14
Juin

DOM. GIBOULOT訪問

ドメーヌ・エマニュエル・ジブロ訪問 ブルゴーニュで最も早くから自然なワイン造りを始めたジブロ。彼とは昨年の11月に東京で開催されたニコラ・ジョリーが主催するビオディナミ生産者グループの試飲会“ルネッサンス・デ・ザペラシオン”のために来日したとき以来だ。朝9時半にボーヌの町のすぐ外にあるドメーヌに到着すると、笑顔で迎えてくれた。早速、地下のカーヴに入り彼の話を聞く。 10haの畑を所有し、その内の5haはコート・ド・ボーヌのシャルドネ、赤はコート・ド・ニュイに2.3ha所有する。そのほかに、リュリイ、ボーヌとブルゴーニュに畑がある。 意外と知られていないのが、コート・ド・ボーヌというアペラシオンだ。オート・コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュと混同しがちだが、実はまったく別のアペラシオンなのだ。オート・コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュはオート・コート・ド・ボーヌに広がる約20の村の2000ha程のブドウ畑のワインをブレンドして造れるアペラシオンで、大概ネゴシアンがこの地域からブドウを買い集めて安価なワインを生産している。それに対して、コート・ド・ボーヌはボーヌのコミューン内のアペラシオンで、地理的にボーヌ・プルミエクリュのすぐ上に位置する僅か50haの畑から造られるワインだ。従って、コート・ド・ボーヌのアペラシオンは、かなり限定された素性の明らかな上級ワインを生み出す地域と言える。 ドメーヌの設立は1970年、エマニュエルのお父さんがワイン造りを始めた。当初よりお父さんはビオによる自然なブドウ栽培を行っており、エマニュエルは自然とその重要性を身に付け、当然のように自然なワイン造りをするようになった。彼がドメーヌを受け継いだ1985年よりビオで、1996年からはビオディナミでワインを造っている。 彼の行うワイン造りはどんな方法かと尋ねると、その答えは明快。いいブドウさえ出来れば、あとはシンプルに醸造するだけという。何も加えずただ野生酵母の働きに任せるだけだ。 彼は約10種類ものワインを造っているが、その味わいは共通している。白はどこまでも透き通った酸が特徴だ。コート・ド・ボーヌの3種の白を試飲する。始めのキュべ“グランド・シャトレーヌ”は、白い花の香りが印象的。ミネラルと爽やかさな酸がキュッと引き締めてくれて野菜を使った前菜に是非合わせたい。次は“ピエール・ブランシュ”、こちらは蜂蜜の香り、厚みもある。ミネラル感はやや少なくなる。これは石灰の細かくなった砂が多い土壌に由来するそうだ。そしてトップキュヴェの“コンヴ・デヴ”。う〜ん、これは凄い!グランド・シャトレーヌに感じた花のような香り、ピエール・ブランシュの熟したニュアンスを足して上品さを増した、複雑でありうまく調和の取れた味わいだ。これは別格。実は“コンヴ・デヴ”の区画はピエール・ブランシュの中にある小区画なのだが、昔ここに小川が流れており、その影響でこの畑はとても自然治癒力が強いブドウが力強く育つことが出来るという。これこそジブロを象徴するワインだ! お問い合わせ:オリゾン事務局 TEL. 03(5565)5884

9
Juin

DOM. SABLE 訪問

ドメーヌ・サーブルは従来、最高のとも言ってもよい自然派生産者であるフィリップ・パカレがコンサルティングをしており、ワイン造りもパカレが担当していた。ところが2006年からはパカレのコンサル契約を終了し、独自でワイン造りをするようになった。それを知ったとき、実はというと“大丈夫かな”と少々心配になった。というのも、マダム・サーブルに以前お会いしたとき陽気でいい人だと思ったが、反面、ボーヌの街の中心地にブティックを作るなどして商売人だなと感じたからだ。 ところが今回の訪問で、それは取り越し苦労だということが分った。 現在、ワイン造りを担当しているのは、マダム・サーブルの娘のファニー・サーブルさん。何とまだ若干23歳だ!学校を卒業してから2001〜2005年の5年間、パカレにぴったりくっついて、このドメーヌでナチュラルなワイン造りを栽培から瓶詰めまでみっちり仕込まれた。 畑の見学からカーヴでの試飲まで、ファニーに案内してもらったが、スラリと背が高く、浮付いたところのないしっかりした語り口からは、23歳とはとても思えないしっかりとした個性を感じる。 同行した日本酒の蔵人の方の「ひとりでワイン造りをしていて不安はないのか?」との問いにも、きっぱり「ない!」とのこと。パカレと一緒にやってきたワイン造りの経験が、自信に繋がっているようだ。また、2004年に発酵がうまく進まず1樽だめにしたことも、大きな経験になったという。 一通り試飲をしたが、どれもパカレのワインにとても似ていると同時に、各アペラシオンの個性がよく表れている素晴らしい品質だ! ドメーヌ・サーブルに対する心配は、これで一切晴れた! しかし恵まれているのは素晴らしいアペラシオンの畑をこれだけ多種持っていることだ。列挙すると、ボーヌ・ブラン、ボーヌ1級“シュアシュー”、ムルソー“スー・ラ・ベル”、ムルソー1級“レ・シャルム”、サヴィニー・レ・ボーヌ、ポマール、ポマール1級“レ・シャポニエール”、アロース・コルトンなど。

5
Juin

命と引き換えて手に入れた畑・COKALIERES – DOMAINE D’AUPILHAC訪問

シルヴァン・ファダとコカリエールの畑(すり鉢状になった北向き斜面) 〜 コカリエール物語 〜 シルヴァンはこの畑にくると眼つきが子供のように輝きだしてしまう。この畑を開墾する為に、あまりにも多くのものを犠牲にしてきた。常識人なら絶対にやらない挑戦だった。当の本人も途中で躊躇しかけたことも何度かあった。 山の精に取りつかれたのではと誰もが思った。 この地は地質学的には大変興味深い場所だった。太古の昔、火山の火口跡であり、後に湖があった場所だ。すり鉢状になっている地形だ。彼にとっては、子供の頃から村の羊飼いのおじいさん達から聞いていた特別な場所なんだ。 『シルヴァン、あの山の奥には特別な植物がいつも生息している場所があるんだ。』 シルヴァンは羊飼いのこの言葉を忘れることはなかった。 この地は乾燥した土地だ。だから植物が絶えずあるということは地下水なり水源があるということである。 この辺の山は、低雑木草のガリグとよばれる野生樫の木か野生のタイムやローズマリの低雑木草しか生息できない。木が高くなるとタラモンターヌと呼ぶ強風がなぎ倒してしまう。この風の影響もあって乾燥度が厳しく、極度に痩せた土地だ。栽培できるのは生命力の強い葡萄木かオリーヴの木ぐらいしかない。 〜 開拓中、畑から取り除いた岩盤のほんの一部 〜

3
Juin

Domaine de la Rectorie 訪問 

地中海の碧い海と空、そしてシスト土壌が醸すテロワールワイン 繊細でミネラルなワイン   ドメーヌ・ド・ラ・レクトリ    地中海とバニュルスの街を見下ろす葡萄園   海と山がくっ付いている。こんなに美しい景色の葡萄園を見たことがない。雄大で繊細な美しさ。人間的で野性的。海と山。美しい景色と厳しい土壌。諸々のコントラストが醸しだすワインのスタイルだ。上品で繊細な中にミネラルがしっかり存在した実にすばらしいワインだ。他では絶対にみられないユニークなスタイルのワインを造りだす。 詩人の心と鉄人の強靭な精神が必要 そんなワインを造るには、偶然にはできない。詩人のような繊細さと鉄人のような強靭な精神を備えた人でなければ出来ないスタイルだ。それらを備えているのがパルセル兄弟ファミリーである。 今日は2男のピエールさんファミリーが迎えてくれた。兄弟の中でも最も繊細でやさしい心の持ち主だ。 写真芸術家でもある。 別世界のワインの物語 雑草も生えないようなシスト岩盤の山が土壌だ。 葡萄が生息するのに実に厳しい条件だ。根ッ子がシスト岩盤の隙間に入り込んで根を伸ばしている。 まず岩盤にへばりついて、そして岩盤を徐々に打ち砕いて下に伸びている。葡萄の生命力は凄いものだ。 ここでは、ボルドー、ブルゴーニュの理論は通じない。別世界のワインの物語だ。 美しい景色とは正反対に葡萄木は過酷な条件の中で葡萄を実らせてくれる。 時々、シスト岩盤が崩れ落ちることがある。それでも葡萄木は岩盤にへばりつき自分の使命を果たすべく頑張り続ける。 感動せざるをえない。この葡萄木の努力の結晶が一滴のワインとなる。  ユニークなスタイルのワインが出来上がるのは当たり前だ。 元気が必要な時に飲みたいワイン 頑張らなければいけない時、疲れた時に飲みたいワインだ。 元気が出そうな気になる。 葡萄木、シスト、景観、人 葡萄木がこんなに頑張れるのも、こんなに美しい景色を見ているからだろう。そして、その努力をじっと見守ってくれる、やさしい心をもった人がそばで支えてくれるからだろう。頑張れ!!葡萄!! BANYULS・バニュルスの未来に大きな道しるべ パルセ・ファミリーはバニュルスの名門であり新参者だった。 パルセ家は1800年代よりバニュルスに住みワイン造りをしていた。しかし、現当主のおじいさんは優秀過ぎた。ポリテクに入学。日本でいえば東大のような存在。卒業後、パリにて電話線の会社を設立。一流企業に成功を収める。 しかし、敬虔なるクリスチャンのおじいさんは質素な生活を信条として孫達に、バニュルスの生活の事、人生で大切な事を常に語っていた。  26歳のマーク、パリを離れバニュルスでの人生を決意ピ エールのお兄さんのマークは重大な決意をした。26歳の時だった。おじいさんから話を聞いていた、家族の原点であるバニュルスの家に戻ることを決意。1974年、一つ年下のピエールは若干25歳だった。1980年には弟のチェリーも参加。それまで、曾おばさん(99歳まで生きた)が孤軍奮闘して守ってきたレクトリーが活気を蘇らせた。当時はすべて農協に葡萄を売っていた。しかし、農協の経営に陰りが見え出した頃だった。当時のバニュルスの農家と農協は、売れなくなった酸化ぎみの天然甘口ワインを何の疑問も持たずにせっせと造り続けていた。 農協脱退を決意 新参者であり、おじいさん譲りの経営感覚を持ち備えていたパルセ兄弟は農協から脱退することを決意し、1984年より自分達でワインを造り、RECTORIEの名で販売を開始した。 目的はバニュルスの偉大なテロワールを表現するワイン造りだ。 バニュルスのテロワールはボルドー、ブルゴーニュにはできない偉大なるワインの可能性がある。パルセル兄弟はこの偉大なテロワールが、まだ世界の人達に知られていないことに喜びと遣り甲斐を見た。それまで、ここバニュルスでは超完熟し過ぎた、焼けたワイン、アルコール香のするワインがほとんどだった。スティル・ワインで酸、ミネラル、果実味のバランスのあるワインは当時皆無だった。 天然甘口ワインは、酸化臭、酸化色のものばかりだった。テロワールの表現とは程遠い存在のワインばかりだった。これらの改良に乗り出した。             RECTORIEの館の窓から見た葡萄園、この山全体がシストの岩盤土壌だ。 1−CUVEE ARGILE BLANC アルジル AOC COLLIOURE BLANC フレッシュな酸、完熟感のある果実味,すべてを支えるミネラル感。どこにもないスタイルの完璧な白ワイン.シスト独特のミネラルが特徴。 葡萄品種             グルナッシュ・グリ80%      ブルナッシュ・ブラン20%                平均樹齢50歳         収穫量/H 20HL/H    手摘み カジェット箱 空圧プレス 樽発酵、樽熟、新樽20% シュール・リにて熟成 2-ROSE 赤に近い薄いルビー・ロゼ、ベリー系の果実味、辛口でフレッシュさもある。勿論、シストのミネラルがきっちりしめてくれる。食事合わせたいロゼだ。他に類のないロゼのスタイル。 葡萄品種  グルナッシュ、カリニャン、シラー、クノワーズ 平均樹齢50歳 翌年4月に瓶詰 一部一晩のマセラション後プレスにかけ、そして樽発酵、樽熟、 10%の新ダル、シュール・リ、バトナージ。 3-COTE MERE コテ・メール 今まではコリウール赤は、区画別に名前をつけて出していたが、それぞれの区画の収穫量をさらに下げたことにより区画別ワインの出荷が困難になってきた。よりシンプルに、高品質にする為に2種類の赤ワインに集中することを決意した。 気軽に飲める果実味を中心のワインをCOTE MEREコテ・メールとして、テロワールを最大限に発揮したワインをCOTE MONTAGNE コテ・モンターニュとして出荷することを決めた。 実に心地よい酸をともなった熟した果実味が中心  勿論、シストからくるミネラルが背骨を構成している。 葡萄品種  グルナッシュ50% 、カリニャン25% 、シラー25%  樽熟70%、フードル(大型木ダル)30%     4-COTE MONTAGNE コテ・モンターニュ パルセ兄弟が永年かけて完成度をあげていた芸術作品。 過酷なシスト土壌から、こんなにも繊細で上品なワインが出来上がる。まさにテロワールと人との共同芸術の域だ。 シスト土壌が濃縮感と透き通ったミネラル感を与えてくれる。多くの古木が上品さと繊細さを、収穫日の決断がフレッシュな酸をも与えてくれる。これぞバニュルスのテロワール・ワインだ。 葡萄品種  カリニャン 27%   ルーサンヌ 12%   クノワーズ 35% ルーサンヌ 12% ムールヴェードル11% グルナッシュ 15% フードル熟成70%、樽熟成30% 18か月熟成、平均樹齢50歳 VIN DOUX NATUREL 天然甘口ワイン、酒精強化ワイン これもパルセ兄弟が改良したワインである。 褐色化した 酸化臭のしたバニュルスが売れなくなった 5- PARCE FRERE – パルセ・フレール この天然甘口ワインは、ルビー色である程度の酸も備えて いる、フレッシュな果実味豊かな甘口赤ワイン。 酒精強化の時期を、マールがまだ葡萄の房の状態の時にア ルコールを足している。フリーランのみ使用。 6- LEON PARCE - レオン・パルセ 最初の原料ワインは同じ、プレスワインも足して樽熟成を 10か月したものがレオン・パルセである。 奥さんの手料理とワインが最高に美味しかった。

29
Mai

CH−VIEILLE JULIENNE -AOC CH-NEUF DU PAPE訪問

パーカー2度の100点満点 5月23日 CHATEAU NEUF DU PAPE のシャトー・ヴィエイユ・ジュリエンヌを訪問した。 フィロキセラを乗り越えた100歳を超える古木  ここの特徴は何と言っても樹齢100歳を超えた葡萄木が沢山あることだ。しかもフィロキセラの被害を逃れたヴィーニュ・フランセーズといわれる正真正銘のフランス産原木の根ッ子をもつグルナッシュ品種の古木が現存している。ヨーロッパ内でも僅かしか残っていない。 その他の葡萄をいれても平均樹齢60歳という例外的な樹齢の古さが特徴だ。 葡萄木の一本一本が彫刻の芸術だ! 醸造所の前にあるのが104歳の古木だ。葡萄木に魂が宿っている感がある。葡萄園に立つとエネルギーを感じる。 葡萄木と土壌が永い付き合いの夫婦関係のようだ。 何があっても微動だしない不動の信頼関係を感じる。 奇跡を起こした砂質土壌 ヴィーニュ・フランセーズ“純粋フランス産葡萄木”を生存させてくれた土壌は偉大だ。奇跡と云ってもよい。 フィロキセラ以前の葡萄木の性質、それからとれる葡萄そしてその土壌に育った自然酵母、それらで醸されるワイン、どれをとっても興味をそそられる。 ガレ・ルレとよく云われる大きな丸型の石があるシャトー・ヌフ・ドゥ・パップの土壌ではない。 海の砂より細かな砂質の土壌の中に、小さなガレ・ルレ(丸石)が少しだけ混じっている土壌である。

28
Mai

人気醸造家、ロビノに質問!!

あのロワール地方の人気醸造家に質問しちゃいました!クラブ・パッション・デュ・ヴァンだけに見せてくれるロビノ氏の一面、皆さんにも教えちゃいます!! 1. ロビノさんのブドウの選別基準? 絶対に熟したブドウを選ぶ事!!それが一番気を付けている事です。 畑で毎日ブドウを味見する事が大切です。 2. 醸造において一番気をつけていること? 化学物質、SO2などは絶対に使用しない事。  白ワイン:なるべくゆっくり丁寧に圧搾を行う事。後、ワインに豊富さを与える為、澱みを少し残しながらワインのの液を澄まします。 赤ワイン:半カルボニック醸造。炭酸ガスを少し入れるだけでワイン醗酵が進み、ワインが気化しにくくなります。 ロゼワイン:圧搾は直接行い、白ワインのように液を澄まします。ロゼワインに含まれている砂糖の量は約20mg 、そして私のこだわりは樽栽培です。     3. 地球温暖化の影響? ロワール、シャニエール、コトー・ド・ロワールに関しては、地球温暖化はブドウの熟成さを高めてくれた為、とても良い影響だと思います。昔に比べ、ブドウのバランスもより完璧になってきました。

22
Mai

CHAMPAGNE DE SOUSA*シャンパーニュ・ド・スーザ - AVIZE村

5月20日 のBLANC DE BLANC の丘、AVIZE。 最近10日間の温暖な気候で一気に枝葉が伸びている。 区画名LES GESTIS DE SOUSAの区画LES GESTISレ・ジェスティスの畑はOGERとAVIZEの堺にある畑だ。樹齢60歳の古木を0.40ヘクタール所有している。 4月の霜で40%の被害にあった。まだ時期が早いのである程度カバーできる。この畑からはBRUT RESERVEが仕込まれる。 畑で飲むシャンパンは最高だ! 日本にも2回来たことがある。本当に仲の良い夫婦だ。小学校からの同級生だった幼馴染だ。 『人生で一番大切なものは何ですか』の質問に間髪を入れず、 エリックは『『ミッシェルだ』奥さんの名前を挙げた。 ミッシェルも『エリックよ』』とニコッと笑った。

14
Mai

DUPONT FAHN-RAYMOND 訪問

〜5月13日 MEURSAULT DUPONT FAHN RAY MOND訪問〜 2006年が初リリ−スのデュポン・ファン・レイモン若手ブルゴ−ニュの期待のホ−プだ。既に、クロス・ロ−ド経由で日本に紹介されている。驚愕のレヴェルの高さに人気高騰。 今日は2007産を試飲すべく訪問。 2007年は既に樽から出して樹脂のタンクに移動されていた。 RM『あまり長く樽熟をしない方が良い、果実とミネラルが真直ぐに表現される。』 確りした自分の造りたいスタイルをイメ−ジしている。実に大切なことだ。 醸造所はまだ完成していない。1年前より建設中である。 RM『何とか、夏までは完成させたい。』 樽から出したばかりなので、樽もまだ立てて置きっぱなしになっていた。 RM『ムッシュ・ITO、先週ワインを樽からタンクに移動したばかりだよ。 まだアルコ−ル発酵も続いているし、中にはマロ発酵も終わっていないものもある。この段階でのテ−スティングはチョット難しい』 ITO『でも07年のポテンシャルを知りたいんだ。それなら判断できるだろ 。』 RM『OK, じゃ、はじめよう』 レ−モンはピペットを取り出して樹脂タンクに登りワインを取り出した。

7
Mai

フィリップ・パカレ「クエスチョン34???」

1.パカレさんの選別基準(葡萄供給者、葡萄の品質)? 葡萄は次の基準によって購入しています : 樹齢45年以上の葡萄 ピノ・ノワールとシャルドネに関しては、素性の良いものを選別。(クローンなどではなく、マサル式選別によって植樹されたもの) 化学物質などが使用されていない葡萄畑であること。 私達考える自然栽培方法(有機栽培)に賛同、理解してくれると。 2.醸造において一番気をつけていること? 全てが重要でありますが、毎年変わるヴィンテージを正確に表現するために、そのヴィンテージに対応した醸造を行うことが大切です。 3.地球温暖化の影響? 気候:1988年以降収穫日は温暖化の影響で年々早摘みとなっています。例えば、20年前は10月が収穫時期だったのが、今では10月に収穫が行われることはありません。又2003年から更に温暖化が加速、一段と収穫日が早まっています。2007年の収穫などは8月に行われてもおかしくはなかったでしょう。 葡萄の木:重要な問題です。例えば、ピノ・ノワールはそのテロワールを十分表現する為には冷涼な気候が必要です。ですから、この温暖化の影響で、私達の知っているピノ・ノワールの特徴が変化していく可能性があります。 土壌の中の生命:とても暑い春の終わりから夏は土壌を肥沃にする。ただし気温が暑すぎると、ぶどうを育て、ワインを発酵させる、自然酵母や微生物が脱水症状になってしまい、土壌の生命が弱ってしまうので、土壌を耕すことはしない。(ぶどう畑の草を取り除かない)

28
Avr

BEAUJOLOISE 自然派ワイン試飲会

自然派ワインの世界では歴史的に意義のある第一回目 4月21日 に DEGUSTATION BEAUJOLOISEボジョロワーズという名で自然派ワイン試飲会がボジョレの地、シャトー・カンボンで開催された。これは歴史的な出来事の第一歩となるであろう。 自然派の発祥の地ともいえるボジョレがまた新たなる時代に向けた新しい方向性が若手達によって築かれようとしている。 自然派ワインの起こりはここボジョレから始まった。 晴天なら芝生の庭でゆったりとやる予定だったのが. 前日に曇空の予報が出て急遽テントを張った。 自然派ワインの起点は故アラン・シャペルから 自然派ワインの起こりはここボジョレから始まった。 その起点となったのは、リヨンの偉大なる料理人故アラン・シャペル氏なのである。シャペル氏はある時、偉大なる生物・物理学者でもあり醸造研究家でもあるジル・ショーヴェ氏に巡り合う。物事の本質を見抜く抜群の能力をもっていたシャペル氏は、ジル・ショヴェの話を聞き、彼の造ったワインを飲んで感動した。それと同時にジル・ショーヴェ氏の持っているものを残さなければいけない、と感じた。 そこで、シャペル氏はまだ若かったマルセル・ラピエールを呼び出して 『マルセル、お前は同じ村に住んでいるジル・ショーヴェ氏を知っているか?』 『知りません』 『ジル・ジョーヴェはフランスの宝だ!彼はもうお年を召されている。彼のワインに対する考え方をフランスに残さなければならない。お前は時間の許すかぎりショーベ氏の処に行って彼のやっていること、考えていることを吸収してきなさい。』 この会話が切っ掛けとなって現在の自然派の流れが動き出したのである。 この流れの話は別の機会に詳しく書くことにする。 マルセル・ラ・ピエールはこのアラン・シャペルの言葉を忠実に実行している。 ジル・ショーヴェのワインを再現して、その発展の為にフランス中の若手醸造家たちに大きな影響を与えている。毎年7月14日のフランス革命記念日にフランス中の醸造元をフリー招待して昼夜を共にして語り合うという会を開催している。このアラン・シャペル〜マルセル・ラ・ピエールの影響を受けた醸造家達が現在の自然派ワインを築き、支えている。 ボジョロワーズを主催した次世代を担う3人 そして、今回のこの“DEGUSTATION BEAUJOLOISE”試飲会は、次世代を担うボジョレ若手3人によって主催された事に大きな意義がある。 この3人が動き回って、この素晴らしい試飲会が実行された。 ラピエールの甥でありフィリップ・パカレの従兄弟でもあるクリストフ・パカレ 心やさしいクリストフ 提唱者であり、人生経験豊富なシリル・アロンゾ マルセル・ラ・ピエールの息子、マチュ・ラ・ピエール 自然派のサラブレット、マチュ この会には深い意味がある。この自然派ボジョレの醸造元は毎年ヌーヴォの時期は戦々恐々とした状況が続いている。INAOより AOC BEAUJOLAIS NOUVEAUを落される嫌がらせが今だに続いているのである。 若手3人はボジョレの地元の人たちにも自分達のやっている事やワインの健全性を分かってもらおうという意図と、そして、自然派試飲会には多くの支持者やファンがいることも理解してもらおうとの意図があったのである。 入場者の数は記録された人数だけでも550名が集まった。フランス中のレストラン、ソムリエ、ワイン専門店、そして外国のバイヤーなど多方面の人達が結集していた。 クリストフ 『地元の人達を入れると700人ぐらいは集まっただろう。』 パリのVERRE VOLEE 経営者であり自然派ワインの大ファンでもあるシリル参上。                   パリの自然派ワインビストロのオーナーシェフであり、自然派初期よりの応援者ルドルフも参上。 出展者 BEAUJOLAIS 19社、MACON 8社、BOURGOGNE 4社の計31社が出展。 ボジョレからはマルセル・ラピエールを筆頭にジャン・フォワラール、ジョールジュ・デコンブ、イヴォン・メトラ、ジャンクロード・ラパリュ、マックス・ブルトン、ジャン・ポール・ブラン、フィリップ・ジャンボンなど自然派を支えているメンバーが勢ぞろい、そしてまだ無名の若手を含めて19醸造家、 ブルゴーニュからはロマネコンチの両オーナーが個別に持するオベール・ド・ヴィレーヌ社、プリューレ・ロック、の2社が参加したことは大きな意義がある。そしてドミニック・ドュラン、フィリップ・パカレなどブルゴーニュを代表する醸造家が参加、マコネ地区からは自然派を支えるヴァレット家、フィリップ・ヴァレトを筆頭にジェラルド・ヴァレット、そして若手のジュリアン・ギヨ、アルノ・コンビエ、など8者、で総勢31者の醸造家、 そしてブルゴーニュでウイスキーを造っているミッシェル・クーブル、美味しいソセージ、イベリコ・ハムなどを現地から買い取って行商するレーモン・ル・コックなども参加していた。 これ以外にも、南ローヌ自然派の旗手マルセル・リショなどフランス中からこの動きを応援する醸造元が 駆けつけていた。 こんな人達もいました。                    リヨンでフレンチレストランを経営する石田さん    4次元カラフ・オヴァリュスの作成者MICHELさん     伝説のレトランTABLE DE CHAINTREをやっていたGERARD ALONZOさん    パリ郊外GROSLAYでワイン屋を経営DUCLOS氏  パカレの奥さんの兄弟でもあり、CHARCUTRIEの行商レーモンさん  力強い自然派の女性達 マルセル・ラピエールを支えるマリーさん 子供のようなフィリップジャンボンを育てているカトリーヌさん     あのロックの性格を明るくした太陽のような存在 コリーヌさん    あの熊のようなデコンブを飼育する陽気な性格のジスレンさん 会場内はPASSIONで溢れていた。 新人賞 デコンブの息子ダミアンが独自のドメーヌを立ち上げた。 07年が初リリースだ。 発掘賞 パカレのところで修行したボルドー人、ソレールがスイスで独立。

28
Avr

ラングドック4月の夏日

なんとラングドック4月26、27日は日陰で27度まであがった。当然、浜辺の炎天下では30度を軽く超える気温となった。土日と云うこともあってまるで夏の海水浴浜辺のようだった。 モンペリエに近いカルノンとグランド・モットの間の浜辺だ。 地球温暖化は単純ではない。 CLUB PASSION DU VINではフランスワイン産地の各地方の天気と気温をHPにて報告することにした。 地球温暖化が表面化している現在、ワイン造りには大変重要な要素となっている。 このHPで3月2日にすでに海水浴を楽しんでいる様子をお知らせしたことがある。しかしその後フランスに寒波が到来して4月初旬にパリ、アルザス、ジュラ、では雪が降った。 西南部地方では3月の温暖で芽がすでに出ていた為に霜被害にあったところもある。他の地方では冷春の為に、発芽が例年並みもしくわ遅くなっているのが現実だ。先週、ブルゴーニュ、ボージョレ、ローヌのぶどう園を廻って来たが、ブルゴーニュでは桜が今満開であり葡萄の目はまだ固かった。ボジョレでは少し出かかっている状況だった。さすがにローヌ地方では、すでに芽が立派になっていた。地球温暖化は実際には気温が上がったり急激に下がったりで複雑な現象となっている。 南ローヌ4月24日撮影

19
Mar

フィリップ・テッシエ

ビオでブドウ栽培を行ない、良質でリーズナブルな、とてもコストパフォーマンスの高いワインを造り出しているので、ここは是非とも訪問せねばということで伺った。ドメーヌに到着すると、優しい笑顔でオーナー醸造家のフィリップが迎えてくれた。当初から感じていたが、フィリップは寡黙でまさにお百姓さん、という風貌の、とても柔和な生産者だ。 早速畑を案内してもらいながら話を伺う。ドメーヌの由来は、1960年に父がこの農地を買ったのが始まり。当時はアスパラガスなど野菜の栽培もしながらブドウ栽培を行なっており、収穫したぶどうはそのまま醸造業者に売り渡していたそうだ。フィリップが引き継いでワイン造りをするようになったのは1981年で、ブドウ栽培を行なうに従い、ワイン造りをするのならまず自然なブドウ栽培をするべきだと考えるに至った。理由は3つ。 ①化学物質で環境を破壊することなく、回りの自然環境を尊重し、環境と調和した栽培を行なうことが重要  ②農薬の使用は使用する自分たちに害 ③ぶどうの樹自体が元気になりエネルギーの詰まった良質ワインが出来る 実際、ビオに転換し7,8年経過したら効果が目に見えてはっきり出てきたという。ぶどうの樹自体が力強くしっかりとし、一本一本の樹の個性がよりはっきりと表れてきた。しかもワイン醸造時の発酵に必要な野生酵母が豊富になり、特に酵母のバラエティが豊かになったという。なるほど、それは超重要なポイントだ。しかし、ビオによるブドウ栽培はいいことだけではない。ビオに転換してから仕事量は25%も増加したそうだ。いいワインを造るということは決して楽なことではないと実感。 さて、それでは試飲だ。 シュヴェルニー白 は、白い花や洋梨の香りで、口に含むと優しい酸が心地よく爽やか。とてもバランス取れていていくらでも飲めそうだ。 クール・シュベルニー はロモランタンというクール・シュヴェルニーでしか栽培されていない土着品種100%で醸造。こちらはハチミツやアカシヤの花のようなより熟した華やかな香り、口に含むとこちらの方がやはり厚みと力強さがある、1/3は樽熟。シュヴェルニ赤‘06の “ポアン・ド・ジュール”というキュヴェ、2/3がピノ・ノワールで残りがガメとコで樽熟6ヶ月、熟したイチゴの風味まろやかで中身の詰まった味わい。この価格でこの味わいは他にないだろう。素直にうまいワインだ。ストックがもうないのが残念、’07を待たねばならない。 テッシエのワインは本当に気取ったところ、肩肘張ったところが全くない。香り豊かでバランスよく、気兼ねなく価格も含めて気楽にスイスイ飲めるワインだ。こんなこと言っては失礼かもしれないが、まさに生産者本人とそっくり!畑を21haとそこそこの広さと生産量を持っているのに大人気ですぐ売り切れてしまう理由は、その辺りにあると感じた。

19
Mar

クロ・ド・ラ・ブリドリー

ロワールのサロンで会ったときから感じていたが、オーナーのヴァンサン・ジローはとても精力的だ。いいワインを造ろうという強い意志を感じる。会場で約束した通り、この生産者を訪ねた。やはり訪問は畑からだ。さあ畑を見に行こう、と思った瞬間、思いがけない出迎えがあった。イモリだ!しかも大きいイモリだ。黒と黄色のツートンカラー。ヴァンサンいわく、イモリが出迎えてくれるなんて滅多にないという。幸先のよさを感じた。 現在10haからなるこのドメーヌの歴史は古く、このドメーヌが位置するロワール・エ・シェール県で最も古い11世紀まで遡るという。しかも、現当主ヴァンサンは1994年からビオディナミを実践しており、フランスでも最も昔からビオディナミを実践する10人に含まれているそうだ。ビオディナミを始めた当初は誰にもそのことを言わなかったそうだが、雨が多く周りのすべての生産者でカビが蔓延しいい収穫が出来なかったとき、彼だけが素晴らしいブドウを収穫しいいワインを造った。それから彼の行動に皆が注目するようになったそうだ。ビオディナミの実践は、先日訪問したドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ガイヤールのお父さん、フランソワ・ブーシェに教わったそうだ。 彼によれば、ワイン造りで最も大切な要素は、素晴らしいテロワールだという。彼がビオディナミを実践するのは、その素晴らしいテロワールを最大限発揮するワイン造りを実現する為だ。だから、つい最近今持っている畑の南に位置するロワール川を望む真南向きの斜面の雑木林を18haも買ったそうだ。以前はこの畑にはブドウが植わっており、素晴らしいワインが出来ていたそうだ。 彼のワインはこれだけ手を掛けて造っているのにとてもリーズナブルだ。白は辛口だがやや甘みを感じるように優しい味わい。ガメをそのままプレスして造ったロゼは淡い色調で、やはり辛口ながら優しい味わい。コ、ガメ、カベルネ・フラン各1/3から造った赤は、熟したダークチェーリのような果実味とまろやかなタンニン、程よい濃厚さのバランスがとてもよく取れている。さらに上級キュヴェの白と赤を造っており、白はシュナン70%、シャルドネ30%を500Lの樽で発酵、5ヶ月樽塾させたリッチなワイン。赤はやはり3品種を1/3ずつ用いブルゴーニュ樽で7ヶ月樽熟させた、滑らかで深みのあるワインだ。またここのクレマンもコストパフォーマンスに優れた安心して飲めるタイプの良質ワインだ。

19
Mar

ドメーヌ・ド・ルーエ

午後は一気にトゥーレーヌからサンセールまで、約250kmのドライブだ。始めはちょっと遠いからどうかと思ったが、この造り手には行かない訳にはいかない、ということで行くことになった。Oさん、ありがとうございます。 サンセールはロワールの白ワインとしては真っ先に出てくるアペラシオンだが、その有名さのせいか、自然派の生産者が殆どいないさびしい地域でもある。そのなかで待ってました、とばかりに登場した生産者がこのドメーヌだ。いわゆる通常のブドウ栽培をしていた父、エチエンヌ・リフォーの仕事を徐々に引き継ぎ自然なブドウ栽培・ワイン造りに情熱を注ぐ息子、セバスチャンが、今まで全く知られていなかったサンセールの本来の姿を明らかにしてくれている。まだ26歳にもかかわらず、彼の目指すワイン造りは明快だ。彼に言わせると、サンセールで有名な大規模にワイン生産をしている某生産者は、「工場」だそうだ。人の手によって人為的に作られた培養酵母を用い、万人に受けるようにワインを作り出しているからだ。サンセールはソーヴィニヨン・ブラン100%で造られるが、妙にソーヴィニヨン・ブランの香りが強調されすぎているような気がしたことがあるが、そのせいかもしれない。 ロワール川の上流に位置するサンセールは標高320m程の高地で涼しい気候。トゥーレーヌと比べると収穫時期が15日も遅いそうだ。土壌は谷を境にして東西2タイプに別れ、東はシレックス、西は石灰土壌だ。シレックス土壌からはミネラルに富んだワインが出来、石灰土壌からは果実味に富んだワインが出来る。地殻変動で上下に重なっていた土壌が横になったため、このようになったと説明してくれた。 ドメーヌ・ド・ルーエでは、この両方の土壌に35もの区画を所有し、両方の良さを兼ね備えたワインを造ることが出来る。実質的に2002年からビオによるブドウ栽培を行っているが、2007年にはカリテフランスによる認証申請をし、2009年ヴィンテージからは認証ワインになる予定だ。 カーヴに戻り、タンクで熟成中の’07白の試飲だ。グレープフルーツの爽やかな果実味がスキッと気持ちいい。2007年は雨が多くmildiou(べと病)が多かったというが、このワインには、かびたブドウや傷んだぶどうからくるいやな味わいは一切感じられない!キッチリいいブドウだけを選別しているからだろう。彼のワイン醸造の特徴は、マロラクティック発酵をするという点だ。サンセールの90%の生産者はマロラクティック発酵を行わないというが、それには深い意味がある。ドメーヌ・ド・ルーエでは今では自然なブドウ栽培を行っているので、ブドウの根が地中深くまで伸びている。従って、土壌に含まれる沢山のミネラルや鉱物、養分を存分に根が吸い上げてくれるので、絞った果汁にはしっかり酸が含まれている。そしてアルコール発酵が終わったら何もしなくても自然とマロラクティック発酵が始まるのだ。そうして、ワインが自らりんご酸を乳酸に変化させ、酸味が和らぐと同時に深みが生じる。それに対して、決められたとおりに薬剤を使用する通常の生産者の場合は、本来地中から吸い上げるはずのミネラル成分や酸が極端に少ない。しかも、本内ならブドウ畑に自然に存在しているマロラクティック発酵をさせる酵素が絞った果汁に含まれていないのだ。だから自然にマロラクティック発酵が起きないのだ。自然なブドウ栽培を行わないと、後々のワイン醸造にも悪い影響が出てくる。良質ワイン造りで最も大事なことが栽培だということが、セバスチャンの説明を聞いてよーく分った。更に、大方の生産者は発酵が終わって翌春には瓶詰するのに対して、ドメーヌ・ド・ルーエではマロラクティック発酵終了後、一年間もゆっくりとタンクにて熟成させる。そうすることによって、テロワールが本来持っている味わいが徐々に表れて来るのだ。 ‘06の白は、よく晴れて太陽の日差しを存分に浴びて育っただけあり、熟した洋ナシやハチミツのニュアンスまであるリッチなワインだ。赤は現在販売中の’05を試飲した。ピノ・ノワールの特徴のよく表れた、赤いスモモの素直な味わいだ。やはり12ヶ月タンクでゆっくり熟成させている。生産量が僅かで、今買える数量はたった300本しかない。すぐ押さえたいものだ。 サンセール、有名なアペラシオンだがいいものは本当に限られている。セバスチャンは、これからのサンセールを引っ張っていく、超重要な存在だと実感した。これからの活動が楽しみだ。

19
Mar

ミカエル・ブージュ

朝一番、ロワール川に沿って車を走らせると、川沿いの草地には深い霧が立ち込めていた。これぞロワール流域のテロワールだと心躍らせながら一番目の訪問先、「ミカエル・ブージュ」へ到着した。晴天ながらまだ肌寒いなか、まだ30歳にも満たない青年、ミカエルが迎えてくれた。自宅の色がこの辺りでは珍しい青い色である理由は、以前の所有者がバカンス用のセカンドハウスとして利用していたからだそうだ。 まず、いつものとおり早速畑に向かった。トゥールから東南東に約50kmほど離れたファヴロール・シュール・シェール村にある彼の畑は、標高が120mと高く、寒暖の差が大きい涼しい気候だ。この辺りのブドウ栽培の歴史は古く、中世の1150年位に遡るという。当時はこの辺りではソーヴィニヨン・ブランやガメは存在してなく、白ブドウとしては、ムニュ・ピノや、この地域でピノ・ド・ラ・ロワールと呼ばれるいわゆるシュナン・ブランが、赤はコ(マルベック)が植えられていた。ソーヴィニヨンやガメが栽培されるようになったのは最近のことで、フィロキセラにより壊滅したブドウ栽培を復興するために量産型の品種が栽培されたためだそうだ。 ミカエルは4代目。父はリュット・レゾネで栽培していたが、彼が本格的に引き継いだ2001年からはビオに転換、ビオディナミの手法も取り入れながら精力的にワイン造りを行っている。丘状に広がる傾斜のある畑を案内してもらうと、フランス中央部の中央山塊から運ばれてきた砂に石が混じった土壌だ。微生物がのびのびと生きている畑ゆえ、ミミズも元気に成育している。大きいものは20cmにも達するなんて驚きだ! 爽やかな朝の空気のなかひとしきりブドウ畑を歩いた後は、カーヴに行って試飲だ。またこのカーヴが寒い。チュッフォーと呼ばれる石灰の地層をくり抜いて造った洞穴がカーヴで、ここでワインを熟成・貯蔵している。まず、ソーヴィニヨン・ブランのキュヴェ “パント・ド・シャヴィニー’07” になる予定のワインだ。驚いた!フレッシュでグレープフルーツやレモンの柑橘系の味わいで、スイスイ幾らでも飲みたい、という願望に駆られるワインだ。これは自宅にいつでも飲めるようにケースで常備したい!インポーターさんよろしくお願いします!!’07はどういう年だった?とミカエルに聞いたら 「9月までひどかった!」 と笑いながら答えた。雨ばっかり降っていたそうだ。しかし、9月半ばからとてもいい天気になりいい収穫が出来たそうだ。笑ってそう答えられるところがキッチリ仕事をやっているという自信の表れだなっ、と感じた。既に瓶詰めされた’06は、とても天気がよくぶどうが十分に熟したので、熟した洋ナシの風味豊かなよりリッチなワインだ。よく、いい年だ、とか、悪い年だ、とか言うが、いい生産者にかかればそんなことは全く問題ないと感じる。栽培さえキッチリ行っていれば、その年の特徴のよく現れた、その年なりに美味しいワインが出来るのだ。それをあの笑顔が語ってくれた。 そして赤、“コ”100%で造るキュヴェ “レ・コ・オ’06” だ。これもまた凄い。いわゆるマルベックといえばカオールとかもっと暑い西南地方で主に栽培されている品種だが、こんな涼しい土地で“コ”がこんなにもよく熟すものかとちょっと信じられない気がする。未熟なタンニンの引っ掛かるところが一切ないどころか、熟した心地よい果実味に満たされた、何と風味豊かなワインであることか・・・。しかもスキッとした清涼感があり、これなら飲み疲れるということは全くない。商売的にもドンドン飲んでくれるからきっと儲かるワインになるだそうな、と感じた。さらに赤の上級キュヴェ “クイユ・ダンヌ’ 06”。たった40アールの畑から年産1500本しか出来な いワインだ。前者のキュヴェをより濃厚にし、よりエレガントにしたキュヴェだ。均整の取れた、完成された味わいだ。“クイユ・ダンヌ”とは”黒い石“という意味のとおり、黒い石の多い特別な区画から取れたぶどうから造られている。パリの有名なワインショップ”ラヴィーニャ“でも人気のワインだ。 ミカエル・ブージュ、期待すべき若きヴィニュロン。これからが大いに楽しみだ!

19
Mar

ドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ガイヤール(マチュー・ブーシェ)

ドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ガイヤールといえば、1962年に現オーナーであるマチュー・ブーシェのお父さん、フランソワ・ブーシェが、フランスで始めてビオディナミをブドウ栽培に適用した生産者として、ビオディナミの世界では知らない人はいない超重要な生産者だ。しかも、ビオディナミで必須のプレパラシオン(調合剤)を造り、ビオディナミの生産者たちに分けてあげているという、フランス中のビオディナミ生産者の縁の下の力持ちでもある。 さて、ちょっとした行き違いで一時間も約束の時間から遅れてしまったのにもかかわらず、マチューは笑顔で迎えてくれた。ビオディナミ界の最重要人物なのにも関わらず、なんて優しい人なんだろう、と訪問者一同感激!早速畑を見学しに行った。所有する面積は全部で16haあるが、ブドウを植えているのはその半分だけ。植えていない土地は牧草地になっており、自然な生態系がブドウ畑の周りに維持できるように、またプレパラシオンを造るのに必要な牛を放牧する場所でもある。 畑は自然! 雑草をそのまま生やしたままにしてあり、ブドウの樹と競合させると同時に雨が降ったときには素早く草が雨を吸収してくれ、ブドウが過度の水分を吸収しないようにしている。 畑を見た後は、カーヴに行って試飲だ!まず白。何と樹齢80年のシュナンから20hl/haと収量をとても低く抑え、味わい深いワインを造っている。発酵・熟成には新樽を使わないので他の生産者が使った古樽を譲ってもらっている。さすがマチュー、その譲ってもらう先がブルゴーニュのルフレーヴやフイイフュメのディディエ・ダグノーだ!さすがビオディナミの指導者だけあって、ワイン界の超重要生産者と深い親交関係がある。聞いてみると、他にもマーク・アンジェリ、ジャン・クロード・ラトー、オリヴィエ・フンブレヒト、マルク・クライデンヴァイスなどビオディナミを実践する生産者と仲がよいという。しかもボルドーでビオディナミを実践しているシャトー・ファルファには、実のお姉さんが嫁いででいるという、ビオディナミ界のまさに中心人物だ! 赤に移ってまずグロロー100%のキュヴェ“フルール・ブルー”だ。これが旨い!心地よい果実味、爽やかさ、そしてスパイシーなグロローの特徴、これらが合わさり幾らでもスイスイ飲める。そして本チャンの赤。グロローとカベルネ・フラン半々を16ヶ月ゆっくり熟成させた、深い味わいだ。来てよかった。深い満足感と喜びを一同みんなが感じた。 表に出るとすでに夕暮れ。ドメーヌのすぐ外は、ロワールの支流が流れており、川面がオレンジ色に輝いている。昔はここから船でワイン樽を積み出していたそうだ。一瞬、中世に舞い戻ったような錯覚に襲われながらドメーヌ・デュ・シャトー・ガイヤールを後にした。 マチュー、ありがとう 。これからも変わらずおいしいワインを造ってくれ。私たちはあなたのそのワインを多くの人に伝えたい、と誓いながら夕日に向かって車のアクセルを踏みしめた。

12
Mar

Maxime Magnon bien dans ses Corbières

Ses parents sont ouvriers, il n’y a pas de vignes dans la famille et pourtant très jeune Maxime décide de devenir vigneron. Après des études mouvementées (quelques problèmes liés aux filles, que maxime aime tout particulièrement !!) et un BTS viti-oeno décroché au lycée viticole Davaillet à Dijon, Maxime part chez les autres puisqu’il n’a pas de vignes. Vigneron itinérant il fait ses armes en Champagne (Anthelme Selosse), dans le Beaujolais, à Cornas (Thierry Allemand), fait une petite escapade de quelques années en Suisse…. Puis s’arrête quelques temps en Provence avant que le hasard (où la chance !) l’emporte dans les Hautes Corbières, où il vinifie au domaine Maria Fita […]

26
Fév

美しきは人生、それって容姿にも反映するなり!?

2月16日土曜日 今朝はアルデッシュのレ・クラパスへ。 ジェローム・ジュレは2006年に自分のワインを初リリースしたばかり、もうすでに話題の生産者のひとり。 ここの何がすごいってコート(丘陵)の畑。コートはコートでもちょっとやそっとの丘と思ったら大間違いの秘境中の秘境、四駆でも必死のでこぼこ山道を登っていくと、そこは急斜面の段々畑なのです。17世紀からぶどう畑があったという書簡が残っている由緒ある土地らしいけど、あまりの不便さ大変さに放置されていたというのが実情。なんていったって、昼間というのに畑で狐と会っちゃったくらいの秘境なんだから、ビックリ。 そこを借りて毎日毎日超ハードな作業をして蘇えらせたのがジェローム・・・なんていうと、いかついおやじと思いきや、フォトジェニックなんだな、これが。まあ、それは良いとして秘境の畑からカーヴ、自宅まで何でも自分で作ってしまう努力家で頑張る人のジェローム、そこはそう、やっぱりワインもなかなか! リリース2年目にして2007年ヴィンテージは2月現在、全くSO2を使っていないとのこと。素晴らしくスムースで果実味豊か、素直できれいなワインだこと!  なんで、こんなにステキなんだろう・・・でも、その疑問は30分後にスッキリ。というのも、あまりにも豊かで楽しい暮らしをしているのが、ランチをご馳走してもらったお家やファミリーの雰囲気からわかったから。こういう生活してれば、きれいになるもんなんだ、やっぱり。