である。 車で向うと、地図上では、近くても、細い山道で、高低差もあり、なかなか到着しない、まさにラングドックの秘境である。 アクセルはドイツ人である。 ドイツ人というと、身体が大きくパワフルな人種を想像するが、彼がドイツ人とは、全く信じられない。 ドイツを離れ、このラングドックの地にたどり着いたわけも理解できるような気がする。 「ドイツ人は真面目で面白くない」 やはり、このラングドックのゆったりとした時間の流れ、生き方に魅せられたのだろう。  このドメーヌの設立は、2003年。それまでは、有名な自然派生産者、ローヌのマルセル・リショーや、ルーションのジャン・フランソワ・ニックなどのところで、いろいろ経験を積んだそうだ。 今のぶどう畑を手に入れた理由は、いろいろぶどう畑を回ったなかで、そのぶどう畑に足を踏み入れたとき、「ここだ!」という自分の共鳴する何かを感じたらしい。 そのぶどう畑は、山の頂上で、彼の区画以外は、他のぶどうの樹はなく、栗の木など森林に囲まれ、畑には、花が咲き乱れる。 彼は、「できるなら、いつも裸足で、この区画に入りたい」 という。そこに生えている花を踏みつぶさないように歩き、野生のイチゴみたいなものを摘まんでは口に入れている。  なんだかぶどう畑と一体化しているような感じを受けるほど、この畑を想っているのであろう。 今回は、2008年ヴィンテージを試飲したが、全てがピュアで果実味あふれ、ワインというより、ぶどうジュースを飲んでいる感覚であった。 朝食に出てきても、何の違和感もなく、スーッと飲んでしまうであろう。 1)Avanti Popolo 2008 グルナッシュとカリニャンがメインのキュベ。マセラシオン・カルボニックにて発酵。 蔵元の名前のごとく、サンクラボを連想させるような果実味。ピュアで何のつっかえるもなく、喉元に入っていくワインである。 2)Fou de Roi 2008 グルナッシュ、カリニャン、サンソーそしてカベルネ・ソーヴィ二ヨン。これは、シスト土壌の区画。ぶどうの熟度を感じる。タンニンは滑らかで繊細、全てのバランスが取れている。 イチゴジャムを食べているかのような味わいである。 3)Les lendemains qui chantent 2008 歌える明日。素晴らしいキュベ名である。グルナッシュ100%。 とてもフローラルで、ヴォイオレットなどを連想させる香り、以前は、プリューレ・ロックから古樽を購入して熟成させていたが、今は樽は一切使用しない。標高450mの水晶は花崗岩の混ざる土壌。南のワインとは思えない、軽やかさを持っているワイン。 4) Un pas de cote 2008 石灰質のグルナッシュの区画。 スパイシーで深い味わい。熟度は高く、しっかりとした脂質もある、ただしタンニンは、スムーズ。これは、除梗をして、ピジャージュを行い、マセレーションの期間も他より長い。 アクセルは、ぶどうの収穫は、午前中に行い、収穫したぶどうは、カーヴの横の冷蔵庫で冷却、そして発酵中の温度コントロールは一切しない。  また、Un pas de coteのピジャージュを除いて、りモンタージュなどの抽出作業は一切やらない。 そんな彼のワインは、ピュアでフルーティー、そして彼の優しさを感じさせるワインである。飲む人、みんなを幸せな気分にするような力が、このワインにあると思う。 アクセルは醸造においてもSO2をビン詰めまで一切使用しない。 そのため、全てのワインはVDT(テーブルワイン)となっている。 この近隣の既存の生産者達は、彼にSO2の使用を強く進める。使用しないと AOCの認可を与えないと恫喝までするそうだ。 しかし、自然が好きで、この土地を愛す彼は、そのテロワールを尊重して、 一切の化学物質を使用しない。そんな彼のワインは、パリだけでなく、 ベルギーなどでも評判になっている。 やはり、彼のワインの良さを理解 してくれる人たちは世界中にいるのであろう。 毎日飲みたいワインは、このLe Temps des Ceriseに決まりである。 飲んだだけで優しい気分になれるワインである。 2008年ヴィンテージ全キュベ9月上旬日本上陸!!! お問い合わせ:CLUB PASSION DU VIN 竹下まで TEL:03-5565-5880  E-Mail:passion@basil.ocn.ne.jp

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伝統・自然・正統・バランス派 !? 四拍子揃った!サン・マルタン・デ・ラ・ガリッグ

ラングドックのモンペリエとスペインのバルセルナの間、地中海から10kmも離れていないところに、サン・マルタン・デ・ラ・ガリッグは存在する。 何と敷地面積170ha。そのうち60haがぶどう畑。ぶどう畑の回りは、森や灌木(ガリーグ)に囲まれ、まるで、ぶどう畑が、自然のバリアーで守られているような所である。 その、サンマルタンガリッグの栽培、醸造責任者のジャン・クロード・ザバリアさんが来日。今回3度目の来日である。アメリカですでに2週間のプロモーション活動を終えた後の来日、そんなハードな日程の疲れも見せず、早速到着翌日から、愛知県渥美半島に展開するスーパー、渥美フーズにて店頭販売! まだ、昼過ぎという時間にもかかわらず、大勢の方が、集まり、試飲後ワインを購入して頂いた。満面の笑みのザバリアさんである。 夜は、名古屋へ向かい、ワインビストロ Gazzatで集まったお客さん達と懇親会。 オーナーシェフの後藤さんは、元船乗り。 海の男のシンプルかつ、美味しい料理を堪能させて頂いた。 また、お店の常連さん(美人揃い)も盛り上がり、楽しい時間を過ごさせてもらった。 ワインを、また1本、また1本と飲みたくなる、 また誰かのお家に招かれたような感じを受けてしまう、温かいお店である。 名古屋のGazzat。 自分の近所にあってほしい1軒である。 のむくらうGazzat 名古屋市中区栄3丁目25-8 TEL :052-251-7722 ****************************************** 2日目は、大阪での試飲セミナー。何と試飲アイテム数は11アイテム。 このサンマルタンガリッグで栽培するぶどう品種は、17品種。そのぶどうで、スパークリング、白、ロゼ、赤ワインを作っている。 その中でも、このラングドック特有のぶどう品種、ピックプルを使ったスパークリングとスティルワインのフレッシュ感と果実味は、素晴らしい! そして、このドメーヌを世界中で有名にした、ブロンジネルは、南仏において、滑らかなタンニンとフレッシュ感をだす、ワインスペクテーターのワインオブザイヤーのトップ100の29位に輝いたワインである。しかも、その29位の中では一番安い、高品質、低価格のワインなのである。 ****************************************** ~~~サンマルタンガリッグの秘密~~~ このフレッシュ感とバランスはどこから来るのか? 理由その①  土壌。サンマルタンガリッグのぶどう畑の土壌は、石灰質の砂岩土壌。 粘土質に比べ、繊細な土壌で、ぶどうに酸とミネラルを与えてくれる。 理由その②  地中海の影響。地中海沿岸の、この地区は、日中は暑いが、夜になると海からの涼しい風と適度な湿度があり、ぶどうのフレッシュッ感を保持してくれる。 理由その③  収穫のタイミング。 ぶどうの皮、種を口に含み、噛み潰し、ぶどうの種が完熟するまで待って収穫をする。(タンニンまで熟すのを待つ。) けして過熟ではなく、酸とのバランスを考えて、ベストのタイミングで収穫をする。 こんなに高品質で、なんでリーズナブルなのか? 理由その①  サンマルタンガリッグの哲学。 ワインはけして、一部お金持ちだけのものでは無い、みんなで分かち合うものである。だからこそ、ワインの価格は高すぎてはいけないという信念を持ってワインを造っている。 理由その②  収穫方法。60haの畑の半分は、手摘み、残りの半分は機械摘み。最新の収穫機械は、ぶどうを傷めず、最高のタイミングで一気に収穫ができるし、人件費の削減にもなる。しかし、細心の注意が必要な区画に関しては、全て手摘みで、ぶどうを収穫する。 理由その③  トップキュベの生産量。サンマルタンガリッグのワインの中で生産本数が多いのは、何とブロンジネル、全生産量の約半分を占める。通常のドメーヌでは、低価格帯のキュベの生産量が最も多く、トップキュベの生産量は少なく、値段は高い、ピラミッド型の構成となっている。しかし、サンマルタンガリッグでは、逆ピラミッド型、トップのキュヴェの生産量を増やすことによって、ドメーヌのワインの価格を押さえているのである。 これは、簡単なことではない、最高の醸造設備と、ザバリアさんの腕が、あって実現することである。 ザバリアさんの目指すもの、それは「バランス」である。 ワインにおいても、人生においても。 伝統的なぶどうを栽培、醸造、できるだけ自然な栽培、醸造、グランヴァン愛好家をも唸らす造り、 そしてリーズナブル!こんなワインはそうあるもんではない。 ****************************************** NGUYEN 東京都港区浜松町1-23-6  TEL :03-5773-2263 NGUYEN 荻原さんとBMOスタッフとともに。 荻原さんは、昨年サンマルタンガリッグを訪問。 ザバリアさん3度目の来日で、初めての日本の蔵元訪問。お邪魔したのは、山梨にて自然な栽培、醸造に取り組む奥野田葡萄酒醸造株式会社訪問。代表の中村さんご夫妻、奥さんの弟さんの佐藤さんが、暖かく迎えてくれた。 ぶどう畑な中での、奥さんの手料理を食べながらの試飲。中村さんの穏やかながらも、メラメラした熱いワイン造りへのパッションを感じた。 ザバリアさんもワインの質の高さに驚き、同じ目標を持つ仲間として、今後も交流をしたいとのことだった。 奥野田葡萄酒醸造株式会社      山梨県甲州市塩山牛奥2529-3 TEL :0553-33-9988  Http://okunota.com 山梨から帰ってきた、その足で牛込神楽坂のBistro de Baveへお邪魔した。サンマルタンガリッグのワインは、もう長年使って頂いているが、食事に伺ったのは初めて。そのボリュームと素材を活かした味わい、リーズナブルな価格に、まさに、サンマルタンガリッグと同じ哲学を感じた。下の数々の料理の写真を見てください。料理が3Dで迫ってきます。  Bistro de Bave 新宿区納戸町15-9  TEL :03-3269-2231 ******************************************         初の青森訪問。 紅屋商事株式会社スタッフの方々と記念撮影。 店舗には、所狭しと、ザバリアさんの顔が並んでいた。 最終日は、恵比寿の新店! moriにて一般の方たちとのパーティーを開催! オーナーシェフの森さんは、モンペリエの三ツ星レストラン、ジャンルダン・ドゥ・サンスや、恵比寿のタイユヴァン・ロブションを経て独立。 その料理は、南の明るい太陽を感じるような自然で、サンマルタンガリッグとの相性は最高であった。 ラ・ベル・ブッラスリー・モリ 東京都市渋谷区南1-14-2 タイムゾーンビル3F TEL:03-5942-6299 http://www.mori-ebisu.jp モリさんでのパーティー終了後、多くの方が2次会に、そのままトロワザムールに流れた。 そこで、BMOスタッフと共に記念撮影。 そして、お店にサイン。 ザバリアさんは、「日本、そしてラングドック、それを繋ぐワイン! 永い人生、永い歴史」とサインし、最後の 締めの言葉は、「フトン、セボン」「布団最高」だった。 なんのこっちゃ。。。。

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プリウレ・サン・クリストッフ - サヴォワ ~ PRIEURE SAINT CHRISTOPHE – en Savoie

*** DES VIEUX MILLESIMES A LA VENTE …オールド・ヴィンテージ発売中! *** Michel Grisard « j’ai créé mon domaine en 1983 avec l’ambition de faire des grands vins de garde avec la Mondeuse, un cépage rouge de Savoie » …. ミッシェル・グリザール『 サヴォワの赤品種、ラ・モンドゥーズを使った偉大なワインを作り出す事を目標に、ドメーヌを1983年に設立しました。』 Pari accompli pour Michel Grisard qui voit sa Mondeuse 04, prestige sélectionnée dans le livre « Les 1001 vins qu’il faut avoir gouté dans sa vie » .. et moi j’ai eu la chance de la goûter au salon Renaissance des AOC pendant Vinexpo…. Un vin sans aucun doute exceptionnel avec une matière ronde et des tanins souples. Nez de griottes et épices… ミッシェル・グリザール氏はこの賭けを見事にクリアしました。 彼のモンドゥーズ04は、『 人生で一度は試飲してはならない1001本のワイン』 と言う本に選び出され、私は先日行われたルネサンス・デ・AOC試飲会で彼のワインを味わう事が出来ました! グリオットとスパイシーのアロマ、そしてまろやかな骨格と柔らかいタンニンは、確かに他では味わえない特別な感覚! Mais la vie n’est malheureusement […]

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Wine Sound System, Un pinard une chanson~ワインと音楽

Italien d’origine et élevé à la bonne cuisine familiale Daniele Donpasta est un gastronome averti mais aussi un artiste imaginatif. Dans ses spectacles gastro-philosophiques il associe la cuisine, le vin, la vidéo, la musique pour décrire avec fantaisie et humeur le joli monde qui nous entoure. イタリア出身、そして幼い頃から家庭料理を楽しんで来た ダニエル・ドンパスタさんは、シェフとして、そして想像豊かなアーティストとして有名!彼のお料理は、食材、ワイン、ショート・ムービー、そして音楽、これら全てをコラボし、ファンタジーいっぱいでこの世界を現しています。 Initié aux vins naturels par un ami de Slow Food, il découvre un monde moderne et expérimental où bouillonne la vie, et l’ouverture d’esprit ; un champ des possibles qui ne manque pas de mettre en mouvement son imagination débordante. De cette rencontre est né un livre « Wine Sound System », un journal dans le quel Daniele et ses amis parlent […]