20
Oct

“足る”を知る醸造家 ブノワ・クーロ BENOIT COURAULT 09収穫

足る を知る、アンジュの自然児ブノワ ブノワは深いところで人生の大切な部分を理解している。生き方そのものが自然で無理がない。生きる上で無駄なものは省いて、最低限必要なものだけを大切に生きている。7ヘクタール弱の葡萄園の片隅に小さな小屋を建てて夫婦と子供の3人暮らしだ。最初はテントでの生活だった。でも本当に暖かく余裕の生活をしているのを感じる。深いところで“足る”を知っているのだろう。お金に目がくらんで右往左往している昨今の世上とは正反対の人生をいくブノワだ。今、若い人ほど生き方と環境には敏感だ。 そんなブノワの生き方に共感を抱く人達が集まってくる。まさに、今、マネー・ゲームで成功・墜落を繰り返している欲と権謀の金銭的、物質的なエゴの塊の世界とは無縁の世界だ。 こんな若者達がいる事だけでもホットする思いだ!そんなブノワが最も自由で贅沢な生活をしているのではないかと思う。 07、08年とベト病の大発生で収穫量が極端に少なかった。でもブノワは動じない。自分の畑には野菜も動物も飼っている、自給自足がほぼ可能だ。ブノワのワインは金メダル、パーカー・ポイント、どこかの有名ソムリエが評価、などという飾り文句はいらない。本当に貴重で、自然で、美味しく、エネルギーが詰まったワインだ。 ワイン造りを初めて最高の品質!2009年

20
Oct

元気溌剌カトリーヌのドメーヌ・ブルトン収穫09BRETON

いつも元気で溌剌しているカトリーヌ、そんなイメージがワインにもある。元気印のブルトンの収穫だ! カトリーヌは自然派を支える中心的人物だ! カトリーヌは自然派最大の組織的試飲会ディーヴ・ブテイユを最初に企画・実行した重要人物だ。約10年前、親友の女性ワインジャーナリスト、シルヴィー・オジュロと一緒に企画した。 最初は2月のロワールワイン見本市の時にオフ・試飲会として20名ぐらいの自然派醸造家を集めて楽しみながら情報交換会も兼ねて始めたのが最初だ。今は自然派最大のイベントになっている。最初は内輪的な会だった。 このイベントのお陰で自然派ワイン全体の品質が向上した。 何故ならこの会には自然派の重鎮から新人まで幅広く集まってくる。 それまで孤立していた醸造家たちが、この機に多くの醸造上の問題点などの情報交換ができたからだ。自然派ワインから還元臭が消えたり、限りなくクリアになってきたのはこのお陰だ。 ある意味で癖のある自然派の人達が、これだけ多く集まったのは、多くの人から愛されているカトリーヌの持つ明るさと人徳パワーだ! 活気と笑顔が絶えない ブルトンの収穫には多くの熱狂的ファンが集まってくる。元パイロット、映画業界人、アメリカのボストンから女性ソムリエ、薬剤師、ブルターニュのワイン屋などフランス中、世界中からやってくる。 一年の大切な収穫の時期を大切な人達と喜びを分かち合いながらひと房ひと房を心をこめて収穫していく。 ブルトン・カベルネ・フラン09収穫レポート

4
Mar

サンセールの神、ドメーヌ・ヴァシュロン!

*******ドメーヌ・ヴァシュロンの歴史******* サンセールで今話題になっているドメーヌ・ヴァシュロンの歴史は、曾祖父のマルセル・ヴァシュロンさんがこのサンセールの町で初めてブドウ木を植えた瞬間から始まりました。しかし彼は他の栽培もやっていた為、マルセルさんの息子、ジャンさんがブドウ栽培の後を継ぎ、ピノ・ノワールを植え加えてから、本格的にワインの世界に入り込んでいったのです。その後ジャンさんの息子達、ドニとジャン・ルイはドメーヌにカーヴを建て、今では最も偉大なサンセール・ルージュの生産者となり、ドニはアペラシオン・サンセールの議長を務め、小さなドメーヌの管理士として働き、ジャン・ルイはドメーヌのカーブの管理士として今でも働いています。 現在ドメーヌはドニとジャン・ルイ各それぞれの息子達、ジャン・ローランとジャン・ドミニックが後継いでいます。ジャン・ローランはブルゴーニュで有名なオベール・ド・ヴィレンヌ氏の下で経験を積み、2002年(32歳)の時にドメーヌへ、そしてジャン・ドミニックはシャトー・ヌフ・デュ・パップで働いた末、1993年(21歳)の時ドメーヌを改造し、後継ぐ事を決心しました。 *******何故ヴァシュロンのワインは天才的に繊細なのか?******* 一体何故ここまで繊細でエレガントなワインが出来上がるのか? まず最初に、二人の父と二人の息子は目には見えない深い絆で繋がっているのだなと強く感じました。今では息子に栽培・醸造を任しているお父さん達。彼らは自分達の知っている知識全てを後世に伝え、今では息子達を優しく影から見守っているのです。そして二人のジャンは、前世代の伝統を守りながらも新しいアイデアを取り入れ、父達に恥じ無いようなワインを造り出そうと心がけています。お互いの信頼感、そして尊敬し合っている気持ちがとても強く伝わってきます。 『私達の父達が、自分の力と努力、知識でこのドメーヌの全てを造ってきました。そして私達はその努力を無駄にしないように、そしてその歴史を誇れるように頑張らなくてはならないのです。その思いが我々の力となり、モチベーションとなっているのです。 又畑というものを甘く見てはいけません。些細な事でも容赦しないし、毎回決闘を申し込んできているような感じです。ですからどんな状況を目の前にしても謙虚さを保ち、ブドウの木が何を必要としているのかを聞いてあげないと、美味しいブドウは生らないと思っています。』 しかしヴァシュロン一家にはもう一つ悲しくも力になった出来事が一つあるのです。それはワイン造りの天才とも言われていたもう一人の息子の死です。 挫けざる終えないこの悲しみを乗り越えるためには、更に美味しく、更に繊細なワインを生み出すしかなかったのです。ヴァシュロン一家の絆はさらに深まり、思いは一団と結集し、そこで出来上がったのが、他では味わえない繊細そのもののピノ・ノワールだったのです。 ジャン・ローランの経験は驚くほど豊富です!ロマネ・コンティの畑で醸造しただけでも凄いのに、他国でも彼の評判はトップ・レベル!オーストラリアやアメリカ、ニュージーランドから南アフリカまで、世界中のブドウ畑が彼の手に掛かっているのです! 『色々な国で経験を積む事によって、予期せぬ出来事が起きても冷静に対応する事ができるようになりました。また様々な場所に行って毎回思うことは、やはり素晴らしい人々に出会えるという事。今でも連絡を取り合い、畑の状況や醸造でのハプニングなど色々と分かち合えるので、終わり無き勉強が出来てとても為になるし ,本当に幸せな事だと思っています。』 *******ドメーヌ・ヴァシュロンの栽培・醸造方法*******    ドメーヌ・ヴァシュロンにとって、そしてもちろんこれからワインを造っていく彼らにとって、自然栽培は最も重要な点でした。二人のジャンはドメーヌの全畑を完全に自然派栽培に転換させ、テロワールのありのままの表現を引き出す為、2003年にはビオディナミ栽培へと転身しました。 『テロワールをありのままに表現出来るのは、ビオディナミ栽培しかない。未来のグラン・クリュは自然栽培に掛かっている。全ては時間の問題だ!』と主張するのはジャン・ドミニック! 『畑では摘芽や摘果、耕作を行い、収穫量をなるべく抑えています。例えば、サンセールで許可されている平均70 hl/haの収穫量に当たり、私達はたったの50hl/haしか収穫していません。そして化学物資は一切使用していないし、肥料も堆肥しか使っていません。病気が発生していなくても、イラサクや植物で出来た薬で対処方法。このおかげで土はより健康的になり、テロワールのバランスもより保てます。そして収穫はもちろん手摘み作業。後忘れていけないのはブドウ畑とカーブでの厳しい選別ですね。テロワールの風味の特徴を引き出す為には、完璧な熟成度を達したブドウを収穫する事が第一条件です!』 地質は全てシレックスと石灰質、そして貝殻の化石が落ちています! ヴァシュロンは40個もの区画を栽培しています。ピノ・ノワールが11Ha 、そしてソヴィニョンが32 Ha。この32Haの中、ミネラル感バッチリの『レ・ロマン』という区画の面積はたったの7 Ha。そして、この区画内から更に厳しい選別の末選びぬかれた、たった2haしかないヴィエイユ・ヴィーニュのブドウのみが最高級の『レ・ロマン』のワインに使用されるのです。 ドメーヌのワインの特徴は? シレックスの土壌はミネラル感と華やかな花の香りをワインに与えています。 逆に石灰質の土壌で造られたワインは若いときに飲むととてもフレッシュで繊細。そしてなによりもフルーツ感が特徴的です。私達の目標はなるべくエレガントで繊細で長期間保存出来るワインを造ることです。 今後の目標は? 第一に私達は自然を守る事が大切だと思ってます。『環境に優しく』が私達のモットーです。ですからパッケージングにはリサイクルされたボール紙を使用しています。 そして第二の目標はもっとまろやかなタンニンを特徴としたフルーティな赤ワインを造る事です。そのために、トロンコニック・タンクで赤ワインを熟成しています。 トロンコニックタンク 『偉大なワインを造るには、健全なブドウが必要です。しかしソヴィニョンの最大限の力をまだ私達は発揮できていません。ソヴィニョンは偉大な品種ではないですが、フルーツのポテンシャルを最高に保ち、テロワールを見事に引き出してくれる品種です。』 *******ドメーヌ・ヴァシュロンのワイン******* Domaine Blanc 08 *ドメーヌ・ブラン08  品種:ソヴィニョン100% 樹齢:25年 テロワール:シレックス45% + 石灰質45%+ 白亜紀の泥灰岩10% 収穫量:50hL / Ha 醸造:ステンレスタンクでの醸造 熟成:ステンレスタンク + トロンコニックタンク(10%)でのシュール・リ熟成 特徴:石灰質のテロワールがリッチ感を、そしてシレックスのテロワールが繊細さをワインに与えています。収穫時期は通常の1週間前に行いました。真直ぐでまろやか、そしてミネラル感があふれ出ていて、熟成されたブドウの綺麗な酸味が味わえます。ピーチなど柑橘類のフルーツと、白い花の香りが特徴的です。 Domaine Rouge 08 *ドメーヌ・ルージュ08  品種:ピノ・ノワール100% 樹齢:30年 テロワール:シレックス50% + 石灰質50% 収穫量:40-45hL / Ha 醸造:100%エグラパージュされたブドウをステンレスタンクで30日間醸造 熟成:木樽50% + トロンコニックタンク50%で1年間もの間熟成 特徴 : 蕩けながらも引き締まったタンニンと、シレックスが与える繊細さが特徴的!赤フルーツの香りが永遠と漂う綺麗なバディのワインです。このキュベを表すにはエレガンスという言葉しかないでしょう! Les Romains 08 *レ・ロマン08  品種:ソヴィニョン100% 樹齢:28年 テロワール:シレックス 収穫量:30hL / Ha 醸造:ステンレスタンクでの醸造 熟成:タンク50%、樽50%での1.5年間のシュール・リ熟成 特徴 : ミネラル感が溢れ出すパワフルな味わい。ミントのタッチが混ざったフルーツ感が最高!まろやかなボディに爽やか感が加わり、長い後味が残る一品です。 Belle Dame 08 *ベル・ダーム08  品種:ピノ・ノワール100% 樹齢:20年 テロワール:シレックス 収穫量:30hL / Ha 醸造:エグラパージュされたブドウをステンレスタンクで30日間醸造 熟成:新樽40% + 1年樽 + トロンコニックタンクで1年間もの間熟成 特徴 : サクランボやカシス、黒イチゴのアロマが複雑感とたっぷり感をワインに与えています。綺麗なフレッシュ感としっかりと感じられるタンニンが作り出すバランスはまさに完璧!そしてなんといってもミネラル感が凄いです! Domaine Vacheronのワインについてのお問い合わせは: 野村ユニソン株式会社 TEL : 03-3538-7854 […]

17
Fév

Salon des Vins de Loire 2009 〜 サロン・デ・ヴァン・ド・ロワール 2009

2月2日〜4日の間、第23回ロワール地方のワイン試飲会が アンジェの町で行われました。1987年に初めて開催されたこのサロンは、年が経つにつれ規模が大きくなっていき、今では世界中から人が集まるほど欠かせない大事なイベントとなっております。 この3日間の間、600人もの醸造家や協同組合が集まりました。中にも私達と働いている醸造家は何十人もいます!皆に挨拶をするだけで一日が終了してしまいます・・・それだけ大きなこのサロンでは毎年参加する人数も増えているとか・・・今年は9000人ものワイン関係者が訪れました! Val de Loire*ヴァル・ドゥ・ロワールはフランス内でも3番目に大事なアペラシオンです。ロワール地方で造られるワインの75%がAOCワイン、しかも68種類ものアペラシオンがあるので大変!そしてこの量は毎年増えていっているのだそうです! ロワール地方では赤・白・ロゼの3色のワインは当たり前、他にもドライ系、まろやか系、甘口ワイン系、又繊細で上品なワインもあれば弾けるスパークリングワインもテスティングでき、全種類がそろっているのでカヴィストやインポーター、それぞれの要求に応じやすいのが特徴です。 ロワール試飲会はヴィネクスポやヴィニスッド試飲会に比べ規模が小さいので、知っている醸造元と会って話したり、又は新しく若い醸造家とも出会えるので楽しいです! また今後ドメーヌを継ぐ為父親と一緒に働いている子供達も参加するので新しい世代の考え方や今後の目標なども聞け、ためになる事ばかりです! ********************************************************************************************** ルネサンス・デ・AOCに比べると全然規模が大きいサロン・デ・ヴァン・ドゥ・ロワール。皆自分のスタンドに目を付けて貰うため気合が入っています! Château Gaillard – Vincent Girault (AOC Touraine Mesland) スタンドをバーのカウンターに変えてみたり、派手にデコレーションがされてあったり、一際目立つポスターを貼ったりと、皆アピール度が高いです!確かにこのサロンには全国のワイン専門家やバイヤー、記者などが参加するので皆注目を浴びるため頑張っているのです! La Grange Aux Belles − Marc Hoution et Julien Bresteau (AOC Coteaux de l’Aubance) やはり私達と働いている醸造家のワインは大人気! いつ、どこに行っても人が沢山いて賑わっています! Domaine Guiberteau – Romain Guiberteau (AOC Saumur) Domaine du Bel-Air – Pierre Gautier (AOC Bourgueil) Domaine Levasseur Alex Mathur – Eric Gougeat (AOC Montlouis) のスタンドには人が沢山・・・ 反対に、真正面のスタンドには誰も居なくて暇そうでした・・・ ********************************************************************************************** Domaine Guiberteau とてもタンニンが抽出されています。樽熟成なのに樽香はそこまで強くなく、とても果実身が強くフレッシュ。 Domaine du Bel-Air フルーティーでとにかく熟成感が強い!しっかりとした骨格が印象的です! Domaine Levasseur Alex Mathur 繊細+まろやか+フレッシュ!!酸味が綺麗な貴腐ワイン! ********************************************************************************************** 親とワインを造っている、新世代の子供達も多く参加していました!まだ25〜35歳なのでとてもダイナミックでやる気満々!皆親から学んだ自然栽培・自然醸造方法を尊重し、土壌や環境の大切さを分かってもらうため頑張っています。 元々自然派だった醸造家の子供たちはもちろんですが、自然派では無かった造り手の子供たちも環境の重要さや化学物質の恐怖を身近に感じ、ビオへと転身しています。 Sébastien Riffault (AOC Sancerre) マロラクティック発酵された白ワインはトロける感じが最高! Domaine Vacheron−Jean-Laurent et Jean-Dominique (AOC Sancerre) 真直ぐで欠点が一つも無い美味しさ。キラキラと済んでいる白ワインとエレガントさ抜群なピノ・ノワールがお勧めです! Yannick et Benoit Amirault (AOC Bourgueil) 完璧な赤ワイン。 エレガントなタンニンと完熟されたフルーツのマッチングがパーフェクト! ********************************************************************************************** Philippe Tessier (AOC Cheverny) スパイシーなピノ・ノワールとフルーティーなガメイが印象的!数年後に飲むとよりまろやかになって美味しくいただけます! Pierre Bise (AOC Anjou, AOC Savennières) […]

23
Jan

フランスN°1のカベルネ・フラン、ル・クロ・ルジャール

ロワールの帝王・ナディ・フコーファミリー ロワール地方で最も美しいカベルネ・フラン 1663年から存在するこのドメーヌでは、フランス一のカベルネ・フランが味わえると言う。なんでもボルドーのトップ・シャトーの関係者もその秘密の鍵を見つけ出すため、ドメーヌを訪問しに来るという大物醸造家なのです!早速その伝説的なカベルネをテースティングする為、ソミュールの町でワイン造りをしている第8代目のナディ・フコーさんの元へ行って来ました!彼は兄弟のチャーリーさんと共に曾祖父さんの教えを今でも守り、尊重しているのです。 『正確なワインを造ることは皆が想像しているより難しい事ではないんだよ。ただ単に、完熟しているブドウを、絶好なタイミングで収穫するだけなんだ。熟成していないブドウはカベルネフラン独特の青臭いベジェタルな香りが強くなってしまうし、逆に熟成しすぎているとワインが重くなってしまう。』 とびっきり優れた土壌 まず最初に驚いたのは建物です。この地区での土壌は地表には砂や雲母に覆われていて、地下には石灰質で出来た白亜の真っ白な岩盤なのです。この岩盤を切り取った岩石で殆んどのロワール地方のシャトーや建物が造られています。もちろん、クロ・ルジャールのカーヴもローマ時代に掘られたもので、迷路の様に長く、夏でも低温でしかも湿気が完璧なのです。ワインを熟成させるには最良の条件を備えています。このカーヴのなかで樽熟成がゆっくり行われる。低温で最適な環境のカーヴは3年間眠り続けるワインを守っているのです。 しかもこのカーヴの壁の表面はフワフワとして柔らかく、硬貨など物が簡単に埋め込めるのです!カーヴの入り口には何年も前から訪れてきた人々の思い出でいっぱいです! 硬貨でメッセージが描かれています。中には貝殻など、ユニークな思い出を残していった人もいます! そして10haに広がる畑にも、30cmの粘土石灰質とケイ質の土壌の下にはこの同じ岩盤地質が隠れているのです。この土壌は排水力が強く、ブドウ達が水を吸収してしまう前に雨水を排水してくれます。そして乾燥している時期には、ブドウ木の根は岩石の割れ目を伝わって根が岩盤の中深く入り込んでいて岩盤に含まれている水分やミネラルを補給するのです。土がしっかりと耕されているからこそ根っ子はグングンと深く伸びる事が可能なのです。 ————————————————————————– 〜古典的な栽培 & 醸造方法〜 どちらかと言えば大西洋気候のロワールでカベルネ・フランを醸造する事はとても難しい。殆んどのワインが青臭くベジェタルで、ごわごわとしたタンニンが特徴的のワインに仕上がってしまう。その中何故クロ・ルジャールのワインはとても繊細で上品で華やかなのだろう?その答えは古くから伝わる伝統に潜んでいました。 『第一に大切なことは、完璧な熟成度を達したブドウを収穫する事。その為、収穫する日はとても重要だが、更に収穫量を低くする必要がある。私達が目標としている収穫量は35hL/haなんだ。この地区での通常の半分にしか達していない。そして第二は、健全で綺麗なブドウのみ選別して収穫すること、その為、絶対に収穫は手摘みで行う。収穫時の葡萄園でまず一回目のブドウ選別を実施する。その後、醸造所に着いた段階でエグラパージュ時に再び選別作業を行う。ともかく健全なブドウをセレクションする事が最も重要なんだよ。除梗・破砕した後、ステンレスとセメントタンク内でのアルコール発酵と長いマセラシオンがおこなわれるんだ(略3〜4週間)。健全な葡萄のみを使用しているので長いマセラッションをしても繊細なタンニンなんだ。もちろん亜硫酸はこの時点では一度も添加していない。』 『アルコール発酵が終了したら、今度は木樽にワインを移し、マロラクティック発酵が始まるのを待つ。樽は新樽と、シャトー・ラトゥールもしくはシャトー・マルゴー使用の一年樽を使っているんだ。 カーヴ内では湿気がとても多いのでワインは蒸発しにくいが、略24〜30ヶ月間熟成している為、定期的に補酒(ウイラージ)をしている。そして最後のスティラージュの際にワインの安定を保つ為、ごく少量の亜硫酸を足している。もちろん白ワインはコラージュもフィルターも必要以外掛けていないよ。』   ————————————————————————– 〜2008年の出来、そして今後発売される2005年はどうですか?〜 『今年は寒くてブドウの木が凍結してしまった・・・1Haもの畑がダメになってしまったよ。収穫量も10〜12hL/ha位かな。今年は1991年4月21日に起きた凍結に似ていたな。けれどもその年は綺麗に全てを失ってしまった!悲惨だったよ。2008年の夏の気候は最悪だった。しかし幸に9月中にお日様が戻ってきてとても良い天気の日々が続いたので、2007年に比べるとリッチなブドウが収穫できた。』 〜2005年はまれにみる完璧な年だ!〜 『2005年のヴィンテージは本当にトップ・レベルなワインが出来たよ!この年はまさに1989年と1990年のヴィンテージを合わせたようなものだ。1989年特徴の綺麗な酸味と繊細なタンニン、そして1990年特徴のリッチ感、骨格のしっかりさとまろやかさが全て2005年ヴィンテージに含まれている。完璧に近いヴィンテージだね!』 『偉大なワインには欠かせない物が2つある:濃縮さと繊細さです。 しかし!!ここで間違えてはいけない事がある。 濃縮さは過度の抽出ではなく、繊細さは希釈ではないことです! クロ・ルジャールのワインは樽内、そして瓶内で2〜3年ほど熟してあるので、すぐにでも楽しめます! しかし忍耐力がある人は是非5年後位に飲んでみてください。 きっとまた新たなワインへと変化しているでしょう。。。! どのように?それは飲んでからのお楽しみです!』 ————————————————————————                〜試飲したワイン〜 Le Bourg 2005*ル・ブール 2005 品種:カベルネ・フラン100% 樹齢:35〜75年 地質:粘土石灰質 栽培面積:1ヘクタール 収穫量:20hL/ha 醸造:6週間のマセラシオン 熟成:30ヶ月間100%新樽での熟成。タンニンをよりまろやかに仕上げる為、通常より長め。 アロマがとても豊富で完熟されたブドウの香りがフワーと漂ってきます。とにかくパワフルで真直ぐなワイン!カベルネにも関わらずとても繊細なタンニンにはビックリ!樽香も一瞬にして他のアロマに溶け込み、より複雑さを与えています。 Les Poyeux 2005*レ・ポワイユ2005 品種:カベルネ・フラン100% 樹齢:25〜50年 地質:粘土石灰・ケイ質 栽培面積:2.7ヘクタール 平均収穫量:35hL/ha 醸造:4週間のマセラシオン 熟成:24ヶ月間1年樽での熟成。 ル・ブールに比べるとこちらのキュべのはよりフレッシュでとてもミネラル!果実身が強くとてもフルーティー!しかしそれだけではありません!花の香りやミントの匂いもフンワリ感じられ、食欲をそそってくるワインです。 Le Clos Rougeard 2005*ル・クロ・ルジャール2005 品種:カベルネ・フラン100% 樹齢:15〜70年 地質:粘土石灰・ケイ質 栽培面積:4.5ヘクタール 醸造:4週間のマセラシオン 熟成:18ヶ月間1年と新樽での熟成。 ル・クロは様々な区画をブレンドして出来上がったワインです。赤フルーツの果実と爽やかさが良い具合にマッチされてとにかく舌が蕩けてしまいそう〜!最後にはしっかりと酸味が味を引きしめてくれます!2005年は特にリッチで骨格がしっかりとしている出来具合です! Le Brézé 2005*ル・ブレゼ2005 品種:シュナン100% 樹齢:40年 地質:粘土石灰・ケイ質 栽培面積:1ヘクタール 醸造:ゆっくりと低温で、樽内でのアルコール発酵 熟成:24ヶ月間の樽熟成。 フルーツの甘さ、テロワールのミネラル感、そして何といってもボリューム感が凄い!濃厚なのに後味の酸味が良いバランスを保っていて、とてもピュアに感じるワインです! Clos Rougeardのワインについてのお問い合わせは: 野村ユニソン株式会社TEL : 03-3538-7854 FAX : 03-3538-7855 MAIL : wine@nomura-g.co.jp http://www.nomura-g.co.jp ————————————————————————                〜カーヴ内の風景〜 長くて暗い廊下はちょっとしたお化け屋敷のようです・・・ 中には40年前に使用していた木のプレス機がクモの巣に塗れて飾ってあります・・・ 樽の奥に保存してあるワインのボトルも何か埋まっています・・・ しかしまだ飲めるって言うのですから凄いですね・・・この奥を拡大すると、このようにビッシリと埋まっています。

31
Déc

ロワール地方、偉大なディディエ・ダグノー氏の跡継ぎは、息子のルイ・バンジャマンだ!

ロワール地方で醸造していたディディエ・ダグノー氏が事故で亡くなったという悲しいニュースから略2ヶ月。彼は自分の世界、自分の考え、ワインの造り方をマイペースで築き、その生き方は誰もが尊敬し、受け入れていました。 そんな凄い人に続きワインを造るのは難しいし、何よりもプレッシャーがハンパなく大きい。けれどもディディエの息子、ルイ・バンジャマンには期待できそうです!まだ26歳だけれども、ラングドックのオリヴィエ・ジュリアン、ロワール地方のフランソワ・シデーヌ、そしてアルザス地方のツィント・ウンブレヒトなど、偉大な醸造家の下で修行を重ねた後、ジュランソンやモンルイで研修も受けてきた彼。様々な経験と同時に、ルイ・バンジャマンはお父さんのワイン造りを手伝い、2004年から2007年のヴィンテージも一緒に醸造しました。2008年ヴィンテージはもうすでに5回目の醸造なのです! 彼は10代の頃から畑、そしてカーブでも働き、ディディエの後を引き継ぐ心構えをしてきました。ディディエが畑と醸造に関して行う実験に立ち合い、ビオディナミ栽培から亜硫酸を一切添加しない醸造方法など一通り全て試して来ました。その結果今では理想的なバランスを保ったワイン造りに至る事に成功しました! 栽培は土、テロワール、気候、そして自然環境を尊重し、化学物質や除草剤は一切使いません。耕作を行い、収穫は全て手摘み作業。もし雨が25ミリ以上降った場合はイラクサの煎じ薬で治療します。 『必要な時以外余計な物は撒かない事。そして何よりもテロワールを大事にし、自然を愛することが最も重要ではないのかな?』 と語るバンジャマン。 醸造所も全部新しく整えたのかと思うくらい綺麗で立派!収穫時期、素早く作業が進められるよう、大きな30hLのプレス機が2個もおいてあります。 『父も言っていたけれども、ブドウが潰れないよう、重力での作業は重要なんだ。そして2日間ステンレスタンクでブドウを寝かした後、木樽で10-12日間の間アルコール発酵をさせる。僕の醸造ではマロラクティック発酵は一切無し。そしてここでの特徴は、樽内の温度を調整する為、ステンレス棒を使用するんだ。最高22°Cまで温度を上げアルコール発酵を早める。しかし22°C以上暖めてしまうと、ブドウの香りが飛んでしまうので非常に気をつけていなければいけないんだ。』 アルコール発酵が早い分、ダグノーのワインは熟成期間が非常に長いのです。12ヶ月間シュール・リで熟成した後、また更に4〜8ヶ月間の間ステンレスタンクで熟成させます。 『樽は木の香りが付く為では無く、空気との接触を行いやすくする為なんだ。だから1年から3年の樽を使用して、なるべく新樽は使用したくない。』 未来はズル賢い人の手の中にある。 もし友を無くしたいのであれば、その人を助けなさい。 不可能な事を求め、現実主義者になりましょう。 など、壁には様々なメッセージが描かれています。けれども全て反対な意味を持つ、不思議なメッセージばかりです。。。 2008年の収穫は? 『雹が多く、ビュイソン・ルナール、シレックス、そしてバビロンの収穫量が70%も減ってしまった 。しかしその分濃厚で綺麗な酸味が出ているよ。2005年と2007年ヴィンテージに似ていて、アロマが豊富で味が真直ぐな年。綺麗なバランスが印象的な、爽やかなワインに仕上がると思うよ!』 と答えてくれたバンジャマン。 ロワール地方の気候は? 『今現在気候は変わりつつある。そしてその影響を受け、ロワール地方のワインのバランスも変わってきている。50年前は収穫は10月以降に行われ、綺麗な酸味も感じられ、含有糖分も9°ほどだったんだ。ところが今では収穫は9月中旬に行われ、含有糖分は13-14°まで上がっている。味がまっすぐで有名なロワールワインの特徴が無くなり、まろやかなワインへと変化していっている。 という事は、ブドウ品種を変えていかなければならないのでは・・・?』 今後の目標は? 『第一に、プチ・メリエという新しいブドウ品種を植える事かな。昔存在していた品種なんだが、今はソヴィニョンの方が知られているため、略使われていないんだ。この品種はワインに酸味と爽やかさを与え、甘口ワインには最も合っている品種だと思うんだ。後、プイィの区画を改良して、革新すること。そして最後に、ジュランソンで偉大な甘口ワインを造ること!これが僕の夢かな!』 『私はいつでも完璧さを求めているが、この世界で完璧な物など無い!20年間様々な研究をしてきたが、栽培、醸造、全てに関してまだ完璧っていうものを見つけられていない。しかし一つだけ確かなことが言える:ブドウ木の理想的なバランスは、本当に長年掛けて出来上がる事だ。』 しっかりと未来だけを見つめているルイ・バンジャマンは、いつかディディエ氏を抜く偉大な醸造家になるに間違いないでしょう。これからも応援しているので頑張って下さい!             キュベ・ブラン・フュメ・ドゥ・プイィ 07 *Cuvée Blanc Fumé de Pouilly 07 品種:ソビニョン 樹齢:ヴィエイユ・ヴィーニュ 土壌:シレックスが混ざった粘土・泥灰岩質 漂ってくるグレープフルーツや様々な柑橘類の香り、そこに白いお花のアロマがマッチして本当に素敵。フレッシュな酸味と滑らかな味、そして口に広がる美味しさは誰でも虜にしてしまいそうなくらい! ピュール・サン 07 *Pure Sang 07 品種:ソビニョン 樹齢:20年 土壌:小さなシレックスが混ざった粘土質 果実身が強く、真直ぐなワイン!繊細さと力強さのバランスがこれ以上完璧に保たれている飲み物はないだろうと思ってしまうほど。 ビュイソン・ルナール 07*Buisson Renard 07 品種:ソビニョン 樹齢:30年 土壌:シレックスが混ざった粘土質 後味が長〜く続く綺麗なワインです!とてもミネラルでまろやか。柑橘類の香りにコショウのニュアンス、そして上品な酸味がいい具合に絡み合った一品です!この区画はルイ・バンジャマンが一目惚れをしてしまったほどお気に入り! モンダネ 07*Mondanet 07 品種:ソビニョン 樹齢:7年 土壌:石灰質 アブリコットのような甘い風味が特徴。その上石灰質のテロワールがミネラル感を引き出し、綺麗なバランスが印象的なワインです!2005年が初ヴィンテージ! Silex 07 *シレックス 07 品種:ソビニョン 樹齢:ヴィエイユ・ヴィーニュ 土壌:シレックス質 骨格がしっかりとしていて、とても綺麗なバディー!そして柑橘類のアロマがたっぷり〜!口に残る酸味もサッパリとしていてとてもフレッシュ! Les Jardins de Babylone 07 *レ・ジャルダン・ドゥ・バビロンヌ 07 世界で一番感動する甘口ワインです!とろける甘さにすっきりとした酸味、そして何といってもその繊細な味がとても印象的です。 Louis Benjamin Dagueneau のワインについてのお問い合わせは: 野村ユニソン株式会社TEL : 03-3538-7854 FAX : 03-3538-7855 MAIL : wine@nomura-g.co.jp http://www.nomura-g.co.jp

19
Déc

12月4日、ルイ・バンジャマン・ダグノー氏訪問

Nous avons été choqué par la mort accidentelle de Didier Dagueneau le 17 septembre juste avant les vendanges. Didier Dagueneau était un des vignerons les plus charismatiques de France. Son travail et la qualité de ses vins étaient reconnus par tous. 9月17日、収穫前に起きたディディエ・ダグノーの事故死は、誰にとっても心を打たれる出来事でした。ディディエ・ダグノーはフランスを代表するカリスマ的な醸造家でした。彼の仕事、そしてワインの品質は誰もが認めていました。 A l’annonce de cette mort brutale nous nous sommes interrogés sur l’avenir du domaine. Personne ne pourra le remplacer mais qui reprendra le travail de Didier ? C’est pourquoi après un certain temps nous avons repris contact avec le domaine et nous avons convenu de rencontrer Louis-Benjamin le fils de Didier. 突然起きた出来事に、私達はドメーヌの今後に就いて深く考えました。彼の代わりは居ない。一体誰がディディエの仕事を引き継ぐのか?その答えを知る為、時間がしばらく経った今、私達はドメーヌと連絡を取り、ディディエの息子、ルイ・バンジャマン氏を尋ねることにしました。 Louis-Benjamin à 26 ans, nous a semblé être un garçon calme et sûr de lui.Sûr de […]

17
Déc

ピエール&カトリーヌ・ブルトン:ロワール地方では欠かせない存在

ロワール地方でワインを造っている、あの自然派醸造家ブルトン夫婦が、 11月出版されたアメリカのニューヨーク・タイムズに取り上げられました! 『もし地球人が皆金髪で青い目をしていたらつまらないだろう?ワインも同じだ。』そう語るのは、ロワール地方で自然派ワインを醸造している、とても真面目で真剣なピエール・ブルトン氏。 『ワインは楽しむためにあるんだ。ワインは想像力を高めてくれる。ワインは会話を弾ませる。それなのに、何故私達はワインが全て同じアイデンティティーであることを求めるのか?』 ピエール氏は奥さん、カトリーヌさんと共に、このツールの近くにある レティニェという街でドメーヌを経営している。 今現在フランスでは『根源に戻ってのワイン造り』というムーブメントが巻き起こっている。それは、殺虫剤や化学肥料、人工酵母、そして亜硫酸などの大量な化学物質を使用していなかった時代と同じ栽培方法をしようという考えの変化だ。彼らはまさにこのような状況を把握しており、前衛的な存在でもある。生まれ持った才能と自然に育ったブドウでワイン造りを楽しんでいるブルトン氏のような醸造家達は、本物のワインを求めている人達の間ではもう十分話題になっている。 仕事の量も通常に比べ少なくは無いし、費用も掛かる。ブルトン氏は11ヘクタールの畑を所有しており、ブルグイユやシノン、ヴヴレーのワインを造っている。彼らのような自然派醸造家達は、今、一般的に行われているワイン造りは自然を汚染し、なおかつ一様なつまらないワインしか生み出さないと考えている。彼らはブドウがワインへと変化していく最中、なるべく手は加えない事がモットー。畑もブドウも全て有機栽培を施し、機械で地球を汚さない為収穫は全て手摘みでやる。 しかし通常のワイン造りとの大きな違いは、この後の醸造段階と熟成段階の時に、まさにワインの味と骨格が決まるのである。全ての要素−その年の夏の気候、果実味、テロワール、熟成樽の特徴など−が重合ってなり、ワインの表現力が決まる時期だ。 『通常のワインメーカーが使用している化学添加物や人工酵母は、確かにワインを様々な現象(酸化や還元など)から守るけど、ワインの風味は皆同じになってしまう。』と自然派ワインの造り手は主張している。『指揮者になったようだ』とブルトン氏は言う。彼のワインは自然酵母で醸造され、酸化防止と細菌防止としての亜硫酸はほんの少量しか添加していない。 『最初は皆同じ材料から始めるんだ。しかし指揮者のように、私達は同じ楽譜を見ながらそれぞれ違う音楽を奏でている。それこそが、自分のアイデンティティーを持ったワインなんだ。』 しかし、一般的なワインの世界では、『自然派醸造家は自分達のやり方だけが正解だと思いこんでいる』と批判して来る人もいる。ナチュラル・ワインより、腕が高い造り手に醸造されたハイテクなワインの方を好む人ももちろんいる。 少し前フランスの新聞、ル・モンドのワイン記者、ジャン・イーヴ・ノーさんは、下記のようなジョーク混じりの記事を書いていた:『ワインを保存する為、瓶詰めの時に添加される亜硫酸のことを、彼らは « 化学の形をした、悪魔の生まれ変わりだ»と思っている。』 本当にここ数年前から、健全なワイン造りは徐々に人を惹きつけている。パリのバスティーユ広場から近いLa Muse Vin*ラ・ミューズ・ヴァンや、ベルビル方面にあるLe Baratin*ル・バラタンなど、様々なレストランやバーもブルトンのような自然派ワインを勧めている。しかもこのような商品は12区に在るLe Vin se Livre*ル・ヴァン・ス・リーブルのような小さなワイン屋にも人気がある。 有機栽培に切り替えたり、化学物質を押さえてきた農業者にとってはとても喜ばしい状況になってきた。このような自然派の大多数は、ミスティックな言葉で自分の醸造段階を語る、代々受け継がれてきた小さなワイナリーやその中でも馬で畑を耕すなど、100年前と同じ栽培方法を行っているとても細やかなところにも気を配る人達もいる。しかも多くのナチュラル・ワイン生産者は、20世紀初期にオーストリアの哲学者、ルドルフ・ステイナー氏が極めたビオディナミ栽培を行っていることが多い。ビオディナミ栽培とは、月や惑星の動きを把握しながら、栽培や醸造の段階を進めていくやり方だ。 しかし自然派ワインは小さな規模のワイナリーのみではなく、ブルガンディー氏のロマネ・コンティやアンセルム・セロスさんのシャンパーンなど、他の地区の偉大なアペラシオンにも見当たる。パリの自然派ワイン屋、Cave Augé*カーブ・オジェのオーナー、マーク・シバール氏曰く『30年前はたった15人程度だったのが、今では200人以上いるに違いない。それでもまだ隠れ文化みたいなもんだ。』彼は25年前から自然派ワインの大ファンだ。『彼らは « 実行不可能なことを望む単なる夢追い人»と思われやすいし、大手卸業者はもっと一般的で«工場的»な、輸出しても還元しない強くてスーパー向きのワインを求めている。』 『自然派ワインの需要は徐々に広まってきている。私達は専門家だからね!パリに店があるってことは客の質も高い。そして皆1本6€だが人工的に造られたワインより1本20€だが自然に造られたワインのほうがより美味しいということは分かっている。』 自然派醸造家は仕事に対してとても熱心だし、その上ユーモアのセンスも兼ね備えている人達が多い。その証拠に、カーブ・オジェの床に転がっているワインボトルを見れば分かる。 ある醸造家は、オルソン・ウェレスの映画『タッチ・オフ・エヴィル』のフランス訳、『Soif du Mal*ソワフ・デュ・マル』というキュべを造り、もう一人はアジアのマーケットをターゲットにしたに違いないラベル、『ガマ・ストラ』をプロデュースしている。他にも、『ブドウは紐パンツを履いた人に収穫されています』など、ジョーク交じりのラベルが沢山ある。ブルトン氏も、『Nuits d’Ivresse*ニュイ・ディブレス』(酔った夜) 、または『La Dilettante*ラ・ディレタント』(愛好家)というワインを紹介している。 このような空想的なラベルは、世界中のマーケットで注目を浴び始めている。 『数年前、このようなラベルはナチュラル・ワインに対して、決して良い宣伝では無かった。』そう語るのは1980年代から自然派ワインをアメリカに仕入れているパイオニナ、ケルミット・リンチ氏。『しかし今このようなワインに興味を持っている人は確実に増えてきている。』彼はブルトンのワインも仕入れているし、彼自身も南フランスに在るジゴンダスという町に畑を持っている。リンチ氏の畑はビオでもビオディナミ栽培でもないが、自然醸造家達の考え−大半のワインは化学物質を使用しすぎている−という事実は彼も受け止めている。『ワイン醸造に関してどうするべきか、何を言うべきかなど私にはまだ分からないが、ある醸造家が一度こう言ってきた:ビオ栽培に進展してからより美味しい果汁ができるようになった。そしてより美味しいジュースはより美味しいワインに繋がるんだと』。 Le Baratin に関する記事はこちらから! La Muse Vin に関する記事はこちら! Le Vin se Livre に関する記事はこちら! La Cave Augé  に関する記事はこちら! Pierre&Catherine Bretonのワインについてのお問い合わせは: 株式会社 JALUX ワイン部  TEL:03−5460−7156 FAX:03−5460−7227

15
Déc

セバスチアン・リフォーがPARISに!

〜CPCオフィスにて2007試飲会〜 今日はロワールで醸造しているセバスチアン・リフォーさんが来てくれました! 『昨日ノルマンディーに行って来たから美味しいカキをお土産に持ってきたよ〜!』と嬉しそうに訪れたセバスチアン。彼は本当に優しくて、いつ会ってもニコニコな笑顔が印象的です! セバスチアンは5ヘクタールのブドウ園を栽培していましたが、今年からはお父さんの畑も任せられ、今では12へクタールに広がるブドウ畑を一人で栽培しています。ソヴィニョンの品種は11ヘクタールもの面積に植えてありますが、セバスチアンのピノは1ヘクタールしかないのでとても貴重!ブドウ、そして自然にも優しい環境を作りたいという思いでビオ栽培に切り替え、畑も彼の愛馬、オフェリーちゃんが一生懸命耕しています。 醸造中もなるべく手を加えないよう、自然にワインを造ることが目標。 『マロラクティック発酵は、アルコール発酵が終了した後、自然と起きる事なんだ。それを皆亜硫酸などを足して止めてしまう。私の白ワインは亜硫酸の添加は一切していないので、珍しいかも知れないがマロラクティック発酵をしている。そうするとドライだったワインにまろやか感と繊細さが生まれるんだ!酸味も丸くなり、通常の柑橘類の香りじゃなく、アブリコットのような複雑で果実のアロマになるんだ。そうすると変則的だけれども、ここでしか飲めない独特なサンセールが出来上がるんだよ。そして熟成は全てシュール・リ熟成。これはワインに存在感と旨みを出すんだよ。』 『2006年は気候が良かったので2007年に比べ熟成度が高いヴィンテージだと思われがちだが、実際の所、その逆なんだ。2007年は雨が多かったけれども、収穫時期にとても良い気候が続いたので、とても熟成したブドウが収穫できたんだ。』 *Sébastien Riffault のワインについてのお問い合わせは 豊通食料株式会社 TEL : 03-5288-3854  FAX : 03-5288-9248 http://www.vin-de-t.com    アクメニネ07*Akméniné 07 品種:ソヴィニョン 樹齢:30年 土壌:石灰質 醸造:4ヶ月間、ステンレルタンクでのマセラシオン 熟成:9ヶ月間の樽熟成 特徴:マロラクティック発酵 + シュール・リ熟成 意味:アクメニネとはリトアニア語で、『石製』という意味 ミネラル + フルーツ + 酸味=完璧にバランスがとれたワイン! まろやかなのにフレッシュ!味が深いワインです。 オクシニス07*Auksinis 07 品種:ソヴィニョン 樹齢:20年 土壌:石灰質 熟成:20ヶ月間の樽熟成 特徴:マロラクティック発酵 + シュール・リ熟成 意味:オクシニスとはリトアニア語で、『金色』という意味 濃厚で綺麗なバディに、ミネラル感が関わり、とても飲みやすいです。一杯だけでは止まらなくなってしまうワインです! ロドナス07*Raudonas 07 品種:ピノ 樹齢:40年 土壌:粘土石灰質 醸造:10日間、ステンレルタンクでのマセラシオン 熟成:18ヶ月間の樽熟成 特徴:マロラクティック発酵 + シュール・リ熟成 意味:スケヴェルドラとはリトアニア語で、『赤』という意味 スパイスと赤フルーツの香り、そして何といってもまろやかでやさしい味が印象的です!ミネラルで繊細なので、グイグイと飲めちゃうワインです! スケヴェルドラ07*Skeveldra 07 品種:ソヴィニョン 樹齢:45年 土壌:シレックス質 熟成:12ヶ月間の樽熟成 特徴:マロラクティック発酵 + シュール・リ熟成 意味:スケヴェルドラとはリトアニア語で、『輝き』という意味

1
Déc

ロワールでのイケメン醸造家、ジュリアン・クルトワ−Julien Courtois

ロワール地方の小さな村、Soings en Sologne*ソワン・アン・ソローニュにイケメン醸造家がいると聞き、早速尋ねていきました!この土地は様々な植物や動物に囲まれていて、ドメーヌと自然のバランスを綺麗に保っています。 彼の名はJulien Courtois*ジュリアン・クルトワ。彼のお父さん、Claude*クロードさんも自然派ワインの世界では結構有名な醸造家!そんなお父さんにワインの全てを教わり、今では4.5haの畑を栽培しているジュリアン。彼のワインはブドウとテロワールが完璧に引き出されていて最高にピュア! 『畑の為ならなんでもやるし、なんでも出来ると思っている!』と見た目は穏やかなのにかなりのチャレンジャー!『私は健全で熟成度が高いブドウを探し求めています。濃縮したワインを造りたいので、なるべく収穫量を低くしています。ただ単にテロワールの特徴を強調したいのです。』 ジュリアンの畑には一切化学物質は使用されていません。しかも行う作業は全て手作業! 『自分の目でブドウを見て、自分の手で確かめ、手入れをしなければ健全なブドウは生まれません。ブドウの品質が一番重要なのですから!』 土壌の質はシレックスが混ざったケイ質土、もしくはシレックスが混ざった粘土質です。そして赤色のシレックスが沢山畑に落ちています。 醸造中、亜硫酸の添加は一切無し、全て自然酵母で醸造するという、ナチュラルな部分を主張するジュリアン。赤ワインは房から実を摘み取った後、ピジャージュをして、プレス機に掛けます。そして長い期間樽熟成をします。白ワインも、収穫後プレス機に直接掛け、アルコール発酵と熟成のため、樽内で寝かせておきます。 ゾゾ 04*Zozo 04 品種:ムニュ・ピノ 樹齢:40年 醸造: 36ヶ月間の樽熟成 収穫量:20hl/ha フラン・ド・ピエ 05*Franc de Pied 05 品種:ムニュ・ピノ・フラン・ド・ピエ 樹齢:30年 熟成:30ヶ月間の樽熟成 収穫量:10-15hl/ha エレマン・テール06*Element Terre 06 品種:ガメイ・ショドゥネイ 樹齢:38年 熟成:12ヶ月間の樽熟成 収穫量:25hl/ha 100% 06*100% 06 品種:ガメイ 樹齢:40年 熟成:12ヶ月間の樽熟成 収穫量:20hl/ha エスキス 05*Esquiss’ 05 品種:ムニュ・ピノ 樹齢:40年 熟成:30ヶ月間の樽熟成 収穫量:8-15hl/ha ジュリアンのラベルはキラキラしています。 特に、各ラベルデに華やかなデッサンが描かれているのが印象的です。 他にもまだ若いブドウ木がたくさん! ガスコンやコット、シャルドネやロマランタンなども植えてあります! 『私の目標は、これらのブドウを使ってもっと色々なキュべを造る事です!』期待しています!

15
Oct

ドメーヌ・セネシャリエール・マルク・ペノ復活

2008年産 収穫完了  人に歴史あり、そして会社、ドメーヌに歴史あり  2007年12月にドメーヌ閉鎖の状況となり、世界中のファンからの応援もあり、取り分け日本の野村ユニソン社の絶大なる支援をうけ、正式に復活のメドが立ち2008年産の収穫に何とかこぎ着けた。 閉鎖から復活までの9ヶ月間はペノ氏にとっては20年間くらいの年月に思えたにちがいない。2003年より2006年までシラク大統領の祝賀会に使用され、自然派ムスカデでは確固たる名声をあげていた矢先の出来事だった。純粋にワイン造りに賭ける情熱では恐らく右にでる者はいないだろ。 実のピュアーな人柄だ。彼の人柄を知った人は誰でも大ファンになってしまう。だから、多くの人達が救済に名乗り出た。しかし、現実に閉鎖された会社を再生させるには巨大なエネルギーと情熱と、リスクを伴った経済的援助が必要だった。 それを現実に成功させてくれた野村ユニソン社にはペノ氏を始め多くのペノファンが感謝している。 この数カ月、私も含めて多くの人達が動いた。それぞれがそれぞれの役割を完璧に演じてくれた。奇跡的にすべてが順調に進んだ。弁護士、管財人、野村社長、竹沢氏、裁判所、農地管理局そしてペノ氏、どこか一つでも狂えば2008年の収穫はあり得なかった。そして、ペノ氏が生涯で最も完璧な品質だったという2007年産が我々の口に入ることになったのだ。感謝!!感謝!!の一言だ。ペノ氏を影で支えて、応援してくれていたすべての人達に感謝したい。取り分けESPOAの加盟店の応援はペノ氏を心理的に勇気づけてくれたバックボーンとなった。皆の応援パワーがあったからこそすべてが奇跡的に動いたのだろう。 このムスカデの地で世界一の美味しい白ワインを造り上げる!!  ペノ氏は本気で言い切る。 『ここのテロワール・土壌は世界一美味しい白ワインが出来るんだ!』 ここのムスカデつまりムロン・デ・ブルゴーニュ品種は60歳を超す古木がある。 特殊土壌 砂状の地質に赤シスト、ブルーシスト、石英の小石が混ざっている。地表の15㎝下はミカシスト岩盤だ。その岩盤の中を根っこが突き破って入り込んでいる。何といういう生命力だ。ここのミネラルはそこに由来している。 地質学者のイロデー氏がこの地を見て驚いた。ミカシシスト岩盤はこの ムスカデ地区では実に希少だという。 醸造工夫・ニュイタージ ペノ氏自身がニュイタージと命名する醸造法がある。一晩の房ごとマセラションである。1998年から2003年の試行錯誤の末、完成させた方法だ。 いづれにしても、ブルゴーニュより北に位置していて、品種もムスカデ品種、この二つの条件だけしかできないタイプの世界一の白ワインがペノ氏の目指すところ。 コクや濃縮度はシャルドネだ、香りではソヴィニョン。 ここでは、まさに剃刀の刃の上を歩くような繊細さ、フィネスがペノ氏の白ワインだ。 一歩間違えば薄っぺらな白、また一歩間違えて反対に落ちれば単に酸っぱい白ワインになってしまう。まさに剃刀の刃の上を歩くような繊細なタイプのバランスのワインはここにしか存在しない。 オザミ東京の田中支配人がセネシャリエール訪問 素晴らしき人間交流 ソムリエ田中氏、人間としての田中氏が私は大好きだ。人に不快感を絶対にいだかせない、いや心地良くしてくれるのが最高のソムリエだ。田中氏の人間性そのものだ。偉大なるソムリエの一人だと思う。素晴らしきソムリエ田中氏と素晴らしき醸造家ペノ氏の出会いは、素晴らしい出会いだった。ワインを通じての素晴らしい出会いが新たなエネルギーを造り出した。 田中氏もペノ氏の2007年産に驚愕 さすがペノ氏が生涯で最も素晴らしいと言い切る2007年産ムロン・ド・ブルゴニュは素晴らしい状態で保管されていた。シュール・リの状態で1年間もタンク熟成をしていたものだ。2007年は2回に分けて房選別収穫が行われた。本当に完璧な葡萄しか醸造発酵槽に入っていない。 しかも1年という異例なシュール・リ熟成でコクと繊細さ、ミネラル、酸、すべてが調和されていてフィネスを感じる。グロプランことフォールブランシュも見事だった このセネシャリエールを最初に発見した日本人はオザミの総帥・丸山宏人だ! ムッシュ丸山が自転車でフランス中を訪問している時に出会ったワインの一つだ! お互いに当時は全くの無名時代。ワイン狂と自他認めるムッシュ丸山、鬼才が鬼才を引き付けた出会いだったのだろう。お陰で今我々が世界一のムスカデを堪能できる。この出会いに大きな感謝! 2008年収穫完了 セネシャリエール救済ストーリーがこの収穫に間に合った。そして誰の所有になるか分からなかった畑をせっせと世話を続けてくれたペノ氏、成功を信じてリスク承知で経済的援助オペレ−ションを続けた野村ユニソン社があっての2008年の収穫となった。  量は例年の20%、品質は上級の2008年産 曇りが多かった2008年だったが、収穫時は異例の晴天が続いた。 08年ムスカデ地区は雹にやられ、続いた湿気によるベト病が大発生してどの醸造元も生産量は壊滅状態だった。 20%の収穫ができたのは良好の方だった。量が少ない分品質はかなり高い葡萄が収穫された。7HL/Hにも満たない収穫量だった。自然による青狩りが行われた状況だ。品質はかなり期待できる。 収穫直前に購入した空圧式プレス機。 ペノ氏が長年に渡って欲しかったプレス機だ。 これでさらに繊細度があがりそうだ。 収穫人も含めて、笑顔が絶えない 5日間だった。何よりペノ氏が一番嬉しそうだった。 絶滅しかけているアブリュ品種を再生 ペノ氏の価値ある仕事 フランスから絶滅しかけている黒葡萄アブリュ品種をこのムスカデ地区で栽培醸造している。しかも、グラップ・アンティエール房ごと仕込むセミ・カルボニック醸造だ。 ジル・ショヴェの直弟子ジャック・ネオポールとは24年前からの知り合いだ。自然派の元祖的存在の流れを継承した造りだ。 2008年は極小の量しか収穫できなかった。品質は抜群のできだ。期待したい。恐らくアブリュ品種100%の自然派ワインは世界でここだけだろう。 この品種伝統を守るペノ氏の仕事を応援したい。 グロ・プラン品種ことフォール・ブランシュを異例なゴブレ剪定に グロ・プランと言えば強烈な酸味のワインがイメージされる。 しかし、ペノ氏が造るグロ・プランは違う。 葡萄自体の品質を上げる為に、ボジョレや南仏でおこなわれている剪定のゴブレ方式を採用。樹齢60歳の古木を2000年よりゴブレ方式にかえた。何故ならこの品種は最終段階で腐りやすい繊細な品種だ。より熟成を伸ばす為に風通しが良く、生産量も自然に落とせるゴブレ選定にかえた。これによって、酸を抑え、果実味を出せる。キリっとした酸を残しながらも繊細な果実味とミネラルを感じさせてくれるマニフィックな白ワインに仕上げてくれる。

1
Oct

この男自然につき。オリビエ・クザン 編!!!

姓はクザン、名はオリヴィエ。年は、50代半ば。 ロワールは、アンジュ地方のMARTIGNE BRIAND村にて、ぶどう栽培、ワイン造り行っている。 この男、自然派というより野生派と言っても過言ではない凄い男なのである。しかし、野生派でありながら、温厚で寛大、全てを包みこむ優しさと思いやりを持つ。 この男について、いくつかエピソードを紹介しよう。 <おばあちゃんの魂> オリヴィエは、若い頃、自分の造った船で、気の向くままに放浪の旅を続けていた。そして、ぶどうの収穫の時だけ、小遣い稼ぎのために、おじいさんの畑の収穫、ワイン造りを手伝っていた。おじいさんは、昔ながらの農法で除草剤や、化学肥料など使わず、畑をしっかりと人の手で耕し、醸造も何も加えず自然な発酵でワインを造り、周辺の村にワインを販売していた。 ある年、その畑のぶどうで、初めてオリヴィエがおじいさんからワイン造りを任せられた年、おばあちゃんが倒れ、容態は、思わしくなかった。ぶどうの収穫中は、結婚や、人の死などは、昔から良くないことであった。 結婚すれば、お祝いで酒を飲み、気分が浮かれ、ちゃんとした収穫ができないし、人が死ねば、気分が沈み、ぶどうの収穫作業どころでは、なくなるからだ。 それを知っているおばあちゃんは、収穫の間、なんとか生きながらえ、最後の区画の収穫が終わった時に、息を引き取ったそうだ。 孫オリヴィエの初ワイン造りを成功させるために、執念で命の火を最後まで ともし続けたのだ。この、おばあちゃんの魂を背負ったオリヴィエは、この時、このおじいちゃんのぶどう畑を守り続けて行くことを誓った。 <おじいちゃんのワイン造り> おじいちゃんから譲り受けた畑は、村の教会の真横にある、歴史的にも、遠い昔からぶどうが植えられていた場所である。おじいちゃんの時代は、除草剤も、化学肥料もなく、人間が全て手作業で畑を耕し、ぶどうを育てていた。醸造も、自然酵母で発酵、酸化防止剤などはないので、健全なぶどうを収穫することが、ワイン造りにおいて、何より大切だった。その、ワイン造りをオリヴィエは、そのまま続けている。また、手作業での収穫には、大勢の人間が必要である。そこにひとつの社会ができるとオリヴィエは言う。 みんなで分担して作業することによって、社会の輪ができ、そしてみんなが少しずつ収入を得て生きていける。これを機械で行うと、これらの人間は、効率化の言葉のもとに不要な存在となってしまう。 みんなで仕事を分かち合うこと、生活を分かち合うことが重要なのだ。 <この母親にして.。。> オリヴィエ・クザンの生活は、エコである。 電気は、太陽電気。車は、菜種油で走るように改造、最後には、菜種油を使うのも資源の無駄と、車は廃車。今や、馬かヒッチハイクくらいしか、移動手段はない。(もちろん、必要あれば、電車、飛行機は乗る) 以前、彼に聞いた話だが、彼の母親が、コート・ダジュール地方の山奥に移り住んだ時のこと、電機会社の人間が電気の開通の営業に来たそうだが、母親はこれを断った。そして、数年が経ち、近くにもポツ、ポツと家が建ちはじめ、またも、電機会社の人間が、電機の開通を安くでやります。と持ちかけたが、またも断った。それから、また数年、周りには、いくつもの家が建ち、電気会社の人間は、無料で、電機開通をすると迫ったが、それでも、この母親は断った。 そして、2002年の大雨洪水の年、この地区の民家の電気はすべて停電。しかし、その中で、1軒だけ、こうこうと電気が付いている家が。。。そう、それが太陽電気のオリヴィエの母親の家だった。 <なぜ馬で耕すのか ?> オリヴィエは、馬を2頭飼っている。その馬を使って、ぶどう畑を耕す方法を、若い生産者に指導している。 なぜ、馬で耕すのか? 健全なぶどうを収穫するには、健全な生きた土壌が大切なのは周知の事実である。馬で耕すことによって、トラクターなどより軽い馬は、畑の表土を潰さないので、いつでも土壌がふかふかした状態でいられる。次にスピード。馬は、ゆっくりと畑の畝を進む、そのおかげで、人間の目でゆっくりと、ぶどうの状態を確認することができるのだ。今、彼を始めとするロワールの仲間の活動のおかげで、馬で畑を耕す生産者が増えている。 <ワインの価格って?> オリヴィエにワインの価格の設定の仕方を聞いた。内訳はいたって簡単。従業員の生活費、自分の生活費。以上。。。。何の広告費、次の年のための貯えも無い。この1年みんなで生活するお金が、ワインの価格となっているのだ。何のそれ以上のプラスもなく。 オリヴィエは言う。「ノン・フィルタとうたって、通常ワインより高く売る生産者がいるが、ノン・フィルタということは、フィルタをかける作業をしていない分だけ、逆に安いはずだ」と。 この男に欲というものは、無いのかもしれない。「無心」という状態に近いかもしれない。 そんなわけで、生活は、けして裕福ではない。心配して聞いてみると、彼のワインは、ある時は野菜に代わり、ある時は肉に代わる、また、ある時は。。。彼にとっては、ワインは通貨でもあるわけだ。 ある意味、ワインがあれば、生きていける。失う恐怖や不安というものは、彼にはないのでは無いだろうか?失うような余分な物を持っていないのだから。 <今を生きろ !!!> 私たちのスタッフ、サンドリンヌがオリヴィエの所に訪問した時のこと、馬の上に乗せてくれ散歩に出かけた。落ちることの怖い彼女は、前屈みになり、少々おびえていた。それを見たオリヴィエは、言った。「落ちる事を想像するから怖いんだ!今、馬に乗っている、この瞬間を楽しめ !!!」と。 この一言が、人間オリヴィエ・クザンを象徴する言葉かもしれない。                        CPV 竹下 正樹 オリヴィエ・クザンのワインにご興味の方は、下記連絡先まで。 BMO株式会社 本社:〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-15-9 DAIYUビル 1F、B1F TEL: 03-5459-4243  FAX: 03-5459-4248 WEB: wine@bmo-wine.com   大阪支社:〒542-0081大阪府大阪市中央区南船場4-13-8エステート心斎橋501 TEL: 06-4704-4605 FAX: 06-4704-4606

19
Sep

ドメーヌ・ド・モンジレ − Domaine de Montgilet

今日はAnjou − アンジュの町に在る、Domaine de Montgilet −ドメーヌ・ド・モンジレへやって来ました。 1880年から代々と受け継がれているこのドメーヌ。 今ではもう樹齢100歳となるヴィエイユ・ヴィーニュがたくさん! この体の大きな方が5代目のルブルトン氏。 『この畑は1984年から一切化学肥料を使っていないんだよ! 昔から馬で耕しているんだ。そのおかげで土はフカフカしているし、ブドウも最高な実が生るんだよ!』 とニコニコな笑顔で語る彼。 最初に訪れたのは大きな工場のようなカーブ。 ステンレスタンクやコンクリートタンクがビッシリと並んでいます。 更に大きな部屋・・・そこには熟成中のワインが詰まった樽がいっぱい!! また奥に進んでいくと、今度は瓶詰め室です!こんなにラベルの種類がたくさん!これを一本づつこのワインの瓶に貼っていくのですね・・・それにしても凄い量です! 醸造所の見学が終わった所で次は畑へレッツ・ゴー! 55Haにも広がるこの畑は、1/3はシュナン・ブラン、1/3はカベルネ、そして残りの1/3はグロロー、ガメー、ソヴィニョン、ピノ・ブランと分かれています。 モンジレの土壌はとても恵まれていて、シスト、粘土、泥土、粘板岩と色々な地質が混ざっています。 ← ソヴィニョンの甘いブドウです!この品種はフルーティーな甘さが特徴なんだそうです。 反対にシュナン・ブランはすっぱい品種だそうです・・・! → 樹齢30歳のガメーのブドウです。 何とこの小さな望遠鏡のような物でブドウ糖を測れちゃいます! これでブドウの熟成度を慎重に調べていくのですね 巨大トラクター発見!見てしまったからには何もしなずにはいられない!真っ先に乗ってみる産直の中嶋さん。 続いてトラクターの屋根に乗ってしまったジェイ・アール・フレッシュネス・リテールの永濱さん。 2人の男らしい姿をキャッチ! 色々見た後には皆さんお待ちかねのランチ・タイム!! 今日はロワールでも久々な良い天気! なので外で皆でピクニックです。 ワインの説明を受けながら、皆でいただきま〜す! 皆さん一生懸命ノートを取っています。 ソヴィニョン 2007 VDP とてもフレッシュ! パーティーなどで楽しく気軽に飲めるワインです! グロロー 2007 VDP とてもフルーティーで爽やかな飲みやすい赤ワインです。 Why not 2007 – ワイ・ノット これは女の子にもてそうなワインです。私も個人的に大好き!アルコール度がたったの4%なので、ジュースみたいな感覚で飲めちゃいます。しかもラベルがメチャ可愛い! テーブルの上にはご馳走がどんどん運ばれてきます! 手作りのトマトとヤギのチーズのキッシュ こっちはハム入りのキッシュ・ロレーンヌ 両方とも家庭の味がして美味しかったです! フランス風の豚の角煮。口の中に入れた瞬間トロトロ〜! → かまぼこの様な感覚に、お肉のような味・・・? ← フレンチ・サンドイッチの具では欠かせない « リエット »です。 これは豚肉製品の一品で、パンにつけピクルスを備えて食べます。お酒と一緒につまんでもグー! これが最後デザートに合わせて出て来たシュナンで造り上がった貴腐ワイン 『Le Tertereaux 2005 − ル・テルトゥロー』です。 甘いのですが、不思議にデザートのタルトとの組み合わせは抜群! この写真こそ雅に『天と地と人の3大要素で成り立ったワイン』です!! やっぱり皆で賑やかに過ごす食事は気持ちいいです! 皆飲んで、食べて、笑って、話して楽しそうです! ルブルトン氏とBMOの高野さん。 帽子が同じ・・・?! でも2人とも似合っています! 最後に皆で記念写真!ドメーヌで働いている人達、今回ツアーに来て下さった皆様、そして竹下さんとサンドリーヌも入って皆で『ハイ、チーズ!』 モンジレのワインが飲める /  買える店はこちら: トロワザムール モンジレのワインが買える店は、BMO株式会社までご連絡いただければ、ご紹介いたします: BMO 株式会社 TEL : 03-5459-4243 MAIL: wine@bmo-wine.com

18
Sep

La Lunotte – ラ・ルノット

今回お訪れたのは、La Lunotte -ラ・ルノットという Christophe Foucher – クリストフ・フシャさんのドメーヌです。 ここで少しフランス語の勉強を・・・ 『ラ・ルノット』とは、『La Lune – ラ・リューンヌ』という言葉から来ているのですが、これは『月』という意味です。 何故ドメーヌの名に『月』と入れたかと言うと、月はビオディナミ栽培にとって欠かせないもの。月の形やポジションによって栽培の色々な作業を行うからです。 彼の庭には様々な木が生えています。しかも全部昔から植えてあった天然フルーツそのもの! スモモの木、栗の木、そしてクルミまで生っています!こんな木通りを進んでいったら。。。 彼の畑が見えました!周りには本当に何も無いくらい自然に囲まれています。それにしても何ていい天気なんでしょう!やはりここの空気は気持ちいい!ここならば美味しくて甘い葡萄が実るはず! この方がクリストッフさん。 少しシャイな可愛らしい笑顔が印象的! 昔から農業やワイン醸造のテクニック、何かを造りだす事に興味を持っていた、好奇心モリモリな醸造家です。 奥さんのお父さんの畑を借り、やっと夢を実現できたと幸せたっぷりな表情で話す彼。その思いと情熱さが彼との会話で感じられます。 皆で撮影会! お客さんは皆同時にカメラを構え、ポーズを取っているクリストッフをいっきにパシャパシャ! クリストッフも少しビックリ・・・ でもスターになった気分だ!と喜んでいました! BMOの山田さんと高野さん 何か皆さん楽しそうです! 続いて醸造所へレッツ・ゴー! と張り切っていたのですが、本当に本当に小さなカーブ・・・ しゃがまないと入れないくらい狭いのです・・・ そこには樽がポンポンと並べてあり、最低限のものしか置かれていません。 ここで庭での楽しい試飲会!真っ青な空の下で飲むワインは雅に最高! 最初に試飲したのはムニュ・ピノー100%で出来たキュベ、ル・オー・プレシ−Le Haut Plessis。上品な酸味、かつフレッシュ感が加わりとても美味しい〜! 続いてガメー100%使用のワイン、ル・プランタン−Le Printempsです。ル・プランタンとは春という意味。春ごろに瓶詰めをするからこの名前に決定したんだと。長時間発酵して造り上がったこのワインはとてもフルーティーでフレッシュ。 そして赤ワインのタンデム−Tandem 。これはカベルネ(80%)とコット(20%)使用のブレンドワインです。酸味もあり、野いちごの甘い風味もあり、とてもデリケートでエレガントな味です。 最後はソビニョン100%の、ブラン・ド・パイユ−Brin de Pailleで閉めました。ブラン・ド・パイユとは藁1本という意味。名の通り、透き通っていて綺麗な薄い黄色のワイン・・・これで濾過(フィルトラシオン)もしていないなんてビックリ! ワインのおつまみに出てきたヤギのチーズ! フランス人はこのチーズが本当に大好き! 食卓には結構出てきます! 酒壱番の金子さんの真面目なワン・ショット!ワインのご感想はいかがですか・・・・? ジェイ・アール・フレッシュネス・リテールの金田さんのちょっとカッコいいショットです! BMO の山田さんの説明を懸命に聞く産直の五嶋さん。お味の方はいかがでしたか? お客さまからのプレゼントで、お月様の形をした飾り物! このドメーヌにピッタリです! 色々なプレゼントを貰って少し照れ気味のクリストッフ。 そして彼の家にはこんなに可愛い子猫がいました! 本当に可愛い〜〜! クリストッフは『連れて帰ってもいいよ!』と・・・ 是非次の機会につれて帰りま〜す・・・! BMOの桐谷さんも大の猫ちゃん好きです!彼女自身も飼っているだけあってメロメロでした! 産直の中島さんも落とさないように大事に抱えていました! ラ・ルノットのワインが飲める / 買える店はこちら: トロワザムール ラ・ルノットのワインが買える店は、BMO株式会社までご連絡いただければ、ご紹介いたします: BMO 株式会社 TEL : 03-5459-4243 MAIL: wine@bmo-wine.com

10
Sep

オリヴィエ・クザン − Olivier Cousin

今日訪れたのはオリヴィエ・クザンの畑です! 『とりあえず馬車で迎えに行くよ!』とオリヴィエ。 そういう事で彼を待っていたら、現れました、インディアンが! そうなんです。醸造家の間ではその長い髪と長い髭が印象的で、インディアンというあだ名が付いているそうです!その証拠に、お誕生日にはインディアンのテント、ティピーをプレゼントされたらしいです! 少々雨が降り始めてきた中、10人乗りの馬車に乗り込む皆さん。近くに畑を持ち、オリヴィエととても仲が良い若手自然派醸造家、ブノワ・クロー氏、そしてオリヴィエの奥さん、クレールさんも合流!! そして山田さんが先頭、皆さんも馬車にゆったりと身を任したところでいざ畑へ出発! アンジュの可愛い町の中を探検です! 奥の馬がキキ君 そして手前の馬がジョーカー君 ここがオリヴィエの畑です。この場所は南を向いている為、太陽の恵をいっぱい受けています。なので熟成感たっぷりの美味しい葡萄が収穫できるのです。これが実がたっぷりのカベルネ・フランの葡萄です! 畑から見える景色は教会の塔。畑の裏にはこんなに可愛い教会が!

9
Sep

ブノワ・クロー  – Benoit Courault

9月7日、BMOの方々、そしてBMOと働いているお客さんを連れ、一泊二日のロワール旅が始まりました。 まずバスの中での説明会と自己紹介!やっぱり竹下さんは話が上手い!マイクを手渡すと昔のエピソードや色々な持ち話でバスを盛り上げてくれます!そしてサンドリーヌも昔はマイクを渡されるのが好きではなかったのに、今では醸造家の噂話や小話で楽しませてくれました! 早速畑に集合!ブノワは2年前に畑を購入したばかり。その前は化学物質でボロボロだった土壌も、今ではふかふかに大変身!やはりブノワの懸命な手入れと自然に対する思いが土に現れています。 これは牛糞とイラクサで出来たビオディナミの調合です。ブノワのこだわりで、牛も自然な植物を食べている自然派なのです。これが肥料となり葡萄の根を更に深く伸ばしてくれるのだそうです。でも全然匂いもしなくてビックリ! 左には甘くて美味しいカベルネです! そして右には樹齢100歳のりっぱなヴィエイユ・ヴィーニュ・シュナン・ブラン。 そしてこの動物達はブノワの宝物!馬のノルウェちゃんとやぎのリベリュルちゃん。『ノルウェ』とはブルターニュの強い風の名前。ブルターニュ出身の馬なのでこの名前に決めたのだそうです。そして『リベリュル』とはフランス語でトンボという意味です。 次に訪れたのはブノワのお家です!けれども畑のど真ん中にあったのは・・・キャンピングカー・・・まさか・・・?!そうです!ここがブノワのスイート・ホームなのです!奥さんと今年1月に生まれたアルフォンス君と、仲良く暮らしている場所なのです! この土地は風が強いので、今後の目標として家にエアモーター、そして太陽熱利用システムを付け加えるそうです。

22
Juil

LA PLANETE GRIOTTES

Quand on arrive chez les Griottes, on arrive dans un autre monde. Les valeurs et les repaires de la société moderne n’existent plus ! Envolés ! グリオットのドメーヌへ行くと、現代社会の価値が存在しない、まるで別世界にいるかのように感じられます。 Patrick est assis sur des barriques le pied qui a doublé de volume, il nous explique qu’il s’est cassé le talon en sautant de son tracteur. Son talon s’est écrasé sur le bout de son sabot (chaussures traditionnelles en bois… et oui pas de Converse ou de chaussures à la mode chez Griottes mais des sabots à l’ancienne !!). Chacun d’entre nous aurait été à l’hôpital et suivi à la lettre les consignes du médecin, mais non Patrick a tout décliné, il est […]

16
Juil

レ・グリオットへ – Les Griottes

今回もまた内容が濃い旅となりました!初日からハイテンションな叔父様名コンビのお二人を乗せ、出発進行!! 今日は7月10日。バカンスシーズンということもあり、道は大困難!しかも空にはスピード違反を確かめるポリスのヘリコプターまでが飛んでいます・・・!ここはアメリカですか?! そんな中最初に訪れたのはロワール地方、サン・ランベール・デュ・ラッテの町に存在するレ・グリオットのドメーヌ。石で出来た小さな醸造所の中で待っていたのはパトリック・デプラ氏とセバスティアン氏。