2
Sep

フランス中 収穫真っ最中 2016

DOMAINE DES AMIEL ドメーヌ・デ・アミエル (ラングドック地方、LANGUEDOC) エメリックは土壌、葡萄、テースティングの超プロ・フェッショナル。 ディジョン大学での博士号、世界に出て大手企業で最新の技術を駆使したテクニックワイン醸造も手掛けた。だからこそ自然なワイン造りのテロワールワインの重要性、貴重さをより理解できた。 地元、モンブラン村に戻って、ここのテロワールを世界に向けて発表する為に生まれて来たことを自認できた。 エメリックは強烈なパッションとエネルギーの持ち主だ このモンブラン村のテロワールが偉大なテロワールであることを証明するだろう。

1
Sep

私の大好きなロゼ Rosee de la Saint Jean ロゼ・ド・ラ・サンジャン

Rosee de la Saint Jean ロゼ・ド・ラ・サンジャン 私の大好きなロゼワイン。 サンソー品種を主体80% グルナッシュ20% セニエ方式のロゼ。 淡い桜色。 なんて美しい色合いなんだろう。 暑い夏に涼しさをもたらしてくれる色だ。 辛口の醸造。 サンソ―品種からくる軽やかな果実味、酸、熟したグルナッシュの甘味すら思わせるワイン質。 このまま飲んでもよし、お寿司、刺身に合わせてもよし。 ヨード香、潮っぽいミネラル感、 なんて心地よいロゼなんだろう。 山田さんも絶賛。 私も夏はこれをよく飲む。 超暑い日はオンザロックやる。 うまいよ!! これぞコルビエールの典型ワイン、100歳級を中心に古木のカリニャン品種80%、グルナッシュ品種が20%構成、ブトナックの典型テロワールの石灰質土壌、 日本ではカリニャンの典型を飲める機会は少ない。 CRUブトナックのテロワールの典型を試飲することも少ない。 グログロの自然派ワインではない。酒質があり、石灰質ミネラルからくる潮っぽい旨味があり、ザ・コルビエールのスタイルである。自然酵母のホワッとした複雑味も楽しめるワイン質。 これから秋の美味しい食べ物の合わせると素晴らしい。 お別れは、フランス式のビーズと呼ばれる左右に頬キッス。 皆、これも初めての体験。 地が変われば挨拶も現場式で。 Marie-Helene,マリー・エレーヌ、 Je te felicite d’arriver jusqu’a la. Les vins d e St Jean de la GINESTE est mangifique. On est sur meme bateau. On va jouer chaqu’un sa role. Comme Rugby.Bonne continuation. On t’attand mars prochaine au Japon. ここまでの品質を造り続けるとは素晴らしいことです。 私達は貴方の努力を大変評価しています。 私達は同じ船に乗っています。 ラグビーのように、それぞれが自分の役割を果たす ことが大切です。 お互いに努力し合いましょう。 Galarie de Photos , St Jean de la GINESTE サンジャン・ド・ラ・ジネスト写真集 葡萄園の横にmurの実。(野生クロイチゴ) 異常乾燥で多くの実が乾されていた。 残った実は、完熟で美味しかった。 葡萄園の横にアニスの香りがするfenouil野性ウイキョウが いっぱいありました。 おそらく故ドミニックが使っていたラグビーボールが飾られていた。 刺すような強烈な太陽光線を浴びて、光合成をして葡萄を育てている葉っぱ達。そして、収穫直前の健全な葡萄。 葡萄をガンガン食べていた犬。 試飲が終わるのをじっと待っていた犬。 最後に、私達のバスに向かって最後まで手を振ってくれていたマリー・エレーンの姿

5
Août

Paradis de Haut Languedoc-Roquebrun – NO1

Paradis de Haut Languedoc-Roquebrun -NO1 オー・ラングドック地方の楽園・ロックブラン村 フランスには隠れた小さな心地よい村が点在する。 私は南仏のスペイン側にあるラングドック、ルシオン地方に滞在する時間が多い。 パリの次に滞在時間が多い地方である。 それ程、この地方が大好きだ。ラングドックは私の庭のようなところ。 その中でも、このロックブラン村が大好きだ。特に夏のこの村はパラダイスである。 南仏の街、ベジエから北西に山の方へ行ったところの山間に隠れるように存在する ロックブラン村。 村の前にオルブ川があり、透明な綺麗な水が流れている。 夏はその河が水浴場となっている。 美しい橋の麓でカヌーなどもできる。 カヌーの畔の木陰テラスで冷えたビールをグイとやるがは最高。 冬は1月にミモザの花まつりがある。村の裏の山全体がミモザの木で、山が真っ黄色になるほど美しい。 ワインは山の岩盤がシストSchiste土壌であり、カリニャン、 サンソー、アラモンなど古い品種がまだ残っている。 Paradis de Haut Languedoc-Roquebrun -NO3 オー・ラングドック地方の楽園・ロックブラン村 Cave St Martin カーヴ・サンマルタン ロックブラン村には我が友のRaimont レーモンがいる。 ほぼ2メートルの大男。オランダ出身の海賊が丘に上がったって感じかな。心優しく、料理が上手く、自然派ワインを何よりも愛しているレーモンだ。 ラングドックの山の中に住み着いて、もう10年以上は過ぎただろうか。 今はCave St Martin カーヴ・サン・マルタンと云う、自然派ワイン・ビストロ、兼ワイン屋をこのロックブランで 経営している。 私は南仏におりて、この近辺に来た時は必ず寄ることにしている。特に、夏は、昼下がりに川の畔の木陰のテラスで冷えたビールを一緒に飲みながら、夕食時間を待つのが楽しい。 Cave St Martin カーヴ・サンマルタン 流石、フランスは懐が深い。こんな店が、こんな山の中で成り立っている。勿論、最初の頃は、全く客が来ないで苦労したレーモン。オランダから魚の燻製、スペインから特性のイベリコを運んでフランス中のワイン・ビストロに行商していた。勿論、今でもこのビジネスは続けている。とびっきり、美味しい生ハムは凄い!! サルディーヌの缶詰も、レーモンが探してきたツマミは本当に美味しい!! ワインの品揃えも、誰も知らない希少ワイン、新しいもの、 古参のレジェンド級のワインも含めて一流の品揃え。 兎に角、心地よい。疲れてここにたどり着けば、後は、 飲んで、飲んで、また飲んで、天と地のエネルギーを 補給できる。 最近は、予約をしないと満員の日が多い。 ここビストロ・サンマルタンはレーモンの人懐っこく誰とでもすぐ友達になってしまう性格が、店の雰囲気に流れている。 ここに来ると、隣の席の人ともすぐに友達になってしまう。 ここには、いつも近所のヴィニロン醸造家が来ている。今日も自然派仲間の醸造家が4人ほど来ている。 今日は、日本から野村ユニソンの野村さんと藤木さん、そして、このエリアで最近話題の若手醸造家、トーマ・ルアネとやって来た。 トーマは、自然派のニュースタイルの酒質を狙っている。 実に、興味深いワインのスタイルである。 Thomas ROUANETトーマ・ルアネ 次世代の自然派スタイル ここに来る前に、Thomas ROUANETトーマ・ルアネ醸造を訪問してきた。 実際に食事と一緒に飲もうということで、ここにやって来た。 Thomas はロックブラン村より車で20分のサンシニアン地区のCreissanクレサン村に位置している。 Thomas ROUANETトーマ・ルアネ グルグルと云われる軽快でスイスイ入る自然派が多い中で 新しいスタイルを模索するトーマ。 buvabiliteビュバヴィリテというフランス語で表現される自然派の特徴は“飲みやすさ”である。一般的に比較的、薄め、 軽いワインが多い。トーマの狙っているのは、確りした酒質、 ワインの構成を持っていながらスーット体に入っていくスタイルだ。 シャイで控えめな性格、写真を撮られることもやや恥ずかしがるほどのシャイ。 しかし、一旦決めたことは大胆かつ確実に着々と進めていく人柄。 大学では文学を専攻した、同時に体育の学士号も取得。 繊細でナイーヴな側面と活動的な部分を持っている。 まさに、ワインのスタイルがそんなイメージだ。 大胆なほどにワインとしての構成(タンニン、濃縮度)が確りしていながら、繊細でナイーヴな酸、ミネラル感が同居している。濃くてもスーット体に入っていく。 サンシニアンで葡萄栽培家として4代目にあたる。お父さんが現役でまだ自分の畑を栽培している。 トーマはお祖父さんの畑を受け継いだ。現在、5,5ヘクタールの畑を栽培している。 お祖父さんのAmeiエメさんが一生かけて、低木草の小高い丘の隠れた場所をコツコツと開拓した葡萄園。 グルナッシュ、カリニャン、アリカント、サンソーなどのランクドックならでの品種が栽培されている。 お祖父さんの代から1990年よりビオ栽培をしているので、70歳を超える古木の根っ子が地中深い石灰岩盤の中まで達している。だから繊細な酸とミネラル感がワインに表現されている。 こんな隠れ場のような林に囲まれた区画が3,4か所に分かれている。村からも、道からも離れていて孤立している。 他の栽培家の農薬の影響を受ける心配がゼロ。 葡萄園に立つと風の音と蝉の声だけしか聞こえない。 こんな隠れ場所に畑を開拓したエメお祖父さんのシャイな性格が判るような気がする。  特別なエネルギーがながれている。 先月、結婚したばかりトーマ。将来の夢、計画が盛りだくさん。 新しいキューヴェも考案中。 L’illicite リリシトゥ 奥さんのキッスのラベル。 何と、白葡萄をグラップ・アンティエールでマセラッション・カルボニック醸造。6週間のカモシ期間。古式の垂直式プレス機で 絞って、3年樽に入れて6か月熟成。 トーマはやる時は大胆さがある。繊細かつ大胆。 品種:カリニャン・ブラン、カリニャン・グリ、    テレ・ブラン、テレ・グリ    ムスカ、シャスラ まるで、ウイスキーのような色合い。 タンニンもあり、潮ぽさ。 食前・食後酒としてもok, 甘辛のソース料理、 特別な白ワイン。 トーマのワインはやっぱり食べながら飲るのと真価がわかりやす。 Bombadilomボンバディロン14 このワインは生ハムのと最高のマリアージ。 14年産は品種構成がやや変化した。 グルナッシュ35%、 除梗してトラディション醸造 カリニャン35%, グラップ・アンティエールのセミ・カルボ醸造 シラー10%、     除梗してトラディション醸造                    醸造も濃縮感と涼しさを出するように工夫している。 メーン料理を待つこと1時間半。 […]

25
Mar

大阪・小松屋スタッフが南仏ドメーヌ・スリエ訪問

小松屋と言えば大阪で自然派ワインに特化している業務用酒販。藤田社長のその熱心さには驚くばかりだ。スタッフを惜しみなくフランスまで研修の旅に送りだす。今回はパッション・エ・ナチュール店長の富岡さん、浜里さんなど3人がやって来た。そして、岩チャンが引率。 やはり現場を知っている人は強い。実際に店で販売しているワインの畑を自分の足で歩いて土壌に触れて、造っている人の顔、声、人柄に触れてその場でワインを試飲して初めて解ることが多い。理屈を超えたこの感覚的理解が最高の宝となる。五感を通じて自然派を掴む。皆、スリエのオーナーのレミーさんの話に耳を傾ける。熱心にメモをとる。 サンソーの畑に近づくと香草の香りが一面に広がっている。 地元ではガリグと呼んでいる香草が密集している野生低木草畑である。この香り成分が葡萄の皮に付着してワインの中に入っていく。地元のソムリエはその香りもガリグと呼ぶ。 今日は大阪小松屋と東京オザミワールド社の共同オリジナルワイン“Cuvee Bou キュヴェ・ブー”を造るスリエ醸造所を訪問。キュヴェ・ブーは30歳のサンソーで醸す。そのサンソー畑を五感で触れた。畑の廻りには野生タイム・野生ローズマリなど香草がいっぱい生息している。      小松屋スタッフの皆さんも実際に野生香草を採って触って、嗅いでみる。あの“キュヴェ・ブー”のワインの中にある香りと同じである事を確認。貴重な体験だ。土壌とはこれら畑の環境にある草花や生き物も含まれている。そんな事を五感を通して理解できる。 やや暖かくなる五月頃になると、野生ローズマリやタイムなどの香りが畑一面に漂っている。実に爽やかな香りだ。何時間でも畑に滞在したくなってしまうほど心地よい。こんな感覚も実際に来てみないと解らない。これもまさしくテロワールの一部。      やっぱりワイン造りに最も重要なのは“人”である。ドメーヌ・スリエのレミーさんは南仏らしく実に明るくて、心地よい人柄だ。いつも笑顔を絶やさない地中海人、ラテン系の人柄。そんな人柄がそのままワインの中に表現されている。明るくてダイレクトなワインだ。 明るいだけでは美味しいワインはできない。実に実直な面を備えている。畑仕事を着々とこなしていく。28ヘクタールをビオで栽培することは並大抵なことではできない。   南仏と言えば葡萄畑とオリーブ畑の風景が典型的だ。最近、このオリーヴ畑が減っている。スペインから安いオリーブオイルが入ってくるので太刀打ちできない。レミーは先祖代々のこの景色を変えまいとオリーブ畑も一生懸命栽培している。品質高いオリーブオイルだ 。    このオリーブ畑はサンソー品種の畑の横にある。ここサンシニアンは夏になると南仏の太陽でかなり暑い。畑仕事の合間の一休みはこのオリーブ畑にやってくる。オリーブの葉で日陰となっている草の上に寝転んでの昼寝は最高だ。風通しが良くこぼれ日も入って気持よい。 このスリエ家は1610年よりここサンシニアンの地で葡萄を栽培している。1960年代より多くの栽培家が除草剤や殺虫剤、化学肥料を使いだした。お父さんはそんなものに一切目をくれず自然な栽培を続けてきた。400年に渡って一度も化学物質が畑に入ったことはない。 陽気なお父さん。自然が大好きで、ビオ協会が存在する前からずっとビオを実践している本物。ビオの原点の人達だ。彼らのような農家がフランスには多く存在する。フランスの奥深い農業文化を感じる。 ワイン造りの為に完璧な条件を備えた醸造所・熟成庫 スリエの醸造スペースは実に清潔で整備されている。一部のキューヴェを除いて、アルコール発酵はステンレスタンク内で行われる。この巨大な醸造所はお父さんとレミーで何と10年の歳月をかけて自分達のみで造り上げた建物だ。 設計も自分でやり、葡萄の搬入も重力で発酵槽の中に落とし込むように設計されている。 樽熟成庫もアルコール発酵スペースと同階でありながら地下になっている設計。温度も湿気も理想的になっている。ワインを移動する時も簡単にできてワインにストレスがかからないように設計されている。南仏でこのような地下ワイン熟成庫を持っているところは数少ない。几帳面なスリエ親子が時間をかけながらコツコツと造りあげてきた醸造所だ。ストック場もたっぷりあり近所の醸造元仲間のワインもストックさせている人の良いレミーだ。 家族のみで10年かけて建設した醸造所・熟成庫 400年前よりずっとビオのスリエを利く 15品種を栽培するスリエ家では当然キューヴェの種類が多。その中の一部を紹介しよう。 1-MARSANNE 08 白 マルサンヌ品種 標高が高いので酸がキリっと光っている。黄金色の色合い、 野生香草のガリグな香り、蜂蜜のような良く熟した果実味。 石灰岩盤の旨味も爽やかで心地よい。 2-CUVEE MATHILDE 12キューヴェ・マチルド ST-CHINIAN BLANC 数少ないサンシニアンの白、グルナッシュ・グリ80% マルサンヌ20%の構成。 12年は収穫前の雨が功を奏して、実に爽やかに出来上がっ  た。ヴィーフの表現されるほどキリッとした酸が素晴らしい。 とても南仏の白とな思えないフレッシュな白ワイン。      3-ST CHINIAN ROSE 12サンシニアン・ロゼ スリエの12年のロゼは特別に爽やかで、透明感のあるクリアな果実味が心地よい。 シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルの3品種はセニエ方式、 サンソーは直プレス方式でジュースを絞って発酵させたもの。     4-GRENACHE 12 グルナッシュ グルナッシュ100%、40歳のグルナッシュ。 12年はグルナッシュを完熟させるのに難しかった。 果実味に爽やかさを含んでいる。ミネラルの旨味も心地よい。 5-MERLOT 12 メルロー 樹齢20歳のメルローは良く熟した。色合いも濃縮している。 早熟のメルローはほぼ完璧に熟した。チョコレートっぽさ を感じる。でも、メルロ特有の爽やかさが残っている。      6-PINOT NOIR 12 ピノ・ノワール 樹齢20歳のピノ・ノワール。レミー曰く『過去20年でやっと思うようなピノ・ノワールがで  きた。』とレミー自身が云うだけあって、なかなかのバランスを備えたピノだ。 標高が高く北向きの畑にピノが植わっている。それでも太陽が強く乾燥した南仏ではピノは どうしてもアルコールが高くなってしまう。20年のビオ栽培の効果、根っ子が石灰岩盤に深く   入り込んだミネラル感がよい。ここでちょっといたずらをしてみた。サンソー品種をちょっとブ  レンドしたら全体的に薄まってまるでブルゴーニュのピノ風味になった。 CUVE BOU キューヴェ・ブー12年があまりにも美味しくて一本持参 笑顔が必要な方!スリエのワインをどうぞ! CUVE BOU キューヴェ・ブー12年 過去最高の出来に仕上がった。やはり日本に一本持って帰りたい。ということになって、タンクの中で寝ているワインをその場で一本詰めてもらった。 大阪のパッシオン・エ・ナチュール、ビストロ・ブーのファンの皆さん、東京オザミのファンの皆さん! これからの12年、キューヴェ・ブーは飛びっきり美味しいですよ! 御期待ください!これから瓶詰して近日中には出荷いたします。     10年前にオリジナルワインの誕生 約10年前、小松屋社長の藤田氏とオザミ・デ・ヴァンの丸山氏がスリエを訪問。それ以来深い関係が続いている。その時以来両社向けにオリジナルワインを造っている。ほぼ毎年、両社の社員がやって来て試飲をしている。造り手と売り手が手を結んだ素晴らしいコラボだ。 東京のオザミグループと大阪のパッション・エ・ナチュールグループ のみでしか飲めないワインだ。     ASSINIANアシニアン村に辿り着くにはサンシニアンの街より山を登ってまるで温泉場でも行くような景色を登りきったところに小高い丘陸地帯の中に村がある。そこに人口280人の小さな村がある。 標高250から350mと高い。この標高がワインに爽やかな酸をもたらしている。 この標高が高い丘陸地帯に何と15種類の葡萄品種を栽培している。この高い標高がワインに多くのものをもたらしてくれる。太陽が強くても常に涼しさをワインに感じる。風通しが良く乾燥して病原菌が少なく 自然な栽培がやり易い。 12年のテースティングで驚きの発見 オリジナルワインCUVE BOUキューヴェ・ブー。 樹齢40歳のサンソー品種で造っている。ここのサンソーは時としてピノってする。12年産が正にピノッてしている。軽快な12度でピノ・ノワールを思わせる果実味で、ミネラルからくる旨味と標高の高さからくる酸がフレッシュで心地よい。過去最高の出来となった。小松屋スタッフも驚きの高品質に大満足。 レミーは日本での経験を生かしてワインを改良! レミーの笑顔には偉大なハッピーをもたらすエネルギーがある! 笑顔が絶えないレミーは日本でも大人気だった。笑顔は偉大なる力がある。レミーと会うと皆が笑顔になる。色々本音で語ってくれる。レミーは多くの愛好家と話ができた。フランスに帰国して栽培の段階から軽快で果実味豊かなワインを目指した。レミーにとって日本出張は貴重な発見となった。そして、農作業、醸造の工夫に取り組んだ。    レミーにとってはこの大阪での愛好家の人達と話せたこと、小松屋のスタッフの意見も聞けたことが転機となった。また彼らが今日本で話題のワインを飲ませてくれたこと、そんな経験を生かしてレミーはこの12年のキューヴェ・ブーを醸した。 標高300mのサンソーの畑区画はペピュール・ルグランと呼ばれている。粘土石灰質土壌、30cm地下は太古の昔に元海底だった石灰岩盤。400年前よりビオの土壌はエネルギーに溢れている。葡萄木の根っ子は岩盤を打ち砕いて地中深く伸びている。地中深い処には水分がある。この南仏の乾燥した気候でも必要な水分を確保できる。だからどんなに乾燥していてもフレッシュな酸をワインに残すことができる。 昨年、レミーは日本に行った。大阪のブラッスリー・ブーでスリエフェアーを開催して一般愛好家と触れあったレミーは、このキューヴェに日本の皆さんが求めている好みを理解した。それは果実味豊かで、濃縮し過ぎることなくグイグイ飲めるタイプだった。フランスに帰国後、レミーの挑戦が始まった。     低アルコール度数の為には早めに収穫することを考えて早めに剪定の段階から対処した。すべてが理想的にいった。収穫前の雨がさらに幸いしてさらに軽快になりグイグイ・タイプで抜群に心地よく美味しいワインが仕上がった。 このワインを飲めば思わずレミーのような笑顔が出ること間違いなし!

26
Nov

ラングドック・ナンバーワンのモノ・セパージュ・ワイン!

今回は久しぶりの畑巡りツアーのレポートです! 今回はラングドックの中でも実に美味いドメーヌ・クドゥレ*Domaine Coudoulet、ウルナックさん*M. Ournacの畑を見学して来ました! 彼は18歳の時、親に『ドメーヌを継げ!』と言われ続けていました。それに対しての反発心からか、彼は法律の道を選び、10年間ほど都会でビジネスマンとして働いていました。だがある日、やはり何かが違うと気付いた彼・・・ 月日が経つにつれ、育った風景や自然の匂い、ブドウ畑が恋しくなり、ドメーヌに戻ることを決心したのです!そして今では7代目として、そして次の世代のために、日々チャレンジ満載な人生を送っています! 秋の色に染まった葉っぱに覆われているカーブ。 その大きな扉の中を覗けば・・・ 綺麗に並べられた樽の列が! 写真では分かり難いですが、 インパクト大です! 続いては、タンク内で静かに眠っているワイン達・・・ お客様のオーダーが入るまで、ワインはこの中でゆっくりと瓶詰めさせるのを待っています。 ラ・リヴィニエール2007年のタンク 壁には、ウルナックさんしか分からない暗号が沢山・・・ そして隣の部屋に行ってみると、丸い穴が沢山彫られています。 何と私達は、地下に繋がっているコンクリート・タンクの上を歩いていたのです! ブドウを傷つけないように、この穴からワインの液体を重力の力で移動して行きます。 ではでは! 畑を見ながらでの試飲の説明をどうぞ! 彼は何と70Haものブドウ畑を栽培しています! そして植えてある品種の種類も半端ない! シラーからマルサンヌ、ピノ・ノワールにピノ・グリ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソヴィニョンとグルナッシュ、メルローにムルベードル、ビオニエとシャルドネ、サン・ジオヴェーセやアリカンテ、プチ・ベルドーまで、とにかく豊富! 今年も新たにシラーとグルナッシュを植え、毎年品種の量を増やして行っている、元気はつらつなウルナックさん! テロワールは略全部が粘土石灰質。 平均樹齢は20-30年。これからが楽しみなブドウ木が沢山! 1985年に植えたシラーの畑 2010年のシラーはとても綺麗な色合い!アルコール度数14度という少々高めなワインですが、フレッシュ感タップリで全然感じない!綺麗な骨格からはイギリス飴のような香りとフルーツの熟成感が感じられ、滑らかなタンニンからは心地の良い後味とエレガントさが溢れています。とにかく優しくて飲みやすい! ムルベードル2010は一言で言うとガリッグ(香草)そのもの!オリエンタルチックなスパイスの香りから始まり、ボリューム感タップリなしっかりとしたバディ、そしてレグリスのアロマと共に感じ取られる繊細なタンニンはまさに南仏ワイン! メルロ2010はまさに・・・メルロだ!!って感じです。ミントやハーブ、スパイスの香りが多いに感じられ、とても上品。このキュベは、十分熟成されたブドウそのものを味わえます!とにかく後味が長く残る、爽やかで柔らかいワイン。 これは90年代に植えたカベルネ・フランの畑。 このアリカンテの品種は、とにかく色が濃く、ブレンド用に使用される品種です。ですので葉っぱの色も真っ赤で目立つ! 普段はそんなに熟されていない時に収穫を行い、本当に色だけを目的にブレンドされる品種なのですが、彼は何と14度という、メチャ熟された時に収穫を行い、品種ワインにしてしまうのです! 彼の畑は本当に熟成度に関しては100点満点! これは今年植えたピノ・ノワールの畑。 今年は他の区画から収穫されたピノの初ビンテージをリリース! サッパリとした梅の香りは華やかでウットリ~! グイグイといけてしまう、幸せになるワイン!今後のビンテージが楽しみです! 他にもカベルネ・ソビニョンは独特のハーブの香りが漂い飲みやすく、プチ・ヴェルドは素晴らしい骨格にまろやかさが足されてとてもフルーティー!最後のサン・ジオヴェーセも様々なアロマが引き出されていてスパイスの香りが強く、どれを飲んでもとにかくフレッシュでエレガント! そして白ワインの試飲開始! グルナッシュの畑。 ここはウルナックさんのお気に入りの畑でもあります。 10年前、この土地には大きな岩がポンと2個あっただけ・・・この土壌に一目惚れをした彼は、土壌に必要な土を運び、グルナッシュの植えつけをスタート! 今でも、この黄金に光る葉っぱを見ると感動するというウルナックさん。立派で綺麗な畑を皆さんにも是非見て貰いたいです! ビオニエ2010は本当に美味しい!柑橘類やピーチ、スパイスも奥に感じられ、真っ直ぐで綺麗なバランスのワイン。喉越しも気持ちよく、グイグイといけてしまうフルーティで厚みのある一本です! シャルドネ2010はビオニエに比べたらより花とスパイスの香りがしていてトロミがあります。 これはボリューム感タップリ!なのに爽やか感があり酸味もキリッとしているので、重みも無く、スイ~と飲めてしまいます! 今年植えたてのピノ・グリ品種の畑。 そして次は赤の、シャトー・セスラ、ミネルヴォワ・トラディシオン、キュベ・オルリック 2008*Cuvée Olric 2008。 これは複雑感をタップリ味わえるワインです!黒フルーツそのもののアタックから始まり、徐々にスパイシーな風味が込み上がってきます。飲んだ後にはとても長い後味が残り、またまたフルーティーさが前面に出てきて美味さアップ! シャトー・セスラ、ミネルヴォワ・ラ・リビニエール2007*La Livinière 2007で試飲終了。 これもまた深みがあり、繊細でエレガントなワイン。プルーンやチョコレートの香りが漂い、熟成度あり、酸味あり、ミネラル感あり、バランスが綺麗に整っている一品。 最後に・・・ 秘密の場所で、秘密のワインを注いでくれたウルナックさん。 これはなんと・・・1975年のグルナッシュです! 見てください、この茶色い色! 白品種ですよ!!! 味は・・・まさにシェリーの様な感じでした。 彼のワインの秘密は、 とにかく熟成されたブドウのみを使用している事。 皆さんも、 フレッシュ感が溢れ出ているウルナックさんのワインをどうぞお楽しみに! Domaine Coudouletのワインについてのお問い合わせは、こちらまでお願いします: 株式会社オルヴォー TEL : 03-5261-0243 FAX : 03-5206-8557 MAIL : tanaka@orveaux.co.jp TOPページ

22
Oct

SOPEXA主催ラングドック試飲会にて出展

10月4日、東京・渋谷の東急セルリアンタワーにて、SOPEXA主催ラングドックワイン試飲会が開催され、CPVからも参加・ご紹介させて頂いた。 同時にセミナーも行なわれ、ラングドックワイン委員会・輸出部長からラングドックワインについての解説がなされた。特に新しいこととしては2009年からEUの規定が変更になり、従来のヴァンドペイが「IGPペイドック」に、AOCが「AOP」と呼称が改められる。 更に、AOPは3つのカテゴリーに分類され、 ブルゴーニュのAOCと同じように、ピラミッド型のヒエラルキーとなる。(右図参照)⇒ ① グラン・クリュ=限定されたエリアの世界最高級ワイン ② グラン・ヴァン=村名ワイン ③ AOPラングドック=ラングドック全体のアペラシオン これは、高品質なラングドックワインが登場しワインのレベルが上がったことに対応した措置と言えるでしょう。 さて、セミナー後半は試飲です!ズラッと12種類。 ペイドックIGP(従来のVDP)6種類、AOPラングドック(現段階ではAOC)から1種類、グラン・ヴァン3種類、グラン・クリュ2種類と、ピラミッドの各カテゴリーから代表的なものを試飲です。 コメンテーターは、あのイケ面の石田博ソムリエです! CPVがご紹介するワインからも2種類が登場! グラン・ヴァンのカテゴリーでは『カーヴ・カステルモール/ル・カステルモール(赤)』 \1,953 (輸入業者:片岡物産 tel.03-5405-8632/BMO tel.03-5459-4243) 。 石田ソムリエのコメントは、マセラシオンカルボニックしたカリニャンの華やかな香りがとてもよいと、好意的なものでした。 もうひとつCPVご紹介のワインは、『ドメーヌ・ド・モンカルメス(赤)』\5,250 (輸入業者:サンフォニー tel.03-5565-8992)。 こちらはラングドックワインのピラミッドで頂点に位置する“グラン・クリュ”です! 石田ソムリエのコメントは、グラスにサービスされてから1時間経過しても香りがまだまだ少しずつ表れている。これは大きなポテンシャルを持っている証拠だ。また、アルコール度が14度と高いのにもかかわらず全くアルコールを感じさせない程味わい成分が詰まっており、バランスに優れていると評価されておりました。 インポーターブースでご紹介していたワイン イーストライン様ブース   ご担当の佐藤さん、にこにこと対応してました。 一押しのワインは 『ドメーヌ・ジャン・バプティスト・セナ』 年々エレガントさが増してます! ●ラ・ニーヌ’08 \2,709 ●オルニカ’09 \2,919 ●ル・ボア・デ・メルヴェイユ’08 \4,074 片岡物産/BMO様ブース   ご担当の田丸さんと高野さん。元気いっぱいでした! 一押しのワインは『シャトー・ペシュ・オー』 流通業で上げた利益をすべて最高のワインを造り出すために注ぎ込み、最高のラングドックワインを造ってます。 3つ星「ジャルダン・デ・サンス」で欠かせないワインです! ●テット・ド・ベリエ’06 \5,460 ●キュヴェ・プレステージ’06 \3,675 カーヴ・ド・リラックス様ブース   おなじみ大魔王の内藤さん!いつも大爆発。 お薦めは、「リアルワインガイド」で旨安大賞に輝き、売れて売れて、そしてまた売れている『ドメーヌ・ロベール』!どこまでこの勢いが続くんでしょうか? ●ドメーヌ・ロベール、メルロ’08 \1,050 ●ヴィーニュ・ド・モンクール’07 \1,480 他にもたくさんご紹介したいワインがあったのですが、写真撮りきれませんでした。 ラングドック、美味しい高品質ワインの宝庫です! 是非、お試しください!! <ご紹介インポーター> ●㈱イーストライン tel.054(205)4181 ●㈱カーヴ・ド・リラックス tel.03(3595)3697 ●㈱サンフォニー  tel.03(5565)8992 ●BMO㈱ tel.03(5459)4243 / 片岡物産㈱ tel.03(5405)8632

24
Sep

ラングドック地方の巨人 CH-PUECH HAUTペッシュ・オー

ラングドック地方の巨人 CH-PUECH HAUTペッシュ・オーが進化する! シャト-・ペッシュ・オー CH-PUECH HAUT 自分の夢を確実に進めていくジェラ-ル・ブリュ ミネルヴォワの農家出身のMR BRUブリュ氏は現在62歳。子供の頃からワイン造りの夢を持っていた。夢を実現させる為に全く別の分野で成功を収め、その資金のすべて醸造元を設立させるために投資してきた。そのペッシュ・オーが今大きな進化を遂げようとしている。 2007年よりビオ機関に登録 ペッシュ・オーの葡萄園の畑はすべてジェラ-ルが35年前からコツコツ植えて育ててきた葡萄だ。樹齢も30年を越し、深みのあるミネラルたっぷりの葡萄が育つようになった。ビオ機関にも登録した。 エノログもグルナッシュ品種醸造の天才フィリップ・カンビを依頼。 ジェラ-ル・ブリュ 濃厚さの中の“絶対的旨み”を追求してきた! 世間では2000年代に入って、濃縮からエレガント・フレッシュさをワインに追求してきた。南仏の一流醸造家も皆同じ方向に向かった。しかし、ジェラ-ル・ブリュは違った。濃縮されたワインの中でしか見出されないエレガントさ、繊細さが存在することを追及し続けてきた。一時は世界的醸造家ミッシェル・ロ-ランに依頼したり、全く逆のあのフィリップ・パカレにも2年間試作を依頼して造った。 ジェラ- と パカレ 濃縮されたワインの中でしか見出だされない“絶対的な旨み”完成!! 自然な醸造には欠かせないトロンコニック型木製発酵漕 頑固なまでに世間の潮流に反して狙い続けたジェラ-ルの夢が完成した。 何て!美味しいんだろう! 濃厚でありながら繊細、ワインを表現する すべての褒め言葉がこのワインの中には 詰っている! ジェラ-ルの信念の勝利だ。 偶然には生まれない味わいだ! 自然な栽培を35年も続けてきた。 畑には微生物が元気に生息している。 何と!ここの自然酵母はワインをアルコ-ル20度を越すまで発酵したことがある。微生物が元気な証拠だ。 シャト-ヌフ・ド・パップと同じ土壌 ガレ・ルーレと呼ばれる第四紀地質の丸い石ころが畑にゴロゴロ転がっている。中には頭の大きさほどの石もある。 その下には粘土石灰質土壌の層があり、さらにその下には太古の昔、海底だったころの硬い石灰質岩盤の層がある。ジェラ-ル自身が植えた葡萄木の根っ子は既にその岩盤まで達している。数千万年前のミネラルのエネルギ-と旨みを根っ子が吸い上げてくれている。 2010年の収穫を待つ葡萄達 葡萄と人が和するドラマ 天と地が毎年こんなに素晴らしい葡萄を贈り届けてくれる。毎年、違った性質を持った葡萄達だ!  どのように醸造するのが最もその年代らしい葡萄の長所を引き出してやれるか? システム的に醸造したのでは、その年の長所は出てこない。  ジェラ-ルの葉巻を吸う数がこの時期は増えてしまう。いつ?どんなふうに? 収穫のタイミングは? 醸しのタイミングは?夜、寝ていても、アイデアが浮かんで飛び起きてしまうほどだ。 ラングドックの巨人ジェラ-ル・ブリュ Chateau Puech Haut のワインについてのお問い合わせは、こちらまでお願いします: BMO 株式会社 TEL : 03-5459-4243 FAX:03-5459-4248 MAIL: wine@bmo-wine.com http://www.bmo-wine.com

27
Oct

セクシーでダイナミックなクリスティーヌ!ドメーヌ・ド・レギュリエール

ラングドック地方でワインを造っているクリスティーヌ・コメラスさんは、とにかくダイナミック! 一目見ただけで、どこまで連れて行かれるのだろう・・・と思ってしまう人物! それもそのはず! 彼女は女醸造家、男世界でやっていく為には、パワーが必要!! 今日はブドウの収穫を行った日! ちょうど私達が付いた時に、ブドウの実と房を別々にするエグラパージュの作業真っ最中! ムキムキなお兄さんがブドウを少しづつ丁寧に機械の中に流し込みます。 この中で、ブドウの実は房と別々になり、ブドウの身はポンプを伝わり大きなステンレスタンクの中へと・・・ そして発酵が始まります! クリスティーヌは2006年以降エグラパージュを行っています。 彼女のこだわりなのです! そうするにより、出来上がるワインはとてもフルーティーでなめらかな、エレガントな味わいになるのです! ここでチョイとつまみ食い・・・ 美味しい~~~~! パクパクと食べてしまいたくなるぐらいの甘さ! これなら100%最高なワインが出来上がるはず! そして試飲室へLet’s go! グルナ2006*Grenat 2006 品種:グルナッシュ100% 樹齢:20年 テロワール:砂岩質 飲みやすくてミネラル感が抜群!特に綺麗な酸味が印象的! レグリスと黒フルーツの香りが口の中で広がり、とても繊細なワインです! しかもラベルもリニューアルして、とりシンプルになりました! グルナの文字の部分が少しデコボコになっていて、触った触感も気持ちいいです・・・!(個人的な感想です・・・!) サルマン2007*Sarments 2007 品種:ヴィオニエ50%、ソビニョン50% 樹齢:13年 テロワール:石灰質 低温でゆっくりと醸造し、シュール・リ熟成されたブドウから出来たワインはまろやか!石灰質のテロワールから引き出されたミネラル感とフレッシュさ。そこにはグレープフルーツに似た酸味がシュワ~っと感じられます! コート・ドレ2004・2005・2006*Côte Dorée 2004・2005・2006 品種:シラー100% 樹齢:60年 テロワール:粘土石灰質 11ヶ月間オ-ク樽で熟成。 2004年は繊細な味わい、2005年はカシスや黒フルーツのアロマが特徴的、そして2006年はしっかりとした骨格と、それぞれの特徴はあるけれども、まとめて言うと、どのヴィンテージでも上手い・・・! いつでもどこでも飲みたくなるような、必要的なワイン! コート・ルース2004・2005・2006*Côte Rousse 2004・2005・2006 品種:シラー100% 樹齢:60年 テロワール:砂岩質 11ヶ月間オ-ク樽で熟成。 エレガントなタンニンと、その滑らかさが印象に残ります! 特に2005年はグイグイと飲めてしまうほどフレッシュ! とても南のアルコール度数が高いワインとは思えません! コート・ルース、そしてコート・ドレは世界的にも注目されています! この二つのキュベは、同じ品種なのに全然味も香りも違う・・・ これぞテロワールの違い!! 2009年はどう?と聞いたところ: 『今年はとても乾燥していて、収穫量も低かった。2003年、最も乾燥していた年より低いのよ!でもグルナッシュもシラーも最高な熟成度の時期に収穫したから、最高なワインが出来るはず。後はブドウたちの力を信じるしかない!』とやっぱりカッコイイ発言が・・! これからもそのパワーと女に魅力で、最高なワインを造って下さいね! Domaine de l’Aiguelière のワインについてのお問い合わせは、こちらまでお願いします: BMO 株式会社 TEL : 03-5459-4243 FAX:03-5459-4248 MAIL: wine@bmo-wine.com http://www.bmo-wine.com

2
Oct

STC ツアー * ミニレポート * ローラン・ミケル

9月になると様々なツアーが始まります! 色んなお客さんを連れて来て下さる日本の皆様に感謝です! さて、とりあえず9月と言ったらBMOさん主催のSTCツアーが始まります! 今回は少しだけ参加してきました! 最初に行ったのは、この時プリムール2009年の醸造真っ最中のローラン・ミケルさんのドメーヌです! とにかく大きい!という印象が・・・ そして綺麗な試飲室に戻って何十種類もあるワインのテスティング! 皆さんとても集中しています・・・ そして皆、ローランのヴィオニエにはメロメロ・・・さすが世界が認めるミスター・ヴィオニエ! 12時が回り、そろそろお腹が・・・というタイミングでお昼ご飯を頂くことに! 広いテラスには、メロンや生ハム、そして美味しいタジンが登場! タジンとは、鶏肉にレモンとカレー風味のソースがかかったお料理です! さっぱりしてて美味しい~!これにはローランのロゼや白が欠かせない!! 帰りに畑に寄り、記念撮影開始! ローランも緑で分かりにくい・・・! しかもちっちゃい・・・・ 男二人のカッコイイ・ショット! 沼田さん、どこを撮っているのでしょうか。・・・?! 山田さんの後姿・・・遠くを見ながら考え中・・・?! Laurent Miquel のお取り寄せはこちらまで! BMO 株式会社 TEL : 03-5459-4243 FAX:03-5459-4248 MAIL: wine@bmo-wine.com http://www.bmo-wine.com

21
Août

TOUR BOISEE NOUVEAU トゥ-ル・ボワゼ・ヌーヴォー2009

過去最高のヌーヴォーの予感 収穫直前のラトゥ-ル・ボワゼの葡萄。 久々に濃縮感ある南仏ヌーヴォーが出来そうだ。ヌーヴォ-は出荷日が醸造する前から決まっている。ボジョレ・ヌーヴォーの解禁日に間に合わせる為だ。07、08年はここまで葡萄が熟すまで待てなかった。09年はもうこの段階で両年の熟度を超えている。 « 今年こそ、これぞ南仏ヌ-ヴォ-!といえる濃縮感も備えたヌーヴォ-をつくるぞ!! »とプド-さんは吠える。 10年前からプド-さんは日本の酒販店の皆さんの為にヌーヴォーを造る。 今年は過去最高の葡萄が取れそうだ。 例外的な8月の雨 恵みの雨が8月上旬に降ったお陰で乾燥のストレスが一挙になくなった。 その後の晴天気が、葡萄が熟すことに集中できる条件を整えてくれた。 毎年、ここミネルボワでは、8月の強烈な乾燥が葡萄木にストレスを与えて熟すのがゆっくりになってしまうのが普通だ。今年は8月初旬に27mm の雨が天より送られた。 8月中旬、後半は晴天が続いている。葡萄の葉っぱに燦燦と太陽光線があたり、光合成が順調に行われている。 光合成に必要な水分は、地下土壌にまだたっぷりある。 健全に耕された畑には微生物が育っている。勿論、自然酵母も力強く生息している。 大らかな性格のジャンルイ ザ・南仏人というか地中海人の明るく大らかな性格のジャンルイ・プドゥさん、その大らかな性格がそのままワインに反映されている。大らかなワインだ! 元気の出るワインだ! 活力が必要な方にどうぞ! 地中海の明るさが伝わってくること間違いなし! la Tour Boisée のワインの情報は、こちらまで: 株式会社MOTTOX TEL:06-6725-4925 FAX:06-6725-4923 http://www.mottox-wine.jp

10
Juil

ぶどう畑の天使、アクセル・プリュフール

彼と初めて会ったのは、ロワールの自然派試飲会場。ブースに立っていた彼は、色白で細身、とても優しい物腰で、ワインを試飲させていた。それを見た時は、この蔵元の息子が手伝いに来ているのだろうと思っていた。 どこから見ても、ぶどう栽培が似合わない、ただただ優しい雰囲気を醸し出していた。 そんな彼、アクセル・プリュフールが、このLe Temps des Ceriseを立ち上げた男であったのだ。 この、Le Temps de Cerise 、フランスのシャンソンの題名でもあるが、この地域には、数千本の野生のサクランボの木が生えており、春には、山あいが、桜色に染まるという。 そんなドメーヌのある場所は、もう国の自然公園に入る手前、フォジエールから北に向かった、ベダリュー村の近く、村にはローマ時代の水道橋が残り、険しい山に囲まれ、オーブ川が流れ、まさに野生の自然に囲まれた所である。 車で向うと、地図上では、近くても、細い山道で、高低差もあり、なかなか到着しない、まさにラングドックの秘境である。 アクセルはドイツ人である。 ドイツ人というと、身体が大きくパワフルな人種を想像するが、彼がドイツ人とは、全く信じられない。 ドイツを離れ、このラングドックの地にたどり着いたわけも理解できるような気がする。 「ドイツ人は真面目で面白くない」 やはり、このラングドックのゆったりとした時間の流れ、生き方に魅せられたのだろう。  このドメーヌの設立は、2003年。それまでは、有名な自然派生産者、ローヌのマルセル・リショーや、ルーションのジャン・フランソワ・ニックなどのところで、いろいろ経験を積んだそうだ。 今のぶどう畑を手に入れた理由は、いろいろぶどう畑を回ったなかで、そのぶどう畑に足を踏み入れたとき、「ここだ!」という自分の共鳴する何かを感じたらしい。 そのぶどう畑は、山の頂上で、彼の区画以外は、他のぶどうの樹はなく、栗の木など森林に囲まれ、畑には、花が咲き乱れる。 彼は、「できるなら、いつも裸足で、この区画に入りたい」 という。そこに生えている花を踏みつぶさないように歩き、野生のイチゴみたいなものを摘まんでは口に入れている。  なんだかぶどう畑と一体化しているような感じを受けるほど、この畑を想っているのであろう。 今回は、2008年ヴィンテージを試飲したが、全てがピュアで果実味あふれ、ワインというより、ぶどうジュースを飲んでいる感覚であった。 朝食に出てきても、何の違和感もなく、スーッと飲んでしまうであろう。 1)Avanti Popolo 2008 グルナッシュとカリニャンがメインのキュベ。マセラシオン・カルボニックにて発酵。 蔵元の名前のごとく、サンクラボを連想させるような果実味。ピュアで何のつっかえるもなく、喉元に入っていくワインである。 2)Fou de Roi 2008 グルナッシュ、カリニャン、サンソーそしてカベルネ・ソーヴィ二ヨン。これは、シスト土壌の区画。ぶどうの熟度を感じる。タンニンは滑らかで繊細、全てのバランスが取れている。 イチゴジャムを食べているかのような味わいである。 3)Les lendemains qui chantent 2008 歌える明日。素晴らしいキュベ名である。グルナッシュ100%。 とてもフローラルで、ヴォイオレットなどを連想させる香り、以前は、プリューレ・ロックから古樽を購入して熟成させていたが、今は樽は一切使用しない。標高450mの水晶は花崗岩の混ざる土壌。南のワインとは思えない、軽やかさを持っているワイン。 4) Un pas de cote 2008 石灰質のグルナッシュの区画。 スパイシーで深い味わい。熟度は高く、しっかりとした脂質もある、ただしタンニンは、スムーズ。これは、除梗をして、ピジャージュを行い、マセレーションの期間も他より長い。 アクセルは、ぶどうの収穫は、午前中に行い、収穫したぶどうは、カーヴの横の冷蔵庫で冷却、そして発酵中の温度コントロールは一切しない。  また、Un pas de coteのピジャージュを除いて、りモンタージュなどの抽出作業は一切やらない。 そんな彼のワインは、ピュアでフルーティー、そして彼の優しさを感じさせるワインである。飲む人、みんなを幸せな気分にするような力が、このワインにあると思う。 アクセルは醸造においてもSO2をビン詰めまで一切使用しない。 そのため、全てのワインはVDT(テーブルワイン)となっている。 この近隣の既存の生産者達は、彼にSO2の使用を強く進める。使用しないと AOCの認可を与えないと恫喝までするそうだ。 しかし、自然が好きで、この土地を愛す彼は、そのテロワールを尊重して、 一切の化学物質を使用しない。そんな彼のワインは、パリだけでなく、 ベルギーなどでも評判になっている。 やはり、彼のワインの良さを理解 してくれる人たちは世界中にいるのであろう。 毎日飲みたいワインは、このLe Temps des Ceriseに決まりである。 飲んだだけで優しい気分になれるワインである。 2008年ヴィンテージ全キュベ9月上旬日本上陸!!! お問い合わせ:CLUB PASSION DU VIN 竹下まで TEL:03-5565-5880  E-Mail:passion@basil.ocn.ne.jp

7
Juil

伝統・自然・正統・バランス派 !? 四拍子揃った!サン・マルタン・デ・ラ・ガリッグ

ラングドックのモンペリエとスペインのバルセルナの間、地中海から10kmも離れていないところに、サン・マルタン・デ・ラ・ガリッグは存在する。 何と敷地面積170ha。そのうち60haがぶどう畑。ぶどう畑の回りは、森や灌木(ガリーグ)に囲まれ、まるで、ぶどう畑が、自然のバリアーで守られているような所である。 その、サンマルタンガリッグの栽培、醸造責任者のジャン・クロード・ザバリアさんが来日。今回3度目の来日である。アメリカですでに2週間のプロモーション活動を終えた後の来日、そんなハードな日程の疲れも見せず、早速到着翌日から、愛知県渥美半島に展開するスーパー、渥美フーズにて店頭販売! まだ、昼過ぎという時間にもかかわらず、大勢の方が、集まり、試飲後ワインを購入して頂いた。満面の笑みのザバリアさんである。 夜は、名古屋へ向かい、ワインビストロ Gazzatで集まったお客さん達と懇親会。 オーナーシェフの後藤さんは、元船乗り。 海の男のシンプルかつ、美味しい料理を堪能させて頂いた。 また、お店の常連さん(美人揃い)も盛り上がり、楽しい時間を過ごさせてもらった。 ワインを、また1本、また1本と飲みたくなる、 また誰かのお家に招かれたような感じを受けてしまう、温かいお店である。 名古屋のGazzat。 自分の近所にあってほしい1軒である。 のむくらうGazzat 名古屋市中区栄3丁目25-8 TEL :052-251-7722 ****************************************** 2日目は、大阪での試飲セミナー。何と試飲アイテム数は11アイテム。 このサンマルタンガリッグで栽培するぶどう品種は、17品種。そのぶどうで、スパークリング、白、ロゼ、赤ワインを作っている。 その中でも、このラングドック特有のぶどう品種、ピックプルを使ったスパークリングとスティルワインのフレッシュ感と果実味は、素晴らしい! そして、このドメーヌを世界中で有名にした、ブロンジネルは、南仏において、滑らかなタンニンとフレッシュ感をだす、ワインスペクテーターのワインオブザイヤーのトップ100の29位に輝いたワインである。しかも、その29位の中では一番安い、高品質、低価格のワインなのである。 ****************************************** ~~~サンマルタンガリッグの秘密~~~ このフレッシュ感とバランスはどこから来るのか? 理由その①  土壌。サンマルタンガリッグのぶどう畑の土壌は、石灰質の砂岩土壌。 粘土質に比べ、繊細な土壌で、ぶどうに酸とミネラルを与えてくれる。 理由その②  地中海の影響。地中海沿岸の、この地区は、日中は暑いが、夜になると海からの涼しい風と適度な湿度があり、ぶどうのフレッシュッ感を保持してくれる。 理由その③  収穫のタイミング。 ぶどうの皮、種を口に含み、噛み潰し、ぶどうの種が完熟するまで待って収穫をする。(タンニンまで熟すのを待つ。) けして過熟ではなく、酸とのバランスを考えて、ベストのタイミングで収穫をする。 こんなに高品質で、なんでリーズナブルなのか? 理由その①  サンマルタンガリッグの哲学。 ワインはけして、一部お金持ちだけのものでは無い、みんなで分かち合うものである。だからこそ、ワインの価格は高すぎてはいけないという信念を持ってワインを造っている。 理由その②  収穫方法。60haの畑の半分は、手摘み、残りの半分は機械摘み。最新の収穫機械は、ぶどうを傷めず、最高のタイミングで一気に収穫ができるし、人件費の削減にもなる。しかし、細心の注意が必要な区画に関しては、全て手摘みで、ぶどうを収穫する。 理由その③  トップキュベの生産量。サンマルタンガリッグのワインの中で生産本数が多いのは、何とブロンジネル、全生産量の約半分を占める。通常のドメーヌでは、低価格帯のキュベの生産量が最も多く、トップキュベの生産量は少なく、値段は高い、ピラミッド型の構成となっている。しかし、サンマルタンガリッグでは、逆ピラミッド型、トップのキュヴェの生産量を増やすことによって、ドメーヌのワインの価格を押さえているのである。 これは、簡単なことではない、最高の醸造設備と、ザバリアさんの腕が、あって実現することである。 ザバリアさんの目指すもの、それは「バランス」である。 ワインにおいても、人生においても。 伝統的なぶどうを栽培、醸造、できるだけ自然な栽培、醸造、グランヴァン愛好家をも唸らす造り、 そしてリーズナブル!こんなワインはそうあるもんではない。 ****************************************** NGUYEN 東京都港区浜松町1-23-6  TEL :03-5773-2263 NGUYEN 荻原さんとBMOスタッフとともに。 荻原さんは、昨年サンマルタンガリッグを訪問。 ザバリアさん3度目の来日で、初めての日本の蔵元訪問。お邪魔したのは、山梨にて自然な栽培、醸造に取り組む奥野田葡萄酒醸造株式会社訪問。代表の中村さんご夫妻、奥さんの弟さんの佐藤さんが、暖かく迎えてくれた。 ぶどう畑な中での、奥さんの手料理を食べながらの試飲。中村さんの穏やかながらも、メラメラした熱いワイン造りへのパッションを感じた。 ザバリアさんもワインの質の高さに驚き、同じ目標を持つ仲間として、今後も交流をしたいとのことだった。 奥野田葡萄酒醸造株式会社      山梨県甲州市塩山牛奥2529-3 TEL :0553-33-9988  Http://okunota.com 山梨から帰ってきた、その足で牛込神楽坂のBistro de Baveへお邪魔した。サンマルタンガリッグのワインは、もう長年使って頂いているが、食事に伺ったのは初めて。そのボリュームと素材を活かした味わい、リーズナブルな価格に、まさに、サンマルタンガリッグと同じ哲学を感じた。下の数々の料理の写真を見てください。料理が3Dで迫ってきます。  Bistro de Bave 新宿区納戸町15-9  TEL :03-3269-2231 ******************************************         初の青森訪問。 紅屋商事株式会社スタッフの方々と記念撮影。 店舗には、所狭しと、ザバリアさんの顔が並んでいた。 最終日は、恵比寿の新店! moriにて一般の方たちとのパーティーを開催! オーナーシェフの森さんは、モンペリエの三ツ星レストラン、ジャンルダン・ドゥ・サンスや、恵比寿のタイユヴァン・ロブションを経て独立。 その料理は、南の明るい太陽を感じるような自然で、サンマルタンガリッグとの相性は最高であった。 ラ・ベル・ブッラスリー・モリ 東京都市渋谷区南1-14-2 タイムゾーンビル3F TEL:03-5942-6299 http://www.mori-ebisu.jp モリさんでのパーティー終了後、多くの方が2次会に、そのままトロワザムールに流れた。 そこで、BMOスタッフと共に記念撮影。 そして、お店にサイン。 ザバリアさんは、「日本、そしてラングドック、それを繋ぐワイン! 永い人生、永い歴史」とサインし、最後の 締めの言葉は、「フトン、セボン」「布団最高」だった。 なんのこっちゃ。。。。

15
Mar

丘の上の雲

ワインを愛する気持ちがこの仕事を選ばせたのか、この仕事に就いたからワインを愛するようになったのか、エメ・コメラスは50歳を越えた頃から半生を振り返ってはそのように哲学的な自問に対する答を探すようになった。 具体的な示唆があったわけではなかった。兄がボルドー大学の教授であったことも何処かで影響があったのかも知れない。 だが、彼がお金に不自由ない生活を確保し、余生のことを考え始める時期になってそのようなワインに対する特別な愛情が膨らんできたというのは運命というよりは宿命と呼んだ方がよいだろう。 エメは、ワイン生産地としては知名度の低いラングドック地方の農協組合長だった。 実直な人柄で、多くの人たちから信頼されていた。 安物ワインというレッテルも、数で勝負とばかりワイン最大消費国の底辺の礎を担うのだと自分に言い聞かせて来た。 ところが壮年期の真っ盛りに、ふとこれで良いのだろうかと考えるようになった。 それは、このラングドックという土壌に日々暮らす者として、また誰よりもワインを愛する者として、この故郷の土壌が持つだろう無限大の可能性に挑戦したいという願いが心の扉を叩くからであった。 底辺から頂点への挑戦。 もしかしたら、ずっと以前から分かっていたことなのかもしれなかった。 それなのに無理矢理心に蓋を落としていたのは、矢張り生産者たちへの遠慮があったからであろう。 エメが考える高品質への挑戦は、即ち生産量の激減と結びつくからであった。 しかし自分の大いなる夢を現実化させることこそがラングドック地方の発展を牽引する原動力になると確信したエメは、一軒一軒農家を説得することを決心した。 エメの説得は、徒労に終わった。 初めから結果は容易に想像出来たのだが、それでも自分の意見をぶつけたかったからだ。 彼が提案した内容は、例えば一本のブドウの木から摂れるぶどうの房をこれまでの平均30房から8房程度に減らしてテロワール(土壌の風味)を凝縮するとか、除草剤は一切使用せず雑草駆除は人間の手で行うとかであった。 安いワインを大量に売り捌いて生計を立てていたラングドック地方の造り手たちにとって、この提案は正気の沙汰ではなかった。 何故なら、生産量は約四分の一に減少し、それにも増して人件費は増える。 量り売りが一般的なラングドックのワインでは想像も出来ない贅沢なやり方であったからだ。 しかしエメは徒労と知りながらも、毎日農家を訪問しては説得して廻った。 やがて一年の月日が経ち、賛同者は一人も得られなかった。何度も来るエメに対し、最初の頃は農協組合長として敬服して聞いていた農家たちも、仕舞いには愛想が尽きてしまい、そんなにやりたいのならば自分でやればいいではないかと言い出す者が出てくる始末であった。 エメは流石に落ち込み、長い間心の中の暗い淵を彷徨った。 しかしエメの愛すべき長所は、諦めた後は只管前向きに前進するというところであった。 農協組合長という名誉職を辞任するまでに長い時間は必要なかった。 誰も賛同してくれない以上は、自分でやり遂げるしかない。そう決意した翌週、エメは辞任した。妻も年頃の一人娘も、黙ってエメの決断を見守った。 それからというものエメは、金策と土地探しに明け暮れる毎日を過ごした。 そして1984年、ラングドックのブドウ畑を歩き回った後でエメが白羽の矢を射したのは、AOC コトー・ド・ラングドックで最も自然環境が良いといわれるモンペイルーの25ヘクタールのブドウ畑であった。 自分の持つ財産全てを抵当にいれ、銀行からお金を借りて購入した畑は、前のオーナーがブドウ造りに無頓着な人であったことが寧ろ幸いし、人の手が殆ど加わることのない荒れ果てた自然のままであった。 エメが最初にしたこと。それは一本一本の木に対して語りかけることだった。 彼は来る日も来る日も木に話しかけ、会話した。 見る者たちは怪奇の視線を送ったが、彼は畑の中で実に満足していた。 そうして体力の無い木や病弱な木、そしてやる気の無い木には謝りながら間引きしていった。毎朝日の出と共に畑へ行き、日没まで其処で過ごした。 雑草取りさえも、彼は誰にも手伝わせなかった。そうして3年もの間、エメは只管土壌と木の手入れのみに専心した。 漸くワイン醸造を手がけようとした頃、偶然エメと畑へ行った愛娘はその光景に自分の目を疑った。 そして醸造という格闘が始まった。 エメは、本当に美味しいワインの味というものは十人十色で意見が違うと信じ、地元でもワインの味に煩い者ばかり40人を集めて尊属のモニターとして契約し、シラー、グルナッシュなどの品種毎にどのような味が美味しく感じるかを意見させ、全てを網羅する味というのをそれらから逆算し、農作業から醸造までそれに見合うように調整しようと試みた。 勿論理論的な部分は実兄であるボルドー大学教授が活躍した。 二人三脚で行った試行錯誤のワイン造りは、完成するまでに3年間を要した。 つまり、土地を購入してから6年もの間、ワインは市場に出ることはなかったのである。 エメのワインは、地元モンペイルーでは瞬く間に名声を得た。 営業活動をする時間さえ惜しんで畑へ行くエメにとって、地元で買ってくれる人がいればそれでよかった。 しかしある日、ソムリエ世界チャンピオンのフォール・ブラック氏がラングドックへ来て昼食時に偶然エメのワインを口にする機会を得た。 そしてブラック氏はそのままエメに会いに行ったのである。家族に来訪を伝えると、エメは畑にいるという。 待たせてもらうと言えば、夜まで戻らないという。 仕方なしにブラック氏は自ら畑へ向かった。そこで彼は、衝撃的な光景を見た。 木が喜んでいる・・。木が尻尾を振ってエメらしき人物に寄り添っている。 そんな馬鹿なことが。ブラック氏は目を擦ってもう一度凝視した。 木は動かない。いや、動くだろうが、人間の肉眼ではその動きは見て取れない。 果たして木は固定されていた。 否、しかし木は矢張り喜んでいるように見えたのであった。 ブラック氏の後ろから、道案内について来たエメの娘がその光景を見て、自分が数年前に感じた驚愕を思い出していた。 ブラック氏がその後、公の場でエメのワインのことを賞賛した時の言葉が残っている。 「フランスを代表するワインだ。」 王様のブルゴーニュ、お妃様のボルドーでもない、名も無い南のラングドック地方。 瓶詰めされたワインなんて誰も作らない地方で農協組合長が一念発起して立ち上げたフランス片田舎の誇り。 今では世界中のネゴシアンが買い付けに来て、フランスでさえ売り出された瞬間に売り切れるエメのワイン。 地元では1人2本までしか売ってくれないほど愛されるエメのワイン。 エメとは、フランス語でAime(愛する)。 彼のブドウに対する愛がラングドックという地方を進化させる扉を開いたのである。

13
Nov

笑顔率100%!レミー・スリエと楽しい一時を!DOMAINE SOULIE – ST CHINIAN, LANGUEDOC

香草畑の景色が目の前に広がっていく中、予想もしていない場所にポツンと建っているモダンな家が一軒。田舎のど真ん中なのに何てオシャレ!ここで400年前から有機栽培をしているドメーヌがあるという。 早速尋ねてみると、ニコニコな笑顔で出迎えてくれたRémy Soulié*レミー・スリエさん。初対面なのにジョーク連発、とても親しみやすく、絶対に嫌うことの出来ないほど優しくて面白い方! まだ41歳ですがもうすでに23回目のヴィンテージ!自分の職に自信を持ち、人生を楽しんでいる、まさに『Dont’t Worry, Be Happy 』、『心配はいらない、幸せになろう!』と言う言葉がピッタリと当てはまる人です! Domaine des Soulié*ドメーヌ・デ・スリエとは1610年から存在し続ける造り手です。当時は化学物質などは当然無く、醸造家は皆有機栽培で植物を育てていました。この栽培方法を、このドメーヌは化学の発達に影響もされずに長年守り続けてきたのです。 土壌は全て粘土石灰質。この岩と回りに生えている香草がワインに綺麗なミネラル感とスパイシー感(野性のタイム、ローズマリー・・・)を与えているのです。 レミーのワインはとても繊細でフレッシュ。自分が興味を持っているブドウを育て、ワイン造りを楽しんでいる彼。 お父さん、Jean-Paul*ジャン・ポールさん曰く、 『レミーは昔から陽気だ。だから彼のワインも陽気なんだ!ワインには造った人の性格が出ている。このドメーヌのワインは全てが軽い弾みで飲める、生き生きとしてサッパリとしたワインが多いんだよ!』ですって! でも本当に仲良しなんでしょう、2人共笑顔が耐えないです! ランチにしよう!と、テーブルに座った瞬間、栗を見つけたオザミの菅野さん。即行リクエストに答えようと、庭の暖炉で栗を焼いてくれるレミーさん。 ←『これは、ブニェット*Bougnette だよ!豚肉とパンの身で作ったシニャンの名物なんだ!一度食べたらやみつきになるから!』と嬉しそうに教えてくれるレミー。 → こちらが焼けた後。本当に美味しく、カリカリしていながらもトローと蕩ける感触がグー!確かにワインのおつまみには抜群かも! レミーのワイン、マルサンヌ100%に漬けてあるキノコのおつまみです。とても酸味が利いていて美味しい! 待っていました、プリップリな手作りソーセージ!ジューシーで香ばしい〜! お父さんのオリーブ畑で朝収穫して来たオリーブの実です。やはりスーパーなどで買うオリーブとは味も色も全然違う!歯応えがあり、香ばしさもあり、香草の香りがとても染み込んでいます。 シンプルですが最高に美味しい様々な料理に、皆さんも手が止まらなくなります。 そしてお料理と一緒に頂いているドリンクは・・・・ フルーツの香りが口に広がるキュべ・マルサンヌ 07*Cuvée Marsanne 07(マルサンヌ100%)と、熟成感たっぷりのメルロ07*Merlot 07(メルロ100%、樹齢35−40年)です。 他にも、キュベ・レミ 07*Cuvée Rémy 07 サンソー80%、シラー20%、樹齢35−40年 とてもミネラルが含まれているフレッシュなロゼ!酸味とアルコールのバランスがパーフェクト!フルーツの甘さは控え目だけれども存在感がしっかりとある、繊細な味わいです。 伊藤さんとレミーは仲良し! 見てください、2人の笑顔!一体何を話していたのでしょうか・・・? 彼には不思議な力があります。彼といると、誰もが自然と笑顔になっていくのです!まさに心を安らげてくれる存在ですね! そしてデザートには先ほど焼いておいた栗と、オザミ限定ワイン、キュベ・ブーが登場!このマリアージュがまさに最高!どうしてこんなに合うの?!とビックリするほどの美味しさ。   キュベ・ブー 08*Cuvée Bou 08 サンソー100%、樹齢35−40年 2008年のキュベ・ブーは前年に比べ、より繊細で爽やかです。しっかりとした酸味もあり、パワフル感もあり、ミネラル感たっぷり!サンソーなのにピノのような味わいがとてもエレガント!アペタイザーなどに、グイグイといけちゃいそうなワインです! お腹もいっぱいになった所でレミーの醸造所へレッツ・ゴー! とても大きい醸造所。とそこには今年のブドウで詰まった立派なステンレスタンクがキレイに並べてあります。その中にはサンソーやシラーなど様々な品種が発酵中! 収穫後、厳しい選別を終えたブドウ達は、重力の法則でタンクの中に流れ込んでいくのです。この作業も実はとても重要な役目があるのです。ここでブドウを優しく扱わないとブドウの実は潰れてしまい、粗いタンニンや風味が出てきてしまいます。そうするとワインの出来は悪くなってしまい繊細さにも欠けてしまいます。せっかくキレイなブドウを収穫したのに、丁寧に段階を進めていかないと全てが無意味になってしまうのです。 シラーを試飲中の杉野さん。彼の真剣さが伝わってきます。でもポーズにし、やはり決まっていますね! 木樽の中身は発酵中のブドウでいっぱい。このブドウはマルベックの品種です。新樽で1週間発酵させた後は、2年間の間樽熟成させます。そうしたら酸味が残り、さらに存在感のある味わいと仕上がります! そしてレミーさんの『宝の部屋』、カーヴへと侵入。ここで眠っているのは、繊細でミネラルな今年のピノ・ノワールや、フルーツ感たっぷりで甘いグルナッシュ!彼が収穫するブドウは熟成度が高い。それは南仏の気候の特徴でもあるが、熟成度が高いと、当然ブドウ内の糖分の量も多い。そうすると、全ての糖分がアルコールに変わり終えるまで、時間が掛かる。しかもレミーの醸造方は全てが自然方法。そのせい、マロラクティック発酵がなかなか起きない場合もあるのです。この第二次発酵が起きるまで、樽の中でワインになりかかっているブドウ果汁を保存しておくのです。 オザミの皆さんへと急にキュベ・ブーを瓶詰めし始めるレミー。 そしてオザミの杉野さんも負けずにと初瓶詰めに挑戦! キュベ・ブー今年の初一本完成!そして2人の幸せそうな笑顔を記念にパシャ! 本当にいつも笑っているレミーさん、こっちまで楽しくなってきます! 今日は初体験が多い杉野さん。瓶詰めの後は、コルクの押し作業です! こんなに古そうな、シンプルな機械でコルクを瓶の口元に押し込むのです。 最後はお父さん自慢のオリーブ畑でお散歩です。 オリーヴの木は平和を表しているらしいです。 オリーヴの葉っぱは枯れず、年中いつも緑です。小さな頃からここに来るのが好きだったレミー。 気持ちが落ち着いて、安らげる場所なんですって! 先ほど食卓に出てきたオリーブはここで摘んできた物。 『醸造家とは共同作業というより個人主義の仕事だよ。それぞれ、自分が感じたようにワインを造れば良いと思う。皆別々な人間なんだ。だからやり方や考え方に違いがあるのは当然なこと。そこが面白い所でもあるし、そのお陰で、皆 自分の個性を生かしたワインが造れる。どのワインでも、グラス一杯の中に、造った人の性格が出ていないと平凡なワインとなる。僕は僕なりに、楽しいワインを造っているつもりだ!』と熱く語るレミーさん。 確かに彼のワインには笑いや幸せ感がビッシリと詰まっている感じがする。一杯飲んだ後、ホッとする気持ちはレミーさんの存在そのものなのかも知れませんね!

9
Oct

文明から孤立する孤高の仙人、PAUL・LOUIS・EUGENE

ポール・ルイ・ウジェンヌ復活 『ポールに逢いたい。』 僕は運転席の伊藤さんに言った。思えば、伊藤さんと出逢った10年前に初めて飲ませてもらった自然派ワインがポールのアビリ(HABILIS)で、それが切っ掛けでこの世界に陶酔した。それもあり、どうしてもポールに逢いたかった。しかし、遠慮していたのも事実である。何故なら、ポールには個人的事情があったからだ。収穫の時期に合わせてミネルボアとコルビエールで蔵元巡りをしないかと誘われて取材することになり、ナルボンヌ駅で待ってくれていた伊藤さんの車に乗り込んで少し経った時のことである。 伊藤さんがポールと知り合ったのは、偶然の賜物。伊藤さんがミネルボア地域の蔵元巡業をしていた時、山手にあるシラン村へ行こうと車を走らせていたら、道に迷ってしまった。随分山奥まで入り込んでしまい、不安になりそろそろ引き返そうかと思った頃に突然眼前にぶどう畑が現れたのである。地図にも載っていない山奥にあるぶどう畑。引き寄せられるようにそのまま車を降りて、一つだけポツンと建っている小屋へ向かった。 その小屋の住人であり、ぶどう畑のオーナーであったのがポール。見知らぬ東洋人の突然の来訪に戸惑ったが、ワインのネゴシアンだと名乗ったその東洋人にワインを振舞ってくれた。その時の伊藤さんの驚きは言語に絶する。酒を口に含めば、当然酒の味がする。古今東西どんな酒でもそれは同じ。酒の種類によって違いはあれど、ワインも例外ではない。ところがポールのワインを口に含んだ伊藤さんが感じたのは、酒でありながらも同時に体液だった。つまり違和感がない。 伊藤さんは思わず取引を申し出た。ポールは一言だけ言って快諾した。 『俺のワインは、ここに辿り着いた者にしか売らない』 ポールはその山小屋に住んでいた。聞けば、自給自足の生活だという。確かに見渡すと、ぶどう畑の他に野菜畑、養鶏、養豚まで手がけていた。下界に下りて買い物するものといえば、塩と洗剤、歯磨き粉等、極限られたものだけだと言っていた。 興味深い逸話がある。伊藤さんが醸造元によくする質問を投げかけた。美味しいワインを造る三つの秘訣を教えて欲しいと。するとポールから返って来た答は意外なものだった。『必要なのは一つだけ。貧乏に耐えることさ。』秘訣は山ほどある。美味しいワインには美味しい理由が絶対にある。この質問をすれば、99%の蔵元は自慢げに長々と語るのが常なのに、ポールは違った。その貧乏に耐える」という短い言葉の中に、ポールが如何に命を懸けているかが窺えた。剪定では枝毎に一つしか芽を残さず、肥料、農薬は全く使用しない。つまり、冷害や病気によるリスクの回避は全く行わない。そればかりか、醸造したワインも自分が納得するレベルになるまで出荷しない。 つまり、気に入らなければ何年も出荷はされずに樽の中に眠ることになる。最低限に絞り込んだ生産量で最高の品質を求め、しかもその出荷はいつになるか例年決まっておらず、そして来た者にしか売らないわけだ。これではお金が回転するはずがない。伊藤さんはこの偶然の出会いをもたらしてくれた神に感謝した。 ところが21世紀を迎えて間もない頃、そんなポールに不幸の神が舞い下りました。詳しい理由は本人以外知らないのですが、大切な畑の所有権を失ってしまったのです。それはまるで羽を捥ぎ取られ奈落へと落ちる絶望の最中に、大鷲の鋭い嘴に喉の肉を啄ばまれるような試練でした。 ポールを復活させたダニエル

2
Oct

La Tour Boiséeでお腹いっぱい !!!

2008年のフランスの天候はカタストロフィック(壊滅的)、大雨や雹、収穫量も激減、さらに収穫時期になってもぶどうの糖度がなかなか上がらず、苦労している。 そんな中、コルビエールや、ラングドックでもカルカッソンヌよりの地区では、乾燥。7月、8月と雨がほとんど降らなかったそうだ。 そういうわけで、今年も、La Tour Boisée のヌーヴォー用ぶどうは、順調に収穫され、醸造も順調に進んでいる、プドゥーさんも満足気だ。 収穫前の樹齢60年のカリニャン ちょうど、この時期、代官山のパッションさん家族が、パッションさんの故郷であるカルカッソンヌにヴァカンスで滞在されているということで、一緒に写真撮影。この、1週間後には、パッションさんのお店のお客さん15名がボワゼにブドウの収穫にくるそうだ。 <レストラン パッション> 東京都猿楽町29−18、ヒルサイドテラスB1  TEL : 03−3476−5025 今年のヌーヴォー(新種)を一足先に試飲。 まだ、発酵が終わっておらず、残糖がある状態であったが、 今年のぶどうの熟度を感じる、果実味豊かな出来であった。 ここから、マロラクテティック発酵が終わり次第、清澄作業をしてビン詰めである。 今年のブドウ品種は、メルロー70%、シラー30%。 プドーさん、パッションさんは、この地方の名物料理、カッスーレの会のメンバー。 カッスーレといえば、フランス人でも、そのボリュームにびっくりするほどの料理。 毎年2月に、日本のパッションさんのお店でカッスーレの夕べが開催され、ボワゼのワインとともに、料理をみんなで堪能しているそうだ。しかし、今回の料理はカッスーレではなく、トリップ(内蔵の煮込み)。 ブーダンや、ソーセージ、パテ トリップ(内蔵の煮込み)、これが後引く旨さ トリップの苦手な人用の豚肉のロティ プドーさんの畑のぶどう。チーズとともに                       ワインのキュベ名にもなっている2人の娘さん Mariel et Frédérique( マリエル・エ・フレドリック)、 奥さん Marie-Claude( マリー・クロード)。 今回の料理にはぴったりのワインでした。 La Tour Boisée のワインの輸入元 *株式会社 MOTTOX  東京03−5771−2823 大阪06−6723−3133               *La Tour Boisée ホームページ(英・仏)http://www.domainelatourboisee.com/ Plantation1905 のぶどう畑

29
Sep

ミネルボアの自然派マゾヒスト!ジャン・バティスト・セナ – Jean Baptiste Sénat 

コルビエールにマキシム・マニョンが居れば、ミネルボアにはジャン・バティスト・セナあり! このセナの凄いのは、とにかく自分をとことん追い詰めるということ。マゾって、正しい表現ではないかもしれないけれど、でも見ればそう思ってしまう。学者が学問を何処までも追及するように、セナは只管ぶどう栽培の探求に明け暮れて来ました。そう、まるで学者。だってセナも奥さんも二人共、ワイン農家になる前はパリで学校の先生をしていたのです。しかしワインへの情熱が二人を突き動かし、気付いた時には教職を辞職しここミネルボアのぶどう畑にたっていました。 お祖父さんが所有していた畑を引き継いだのですが、平地の畑が多かった。平地の畑からできるぶどうの品質に不満を感じていたセナは、叙叙にそれらを売却しては山間の急な斜面ばかり買い漁るようになりました。それらは勿論ぶどう栽培には難しいといわれる場所であり、放っておいてもぶどうが完熟する恵まれた自然環境のミネルボアではまさにマゾ的存在に思われています。セナに直接理由を聞いてみました。彼から返って来た返事は、こんな自然環境の良い場所でぶどうを栽培してワインにすると喉に引っ掛かるほど力強いワインに仕上がってしまうからだそうです。 それがミネルボアの特徴だとも思うけれど、でも彼は飽くまでもBuvabilite(= 飲みやすさ)を限りなく追求するために、敢えて標高が高く、痩せた土壌の北側斜面ばかりを選んでいるのだそうです。つまり、養分が行き届きすぎないことが果汁過多の水ぶくれぶどうにせず、皮の厚い引き締まったぶどうに仕上げ、また北側斜面にすることで太陽による日焼け過多を防いでいるのです。 全体で15ヘクタールあるセナのぶどう畑。栽培している品種は、カリニャン、グルナッシュ、ムールベルド、サンソー、シラーがあります。 平均樹齢は50年。 その中でもセナが特に力説するのが、カリニャン。 「カリニャンはラングドックを代表するぶどう品種だと思う。元々はスペインから来たこの品種は、通常大量生産の安物ワイン用だと思われていることが多い。でも栽培で数を絞って丹精込めて育てればとても高品質なものが出来る。特にこの辺は乾燥しているわけだが、カリニャンは乾燥にとても強い品種でもある。まさにカリニャンこそこの地域では王様なんだ。」 さらに彼はぶどう畑を先導し、誇らしげにその出来映えを見せてくれた。 情熱的な太陽が降り注ぐミネルボアだからこそ、勿論剪定はゴブレ方式。 「栽培指導の先生たちは兎角太陽に浴びせろと説明するけれど、その加減は各地域の自然条件によって当然変化する。そんな簡単なことも学者さんたちは解らないんだ。」 そう言い切るセナは一房のぶどうを指差して、ぶどうの粒さえも房の中で適当な間隔を空けていることを自慢した。 もし房の中でぶどうの粒がびっしり詰まっていたら、接触した部分から病気になったり腐ったりする可能性があるらしい。 この粒と粒の間隔が適度に出来る理由も、偏に土壌がしっかりしている(痩せている)からだという。 収穫するセナのチームは、皆楽しそうだ。セナが一人のおじさんを指差して、彼はスペイン人でずっとセナを手伝ってくれていて、一日に3リットルのワインを飲むのだと紹介してくれた。おじさんはそう言われるとはにかんだ照れ笑いを浮べていた。 皆で笑っていたら、今度は浅黒い肌をした若者がトラクターに乗ってこちらへ近づいて来た。 セナが子供のような表情で運転を代わり、1971年製のトラクターなんだと言って微笑んだ。 二年前、斜面の畑を運行中に一度横転して死に掛けた逸話があるとか。 「こいつとは腐れ縁で、運命共同体なんだ。 」そう言うと少年の様な目で見ている伊藤さんも座席に乗せて記念撮影。 ところで100%手摘みに拘るセナを尻目に、周囲の畑を見渡すと機械摘みばかりが目に入る。セナにそれを指摘すると、待ってましたとばかり講釈が始まった。 「ミネルボアでは昨今90%以上が機械摘みになってしまった。機会摘みして傷つけたぶどうをトラクターの荷台に詰め込んでその重さで下層のぶどうが押し潰されて空気に触れて酸化して、その結果多量のSO2を入れるはめになってしまう。しかもそういう輩たちはタンクに入れる際にポンプで吸い上げるので果汁の分子構造が崩れてしまい、結果的に粗悪な品質のワインに仕上がってしまう。少なくともそんな環境の中で、手摘みに拘る少数派であることに強いモチベーションを感じる。たとえ何十倍も労働しなければならないにしても、高品質なワインを造るのだという強い意志を貫徹して行きたい。 」 放っておいてもそこそこのワインが出来てしまう恵まれた環境。 そんな環境で敢えて厳しく己の仕事に真価を問いながら成長し続ける男の姿が美しかった。

26
Sep

コルビエールに現れた期待の新星!マキシム・マニョン

パリからTGVに揺られて4時間余り、ナルボンヌ駅を降りると夜だというのに生暖かい空気に身を包まれた。パリでは日本の晩秋を彷彿させるような気候が続いているのに、僅か数時間電車に乗るだけでここまで寒暖の差があるとは流石は南仏である。この一帯こそ、我等の伊藤さんが自ら「庭」と呼ぶ地域である。フランスには多くの自然派造り手が存在するが、この辺りはその密度が特に高い。理由は、特に何もしなくても自然なワインが出来ることにある。化学薬品に汚染されていない恵まれた土壌、潤沢に注がれる黄色い太陽。放っておいてもぶどうたちは自然に完熟する。 そんな地方のコルビエール村に、数年前から自然派の異端児が颯爽と姿を現した。 その名は、マキシム・マニョン。35歳の彼は、細面で優しいマスクと強い心の持ち主。ボジョレーのマルセル・ラピエール等に学んだ若き才能は、自分の可能性を開花させる為の舞台を自分には全く縁も所縁もないこのコルビエールという南仏に選んだ。理由の一つは金欠という悲しい現実、もう一つは放っておいても(敢えて大きな努力をしなくても)自然派になるという土地で最大限努力した誰にも負けない自然派ワインを造ろうと思ったことである。マキシムは、ぶどう農家や醸造元ではなく、普通のサラリーマンの家に産まれた。しかし幼い頃からワインに興味を持ち、両親を説得してディジョン市のワイン学校に進学した。ワイン学校に通う他の生徒たちを見ると、自分以外は全員父親が醸造元だった。所謂コネがないマキシムは、貪欲に著名な造り手の蔵元にコンタクトし、研修させてもらう機会を貪った。その結果、シャンパーニュ地方のジャック・セロス、そしてボジョレーのマルセル・ラピエール等で研鑽出来たのである。 僕達が待ち合わせのカフェで寛いでいると、マキシムは小型トラックに友達を数人乗せて到着した。僕は勿論今回が初対面であるが、伊藤さんもマキシム以外は知らないと言った。聞くと、丁度収穫に行くところだという。一年で最も緊張し、一年で最も重要な収穫の日に連れて行ってくれると聞いて僕達は感激した。マキシムの話では、収穫は昨日までで約三分の一が終わっていて、後十日程で終わるそうだ。今年のぶどうは最高に良い出来映えだということで、是非楽しみにしていて欲しいと胸を張った。 現場に到着すると、先発隊がすでに作業を始めていて、僕達もすぐさま作業に取り掛かった。ここの土壌はシスト土壌に石英質の石がごろごろしている。大昔は火山だったようだ。 この痩せた土地が良いぶどうを育てる。理由は、肥沃な土地であればぶどうに栄養が行き届きすぎてしまい、皮が薄くなって果汁が増えてしまう。一見理想的だと錯覚してしまいそうだが、実は美味しいワインに変身するぶどうはそれではいけない。生食用のぶどうとはメカニズムが違うのである。 ワインの旨みに変身する重要要素は、果汁も大事だがそれ以上に種と皮にある。大きな種と分厚い皮、それらが醸造の後複雑な味わいに変化するのだ。グルナッシュ・グリ(白ぶどう)は既に収穫済みで綺麗に刈り取られていた。今日は赤ぶどうのグルナッシュを収穫する。現在では多くのぶどう農家が品種毎にぶどうを植えるようになったが、昔はこのマキシムのように色々な品種を同じ区画で栽培した。コルビエールの古い畑を購入したマキシムにとっては自然なことである。 マキシムの畑に見られる特徴の一つとして、ゴブレ方式という剪定の方法がある。これは意図的にぶどうの房に葉っぱで日陰を作るものだ。聞いた時、正直疑問に感じた。何故なら、ぶどうの房には通常太陽の光を元気一杯浴びさせないといけないからだ。例えばボルドーでは、ぶどうの木の横に棒を立て、その棒にぶどうの枝を針金で結びつけてぶどうの房を一直線に伸ばす。これは全てのぶどうの房に出来るだけ均等に多くの太陽光線が当たるように考慮されたものだ。無論、ここコルビエールでも隣接する畑の多くはそのようにしている。反対にマキシムのようなゴブレ方式を採用している農家は実に少ない。しかしマキシムに言わせると、コルビエールのように強い太陽が降り注ぐ地域では、ぶどうも人間と同じく焼けすぎに注意しなければいけないそうだ。むやみやたらに肌を焼くと醜く焼け、健康も害するのと同じように、ぶどうも焼けすぎると健康を害するという。 日射量の少ない北の地方からすれば贅沢極まりない悩みだろうが、そうしないとマキシムの理想とするワインは出来ないと豪語する。つまり、北の地方の課題は日射量の少ない中、如何に完熟させるかであり、南の地方のそれは日射量が多すぎる中、如何に酸を残すかであるからだ。ワインとは、どんな地方で造ろうとも酸と糖のバランスで出来上がる。シーソーの両端で酸と糖がバランスを取って出来るものである。ぶどう品種や日射量、土壌、造り手の心の波動、色々なものでそのシーソーの中心点は右に振れたり左に振れたりするのだが、ここコルビエールでは殆どの農家が日射量の多さをいいことに酸が殆ど残らないぶどうを栽培してしまっている。いや、酸を残す努力をしていないというのがマキシムの言い分だ。 現在マキシムの畑は所有するものと借りているものがあるが、合わせると約11ヘクタールになる。今回のレポートを読むだけでは簡単そうに聞こえるかもしれないが、ここまで来るのに5年の月日を要した。言わずもがな、コルビエールは田舎である。田舎とは、概して新参者には厳しい所である。マキシムは、そんな環境に馴染むために当初は毎朝村民たちが集うカフェへ行き会話に交じり、農協へも毎日のように脚を伸ばして人間関係構築に邁進した。自分にしがらみも何もないからこそ出来た営業活動である。ちなみに今年のぶどうの出来映えを聞いてみた。 『2008年はフランス全体的に湿気が多くてミルデュー(ベト病)が多く発生したが、ここでは全く乾燥しているのでそういった被害はゼロだ。自分の中で最高の年と言っても過言ではない。普段は4つあるキュベだが、今年は特に出来映えがいいので特別に1つ追加してMort Redon というグルナッシュ100%のものを用意する。楽しみにしていて欲しい』 収穫後、醸造所へ連れて行ってもらい何種類か試飲させてもらった。 今月7日、9日に収穫したばかりのグルナッシュ・グリやムスカ等、発酵途中の酵母菌が溌剌としたものばかりだった。伊藤さんと一緒に、Buvabilité  (= のみやすさ)と感嘆した。その本来の意味は、体液に近く違和感がないという意味である。