9
Mai

Salon de vin “Indigenes”ワイン見本市アンディジェンヌ  Part-1

地中海沿いのスペイン国境に近い街Perpignanペルピニャンにて第一回目の大自然派ワイン見本市が開催された。 スペイン、南仏の自然派が約80社集まった。 4月30日、5月1日の二日間に渡って行われた。 第一回目に関わらずヨーロッパ中のバイヤーが来ていた。 自然派も大きく動いているのを感じる 。 非常に面白い試飲会だった。 また、多くの発見、出逢いがあった。 今、カタルーニャ地方のルシオン、スペインが面白い。

30
Mar

Le Repaire de Cartouche  * ル・ルペール・ド・カルトゥッシュ

パリジャンから愛されている自然派ワインビストロの老舗 Le Repaire de Cartouche * ル・ルペール・ド・カルトゥッシュ 身長2メートル弱のシェフ。 多くのパリの自然派ワイン食いしん坊に愛されているルドルフ。 単に、ワインセレクトの良さだけでなく、料理がホントに美味しい。 料理で満足、ワインで満足のダブル満足の店だ。 今夜は、CPVパリスタッフとアペロをやりに来た。 春といえば、DARD ET RIBO * ダール・エ・リボのキューヴェ・プランタンの“春ワイン”! 本日は会議をやって、皆でアペリティフをやろう! という事になった。 毎年この時期に出荷される。 ダール・エ・リボのルネ・ジャンとは家族のような付き合いをしているルドルフ。 ここに来れば、キューヴェ・プランタン(春ワイン)を飲めると思った。 何たること! DARD ET RIBO * ダール・エ・リボのキューヴェ・プランタン到着日が遅れて明日着くとのこと。 残念!!   では、ロドルフ・シェフの超お勧めワインでアぺロ。 これが大変、美味しかった!! ルシヨン地方の山側の蔵、Domaine La Petite Baigneuse * ドメーヌ・ラ・プティット・ベニューズ醸造のワイン、 シスト土壌のブドウを仕込んだワイン、Les Loustic * レ・ルスティックを飲んだ。 南フランスのスペインに近い最南端の一つの葡萄園とは思えないフッシュさ!! 軽めでグイグイ体に沁み渡っていくやつだ。 シスト土壌からくる涼しさを含んだミネラルが透明感を演出してくれている。 ルペール・ド・カルトゥッシュといえば、ロドルフ・シェフ自慢の人気パテだ。 食べ始めたら止まらない美味しさ。 ワインとパンで永遠に食べ続けられそうな組み合わせ。 今夜は、新ツマミ・メニュが登場。海の幸“オマール”のパテ。 イヤー美味しかった!! Le Repaire de Cartouche * ルペール・ド・カルトゥッシュ飲んだワインの紹介 La Petite Baigneuse ラ・プティット・ベニューズ醸造元 アルザス人のPhilippe Wies * フィリップ・ヴァイスは他の地方で野菜・果物のBIO栽培をやっていた。 葡萄栽培とワイン醸造に興味があって、どうしてもワインを造りたかった。 2008年にルシヨン地方のモーリ村にたどり着いた。 シスト岩盤からなる丘の葡萄園が売りに出ていた。 何と美しい景色とグルナッシュの古木が揃っている葡萄園を見て一目惚れ! あれから10年の歳月が流れた。 ワイン造りに熱中し過ぎて、人生上の紆余曲折を乗り越えながらもワイン造りにすべてを賭けてきたフィリップ。 人生を経験することで、人の苦味が判る深味が備わって来た。 まさにワインがシンプルになり、かつ深味、優しさが加わってきた昨今のLa Petite Baigneuse ラ・プティット・ベニューズ。 土壌はシスト一色。シストジュースと云っても過言ではない。強烈なミネラル感をソフトに包み込むフィリップの醸造。 勿論、BIO栽培、醸造も自生酵母のみ、醸造中は一切SO2をしない。ビン詰時も必要なければ入れない。ゼロSO2。 ラベルは大切な人からもらった人形が原型となっている。昔の水着姿の人形がモデルとなっている。 人気の白ワイン、Juste Ciel ジュスト・シエル、“空だけ”というワイン。 品種はマカブとグルナッシュ・ブランが50%づつ。 シストのミネラル感がフレッシュで透明感抜群の逸品!!

7
Mar

JOLLY FERRIOL est arrivé au JAPON. ジョリー・フェリオルが初来日 

ルシオンのJOLLY FERRIOL*ジョリー・フェリオルのイザベルとジャンリュックが先陣を切って日本到着。 まずは、日本の味、蕎麦屋で日本酒を一杯。 そして、蕎麦をすすり音を立てて食べることに挑戦。 (フランスでは音を立てて食べるのは最大の不謹慎。フランス人にとって、最も難しい挑戦) 頭のどこかに、子供の頃、音を立てて叱られた記憶があり、思いっきり音を立てて食べられない。 パリでナチュレル・ダンスの先生、講演をやっていたアーティストのイザベル。 コンピューター情報処理会社を経営していたジャン・リュック。 この二人はパリでの大成功をすべて投げ打って、第二の人生に選んだ土地が灼熱の太陽があるルシオン地方。 そこはイザベルの先祖の土地でもあった。 どもまでも野性的な土地、風土、文化、習慣のルシオン・カタルーニャ地方。 洗練された都市文化で暮らししていたパリジャンの二人には、大きな変化だった。 語りきれない壁を乗り越えて、満面の笑顔で本当に楽しそうに自分のワインを紹介する二人に私は感動した。 この笑顔がすべてを語っていた。 そして、この笑顔を象徴するのが、彼らが醸すこの発泡ワイン、ペットナットだ!! なんていう液体だ!!まさに喜び!! 細かな泡の中に歓喜が充満している!! こんな歓喜の液体を造るイザベルとジャン・リュックに逢いに来ませんか? 笑顔が伝染しますよ。ただものではありません。自分の目で見て、飲んでください。驚きますよ! 日本の予定 3月9日  大阪 試飲会(ホテル・モントレイ梅田にて) 夜は、ビストロを駆け回ります。 パッション・エ・ナチュール、マルル・エ・ウルル、バルタザール、ラ・トルトゥーガ 10日  名古屋 試飲会(アイリス愛知にて) 夜は、今、日本で最も熱い自然派ワイン地区の一つ豊田で、燃えます。 彩花亭、Minette, Sabori 豊田チームのお店 11日  東京   午後、しんじゅく伊勢丹 フェスティ・ヴァン、銀座カーヴ・フジキなど訪問 12日  東京、 恵比寿でBMO 20歳・感謝祭、 夜はスカイツリー・ソラマチ・オザミ店にいます。   13日  東京、自然派ワイン試飲会 (ホテル・モントレ銀座)   

7
Août

輝く太陽 Roussillon (Banyuls-sur-Mer)

フランスの最西南の端、スペインとの国境の最も近い街、Banyuls sur Mer バニュルス・シュール・メール,地中海に 面した明るく、活気のある街だ。 私が大好きな街の一つだ。小さな砂浜の海水浴があって、その半円形の浜を囲むように山の斜面の麓に街ができている。   地中海を見下ろすように建物が立っている。 実に美しい街だ。 葡萄園が海に落ちるように突き出ているところもある。 街の裏の山々はシスト岩盤の山なのである。 そのシスト岩盤が海まで伸びている。 浜辺の道沿いには海を見ながら食べられるレストランが並んでいる。 街の建物は坂道に段々畑のように建てられている。細い坂道が多い。 小路には、レストラン、ビストロ、土産物屋が立ち並んでいる。 ここはフランス領の端くれ、カタルーニャ地方でもある。 そんなBANYULSバニュルス街の一角に自然派ワインが飲めるビストロがある。 EL XADIC DEL MAR エル・イグザディク・デル・マールだ。 フランスの自然派ワインが爆発的に広まる起爆剤になった店に、パリのワインビストロ、VERRE VOLEヴェール・ヴォーレがある。 その初期の頃に店で活躍していたマニュが経営している。 今夜は、ここでディナーの予定。(7月) 今、日本の自然派ワイン・ビストロのトップ人気店のメンバーが日本よりやって来る。 今夜は、やはりパリのヴェール・ヴォーレで働いていたRYOさんこと宮内さんがやって来る。今、VERRE VOLE TOKYOの店長をやっている。 ヴェール・ヴォレ同窓会のようなもの。 何とか11時に到着。凄い強行なスケジュールだ。 東京―パリ–モンペリエ—バニュルスと待ち時間も入れると20時間ほどかかっている。 ヴェール・ヴォーレ東京のRYOこと宮内さん、リベルタンの柴藤さん 、ピオッシュの林さん、仙台バトンの板垣さん、まさに、今日本の自然派ワイン・ビストロの最前線を走っている4名が、ここマニュの店に集まった。 RYOサンとマニュ久々の再会を喜ぶ二人。 まず、駆け付け一杯に、Champagne Jacques Lassaigne*ジャック・ラセーニュのシャンパーニュLes Vignes de Montgueuxで乾杯した。皆、どんなワインがあるにか?興味があり、壁の品揃えをチェック。 遠路はるばる日本からやって来た同志の為に、マニュ気合の料理。 皆、お腹が空いてペコペコ。まずは食べるは食べる、夢中になって詰め込んだ。 お腹が空いていた面々、怒涛の如くに食べました。 一挙に食べて飲んだ。 お腹が落ちつた後、流石のメンバーまた飲み始めて、 交流の時間。終わったのは午前2時を回っていた。 やあー、よく飲みました。 自然派ワインを愛する同志だ。 ワインに国境はない。 会った瞬間にわかりあってしまう何かがある。 どんなワインを扱っているかを知っただけで、相手の性格まで大体わかり合ってしまう。 CASOT DES MAILLOLLES カソ・デ・マイヨル La plus belle paysage de vignobles de France フランスで最も美しい景観の葡萄園 Membre de bistro a vin japonais tour . Ils ont visite la plus belle paysage de vignes de France, Casot des Maillolles. En face de vigne de Casot des Maillolles, c’est mediterranee , plein de bleu. De Gauche, Mr Shito de Bistro libertin (Tokyo), Mr Ryo Miyauchi […]

28
Août

2015年収穫開始 ・ JOLLY FERRIOL – ジョリー・フェリオル

15年は史上最高に美味しい微発泡酒、PET ‘NATができるだろう!! 毎年、フランスで最も早く収穫を開始するのが、ここジョリー・フェリオル醸造である。8月中旬に収穫を開始。世界中から取り合いの超人気ワイン、ジョリー・フェリオルの微発泡酒、PET ‘NAT用のムスカ品種を収穫。 キリっとした酸を残す為に、完熟の手前で収穫する。 今年はフランス中で大騒ぎの40度に達する高温だった。しかし、ここルシオン地方は毎年の猛暑で、ここの葡萄木達なもう慣れている。 2015年の猛暑はここでは、別に驚くことでもない。 昨年の方が1週間早く収穫を開始したほどである。 シスト土壌で育つムスカは、キリっと締まった酸を残してくれる。 シスト土壌独特の冷たいミネラル感がこの微発泡酒の人気の理由だ。 何て美味しいんだろう! 今年は、晴天日が多く乾燥度が強かったのと、タラモンターヌと呼ばれる風も強くて、更に乾燥度が激しかった。 お蔭で、病気の発生が皆無だった。腐った葡萄が一粒もない健全な葡萄を収穫完了した。しかも、強風のお蔭で酸まで濃縮して発泡酒のペット ‘ナットには最高の条件が備わっての収穫だった。 史上最高に美味しいスカットしたPET ‘NATになる! 二人の愛情と夢と喜びを泡に閉じ込めたPET ‘NAT ペット ‘ナット イザベルとジャンリュックは2005年に パリから移住してきた。イザベルの家族の故郷でもあった。 イザベルはダンスとヨガの先生をやっていた。 ジャンリュックは情報処理管理の会社を経営していた。 コンピューターのエンジニア出身。 好きな事を見つけるとトコトン突き進んでいく二人。完全な自然、完全手作りの 発泡ワインを造りあげた。 スペインの国境に近いルシオン地方にまるでマカロニ・ウエスタン西部劇に出てきそうな風景の街 Espira de l’Agly エスピラ・ド・ラグリ という村がある。そこに、数百年前にはナポレオン3世やイギリス王室に納めていたほど有名なドメーヌが、ほぼ廃墟化していた。好奇心旺盛な二人は、ここを再生させることに後半の人生を賭けることに決めた。畑、土壌を調査すると途轍もない可能性を秘めた銘醸の土壌であることを発見。シスト土壌と石灰土壌の境に位置して畑によってはその二つが入り混じっている特殊な土壌をそなえていた。 口にした誰もが »笑顔 »になるワイン 自分達のこの夢、喜びを表現できるワインを造りたかった。ドメーヌの横にシスト土壌に果実味の豊かなムスカ品種が植えられていた。誰もがホッとする果実味だった。これで発泡ワインを造って、その泡の中に自分達の夢とかこの喜びを閉じ込められたら・・想像しただけでもワクワクしてきた。勿論、栽培は最初からビオ栽培。醸造もジュル・ショヴェ、マルセル・ラピエール系の自然派醸造を継承。 ジャンリュックはこの地に来た時、ペルピニャンのワイン学校に通った。その時の同級生が、あのYOYOさん、ドメーヌ・ポッシブルのロイックなど自然派の醸造家の卵が多数いた。そして、ジャンフランソワ・ニックに出会、自然派の造りを学んだ。 栽培、醸造、ビン内二次発酵、デゴルジュマン、便詰めすべて手作りを実現。   ここまでの手作業、愛情を込めたワインは存在しない。貴重な一本!! 友人や近所の知り合いが集まって収穫、ほぼ毎年同じ人や醸造家に成りたい人達がやって来る。収穫した葡萄は傷つかないように底の浅い籠に入れて丁寧に醸造所に運ぶ。葡萄の温度が高いまま発酵槽に入れると雑菌が繁殖するので、一晩クーラー室に入れて冷やす。 翌日に、そのままプレス機にかけてジュースを絞る。 ビン内二次発酵の時、糖や酵母菌を入れない本当に自然なアンセストラルの発泡ワインを実現。 ジュースをタンクに入れてゆっくり発酵する。 ここからがジャンルックの計算が始まる。 まず最初のジュースの糖度を図り、毎日の発酵の進み具合、糖度をチェック。 残糖が18gになった時に、タンクからビン内に詰めてビン内二次発酵をして、その発酵で生じた泡を閉じ込める。この糖度の具合が超大切なのである。すべて手作業でやる。 すべての人が笑顔になるワインを丹精に造りげた! ビン内発酵、デゴルジュマン、注ぎ足し作業、キャップシール付け、すべてが 手作業という贅沢な造り、本当に、ここまでの手作りは存在しない。 まさに、採算など考えず、愛情、夢、喜びを、すべての泡に閉じ込めた一本。 今、世界中からこの貴重なワインの引き合いが殺到している。 幸いにも日本への出荷量が一番多い

5
Mar

今、南仏は春を告げるアーモンドの花が満開

ルシオン地方の富士山”カニグ山”をバックに満開のアーモンド 今年の冬は南仏と云えども寒かった。雪も降った。 寒さの上に強風 タラモンターヌが吹くともう10倍の寒さになる。その体感で極寒の中、剪定作業はもう体の芯まで冷えてしまう。 誰もが待っていた春の訪れだ。 南仏では葡萄園の小道によくアーモンドの木が植えられている。広大なコルビーエルの葡萄園の中にポツリと咲く アーモンドの花は遠目には桜に似ている。 我々日本人には心に響くものがある。時間に追われている 醸造元訪問中でも一時を忘れ、車を止めてワビサビの世界に浸りたくなる。思わずシャッターをきる。 アーモンドの花と共に春を告げる明るい花 ミモザが咲きだした。

25
Mai

我が人生を変えた生産者Le Casot des Mailloles ル・カゾ・デ・マイヨル

数年前に初めてここル・カゾ・デ・マイヨルのワインを飲んだことが、自然派ワインの世界に身をおきたいと思うようになったきっかけだった。自然派ワインの経験値が低かった当時の私にとって、ジズレヌとアランの二人が作り出すワイン(記憶では、当時初めて飲んだ一本はSoula V)の力強さ、いくつものスパイスが混ざり合ったような複雑さ、はこれまで経験したことの無い衝撃的なもので、自分の舌と記憶に深く刻み込まれることとなった。このワインに出会った当時は、自然派どころかワインとはまったく無縁の業界に身を置いており、Soula Vに関しても当時から通い詰めているパリの自然派ワインブティックCrus et Découvertesのオーナーであるミカエルに勧められるがまま購入した一本だった。ところが、結果的にはまさにこのSoula Vこそが私の人生の方向性を大きく変更し、決定付けた一本だったと言える。それ以来、パリにいながらも時折、試飲会などでル・カゾ・デ・マイヨルのワインを口にする機会(訪問の一週間前にもカーヴ オジェでの試飲会にジズレヌがいらっしゃっていて、2010年の各キュヴェを試飲させていただいたところだった)には恵まれていたものの、いつかこの土地を訪れて、彼らのワインをより直接的に、よりよく理解したいと思うようになった。 そして、この度ついにその機会に恵まれたのだ。 お客様のラングドックおよびルシヨン地方巡りに同行した折に、途中から一行と離れてひとりバニュルス・シュル・メールの街に残った。その日は、楽しみでなかなか眠ることができず、翌朝のアランとの待ち合わせに備えて、待ち合わせ場所である醸造所の下見に行った。醸造所は、自然派ワインバーや酢のショップが並ぶ街の中に位置していた。 待ち合わせ時間の10時を少し過ぎて到着しても醸造所の扉は固く閉じたままだったが、写真撮影などしていると、ほどなくしてアランが登場した。ジズレヌにはパリの試飲会などでお目にかかる機会がこれまでにもあったが、アランとは初めてお会いすることができた。赤黒い鼻と、握手した時に感じたゴツゴツした大きな手が印象的な優しそうな人だった。 挨拶もそこそこに、早速アランの車に乗せてもらって畑巡りを開始。ル・カゾ・デ・マイヨルの畑は、海に近いバニュルス・シュル・メール (1ha60)と内陸のTrouillasトゥルイヤ (2ha、バニュルス・シュル・メールから40kmほど離れた平地に位置し、土壌は粘土砂質)に区分され、それぞれ地質も環境も全く異なる。今回は、アランに海に近いバニュルス・シュル・メール のいくつかの区画(主に古樹が植えられており、土壌はシストで乾燥質。このバニュルス・シュル・メールの畑からは現在、赤のキュヴェが3種類、白のキュヴェが1種類作られている。古樹は、同じ区画に複数の品種を植えている)をご案内いただいた。そして、さらに、バニュルス・シュル・メールの畑は、大きく分けて海沿いの区画と内陸の区画とに分かれており、以下、「海沿いの区画」と「内陸の区画」それぞれの特徴を記す。 地中海を見下ろす絶景のブドウ畑 海沿いの区画 Banyuls-sur-Merの畑のうちでとりわけ特徴的なのは海側の区画で、地中海を一望できる標高200メートルほどの高台の急な斜面に広がっている。畑の周囲はgarrigue(ガリッグ: 野生のハーブ等の低木草)が生い茂る環境で、歩いているだけで強いガリッグの香りが鼻腔をくすぐる。また、この区画のもうひとつの大きな特長は、陸側からの強風(tramontane : トラモンターナ)および海風にさらされていることである。これらの風がガリッグの強い香りをブドウ樹に吹き付け、ブドウに風味を与えるとのことである。また、何も遮るもののない日当たりのよいこの区画が2003年の猛暑に耐えることができたのは、海の近さと海風のおかげだということである。 内陸の区画 海からは少し離れた内陸の区画の特徴は、標高100メートルから350メートルまで様々な場所に区画が点在している(例えば、ゴディという区画は標高250メートルに位置し、古樹のなかでも樹齢の高い樹が植えられている。他には、標高300メートルに位置するグラタイユルや周囲の森によって淡水が確保されているためバニュルス・シュル・メールの畑のうちで最も水分に富み、涼しい区画であるシャタニエなどがある)ことである。海沿いの区画に比べて、土壌の乾燥度が低いため、岩盤が詰まって層を成しているシスト土壌を見ることができる。 「ワインは周りの環境全てによってできあがる!」 以上のように、今回はアランと共に3時間半かけてバニュルス・シュル・メールの畑を構成する海沿い、内陸の複数の区画を歩いた。ここのワインに感動を覚えて以来、初めて自分の目で土地、環境、生産者を自分の目で直接見ることができ、ここのワインをより多角的に理解できた気がする。アランと色々な話をする中で、印象的だった言葉をひとつ取り上げるとすれば「ワインは土壌だけでなく、周りの環境すべてで作られる」というものである。海側、陸側からの強い風、一面のハーブがその風によってブドウ樹に吹き付けられ、独特のアロマを備えるワインを生み出す。考えてみれば、土壌だけでなく、環境全体がワインを作り出すというのは当たり前なのだが、そうであるからこそ、こういった海に面した急斜面という稀有で過酷な環境を敢えて選び、その環境とブドウの魅力、ポテンシャルを十分に引き出しながら自然、個性的でかつバランスのよいワインを生み出すのは、並々ならぬパッションと努力が必要だろう。アランは数日後にロンドンへの出張を控えているという忙しい身でありながら、直前に予約を取り付けた私のために長時間に渡ってル・カゾ・デ・マイヨルのワインを生み出す環境について丁寧に説明してくださった。 最後に醸造所に戻って新しいヴィンテージの試飲をさせてもらった際に、古いヴィンテージのものを購入しようとしたが、在庫はゼロ。それもそのはずで年間生産量が8000-10000本しかないのだから。パリに戻った数日後に立ち寄った自然派ワインのブティックで残り一本のSoula Vを偶然にも見つけ、即購入し、家で堪能したのは言うまでもない。  およそ二年ぶりに味わったSoula Vは、スパイシーかつブルーベリーや黒スグリなど黒系の果実感をたっぷり備えた複雑なアロマを十分に維持しながら、それでいて繊細さを失わず、さらには二年前のそれよりも深みを増し、樹齢60年以上のグルナッシュ・ノワールが長期の熟成に耐えうるポテンシャルを備えていることを改めて認識できた。次回の訪問の際は、今回残念ながら時間切れでお話を伺うことができなかった醸造のポイントについて伺う予定である。

5
Jan

ルシヨンでは欠かせない、若手仲良し3人組

フランスの南にある、ルシヨン地方。ここの風景はまるで人間より自然の方が支配しているかのよう。 目の前に広がる景色はソバージュな自然、まさに山奥って感じがします! しかし何だろう、この安らぐ感覚は?!ずっとここに居たいという気持ちが込み上がってきます! そんなこんなで辿り着いたのは、元協同組合が使用していた大きなカーブ。 ここで、3人の仲良しコンビがワイン造りに熱中しています。 ではこの3人の歴史を振り返ってみましょう! ********************************************************** 音楽を愛する男前のロイック・ルール*Loic Roure                 ドメーヌ・デュ・ポシーブル*Domaine du Possible ずっと気に入るブドウ園を探していたロイック。 ある日、山道を彷徨っていたら、青や赤、ラメが入った石を、道端に発見。 そこで顔を上げた瞬間、綺麗に並んでいたカリニャンの畑に一目惚れをしてしまったロイック! ここでワインを造りたい!そんな気持ちが高まり、彼は樹齢100年以上のカリニャンの畑を即購入! 自分の畑を手に入れたものの、彼には醸造所もなければ住む家も無い・・・仕方なく車内で睡眠を取り、アグリ川で体を洗う生活を送っていました。しかしこんな生活も限界に近づき、一刻も早く住む場所を見つけなくては!と焦ったロイックは、ちょうど空き巣になっていた協同組合の醸造所を発見!2003年には、同じ町で自然派ワインを造っているDomaine Le Bout du Monde*ドメーヌ・ル・ブ・デュ・モンドのEdouard Laffitte*エドワード・ラフィットさんと組み、このカーブを購入し、本格的に活動を開始しました! 優しくてシャイなエドゥワード・ラフィット*Edouard Laffite             ドメーヌ・ル・ブ・デュ・モンド*Domaine Le Bout du Monde 1997年、エドゥワードはコート・デュ・ローヌの協同組合、「エステザルグ」でワイン造りを手伝っていました。 しかし!!!協同組合といっても、ここは特別な特徴があるのです! それは“自然に優しい栽培”を行い、丁寧なワイン造りをモットーにしているカーブ。 しかもその時期の責任者は、ラングドックを代表する自然派ワイナリー、ジャン・フランソワ・ニック氏! 彼の元で栽培・醸造を学び、ジャン・フランソワが独立した後も、4年間の間、エドゥワードは醸造責任者として重要な役割を果たしました。 大役をこなすうちに、彼の中には『自分の可能性を試そう』という欲望が膨らんでいきました。 一から十まで自らの手で造る“熱い思い”がこもったワインを皆に飲んで欲しいという意志から、2003年にロイックと共にこのワイナリーを創立したのです! 明るくて好奇心タップリのルーキー、ファビアン・メレノ*Fabien Mereno           ドメーヌ・ル・グラン・ド・レゾン*Domaine le Grain de Raison パリで長年模型製作者として働いたファビアン。 しかし心のどこかで、『本当にこの仕事が好きか?他にやるべき事があるんではないか?』と常に違和感を抱いていた彼。 そこでファビアンは閃きました! 昔からの夢、それはワインを造る事だ!と実感し、その思いを実現するため、生まれ育った土地へと戻りました。 しかしやはり醸造所が見つかりません・・・ そんな時に出会ったのが、上の2人! 彼らの広い醸造所の一部を借り、農業専門学校を卒業した後、ワイン造りをスタート! 2009年がファーストビンテージ、期待でいっぱいです! ********************************************************** 山奥にブドウ畑がある為、葡萄の木はこんなに急な斜面地に植えてあります!しかもこの地区は風がとにかく強く、何ヶ月間もの間ずっと止まなく吹き続けています。 ブドウの木が折れてしまわないように紐で固定を! 風が強い分、風通りは抜群!ブドウ達は病気に罹りにくい! ここでの耕作作業はなんと馬ちゃんの役目!よく通れるな・・スゴイ!! 土壌は殆どシスト質。 他にも片麻岩や花崗岩質が特徴的です。 触ってみると、大きな破片がボロボロと・・・ ********************************************************** ではでは、皆のワインを試飲しましょう! 今回の特徴は何でしょう・・・?! ロイックのワイン 彼が栽培しているブドウの樹齢は略全てがヴィエイユ・ヴィーニュ。 シラーは35年、グルナッシュは50年、そしてカリニャンは55年からなんと105年! シャリヴァリ *Charivari 品種:カリニャン 樹齢:47~90年 土壌:シストと片麻岩 醸造:2/3はマセラシオン・カルボニック + 1/3はエグラパージュ 熟成:8ヶ月間の樽熟成 名前:シャリヴァリとは古くから伝わるカーニバルの名前です。台所用具など、楽器以外の物で音楽を奏で、町の中を回る、ユニークで楽しいカーニバルです。ロイック曰く、カリニャンはルシヨンに最も合う品種なのです。とてもエレガントで滑らかなワイン。赤フルーツのアロマが漂い、スイスイと飲めてしまう、優しくて爽やかな味わい! クマ・アコ *Couma Acò 品種:シラー 樹齢:35年 土壌:シスト 熟成: 8ヶ月間の樽熟成 名前:クマ・アコはカタロニア語で『こんなものさ』という意味です。 友達との楽しい時間にはこのワインがピッタリ!事前に開けておき、30分くらい待ってみて下さい。どんどんと広がっていく果実の香りと複雑さは本当に感動ものです。このキュべもやはりフレッシュ感が強く、ブドウジュースのように飲めてしまいます!私も大のお気に入りの一本です! クール・トゥジュール*Cours Toujours 品種:マカブー、グルナッシュ・グリ、グルナッシュ・ブラン、カリニャン・グリ 名前:クール・トゥジュールとは『ずっと走る』という意味。これは、ずっと走り続け、何かを得るということ。酸味もあり、渋みもあり、りんごの香りが漂う、喉を潤してくれる白ワインです! セ・パ・ラ・メール・ア・ボワール*C’est pas la mer à boire 品種:グルナッシュ、カリニャン、シラー 樹齢:35~50年 土壌:シストと片麻岩 醸造:マセラシオン・セミ・カルボニック 熟成:9ヶ月間のステンレスタンクと樽熟成 名前:直訳すると、『海水を飲むわけでも無いし!』という意味ですが、フランス人は『そんな大したことないでしょう!』という時に使う表現です。『このワインはアッというまに飲めてしまうからジョーク交じりでこの名前をつけたんだ』と半笑いなロイック! マセラシオン・カルボニックが果実身の深さを引き出し、ミネラル感たっぷりなワイン。繊細で後味が長く残る、ルシヨンのワインとは思えないほど爽やかで飲みやすい! ********************************************************** エドワードのワイン 彼の畑はとにかく標高が高い場所にあります! その為風が強いのですが、眺めは抜群! レキューム・デ・ジュール*L Ecume des Jours 2009 品種:リャンドナー・ペルト(グルナッシュに似た地元品種)45%、カリニャン45%、シラー10% […]

21
Juil

FOULARD ROUGEルシオン地方のフィネス・上品さの最高峰

~ 南フランスを代表する自然派ジャン・フランソワ・ニック ~ 今、最高に波に乗っているジャンフランソワ 2002年にフラール・ルージュを立ち上げて7年目に入る。年齢的にも経験的にも最高に波に乗っている佳境にいるジャンフランソワ・ニックを訪ねる。繊細な感性を持ちながら果敢に挑戦し続けるジャンフランソワ・ニックだ。良く研いだ日本刀のように繊細で切れ味の良い感性をもった人物だ。鋭い視線の奥に光る意志の強さは大自然を相手に共存を図る男の冷静な観察力が表現されている。 強い精神力と何がってもやり抜く実行力の持ち主 スペインの国境に近いアルベル山麓の荒地を買い取って、自分自身で雑木林を引き抜き開墾した畑が原点だ。 アルベル山の傾斜面一帯は、昔、葡萄園で埋め尽くされていた。近年になると葡萄栽培農家は農作業の難しく厳しい斜面畑を避けて平地に葡萄園を引っ越してしまった。 そのまま何十年も放置されていた荒地を、葡萄園に再開拓したのである。開拓と一言で云ってしまえば簡単なことのように聞こえるが、実際はとんでもない困難を窮めた作業である。葡萄園を開拓した人間でその後に体を壊したり、命まで落としてしまった醸造家を何人も私は知っている。 並大抵の精神力や体力ではできない作業である。そんな過酷な作業をやり抜いた志も眼の奥に読み取れる。尊敬すべき人物である。 若手の育成・まるでジャンフランソワ学校だ もう一つ尊敬すべきことがある。 南フランスの自然派ワインを育てあげた男である。南仏におけるボジョレのマルセル・ラピエール的存在の人物である。10年前にルシオンにやって来た時は、この地方には自然派らしき醸造元は殆ど存在しなかった。特にセミ・マセラッション・カルボニック方式の自然派は皆無だった。ところが今はこのジャンフランソワ・ニックが育てた若手自然派が竹の子のごとくに増えている。彼の指導力のお陰だ。 若手に惜しみなく醸造方法を伝授しているのである。まるでジャンフランソワ学校と云ってもいいほどである。 若手にとっては尊敬とあこがれの人物といっていい。 彼の自然派醸造の能力は天才的と云っても過言でない。その凄さはエステザルグ農協で働いていた時に身につけた。現存する自然派の造り手は殆どが小規模醸造の造りしか知らない。 ジャンフランソワの凄さは、設備がそれほど整っていない農協の醸造所で、しかも大型タンクで大量の自然派ワインを無事に造り続けてきた実践の中に隠されている。 農協で89年より初めて91年にはSO2の使用を10mgに押さえ、96年にはゼロSO2を成功させた。 恐らく天才といわれるフィリップ・パカレでも農協の設備と大型タンクでの自然派ワイン醸造は困難なことだろう。ここでもジャン・フランソワ・ニックの天才的な実践対応力の凄さを垣間見ることができる。 大型タンクで、清潔度も思うように出来ない条件下で彼なりに工夫している作業に頭が下がる思いだった。 ~ 何故このルシオンの地に、オーダメードの自作葡萄園の誕生 ~ 南ローヌのエステザルグ農協で醸造長を長年務めていたジャンフランソワには無二の親友である現ラングロールのエリックと描いていた夢があった。二人で醸造元を打ち立てる夢だった。 ところがある時、このアルベル山の麓を訪れた時に、すべてが変わってしまった。 元々、地質学を専攻していたジャンフランソワにとって、この土地の多様性と複雑性を持ち合わせた地質と土壌に出会った時は感動を超える感動だった。本当に体の芯から震えるものがあった。 自分がワインを造るのはここだ!ジャンフランソワは即決した。 ピレネー山脈の隆起と共に浮き上がったロッシュ・メールと呼ばれる太古の昔に海だった数億年前の岩盤が地表近くに現れている。地表には若干のシスト状の瓦礫や石英石、水晶がかった小石、鉄石、花崗岩、そして火山岩が砕けて砂状になった土壌。こんなにも多様で複雑な要素を備えた土地を今で見たことがなかったのである。 しかも、標高300メートル、しかも夜は地中海からの風があり昼夜の寒暖の差が大きく、酸が残り安い。 自分が造りたい理想のワインは、酸を主体にしながらも太陽も感じさせるピュア-なワインだった。そんなワイン造りが可能な条件、微気象を完璧に備えていたのである。ジャンフランソワにとって、これからの人生を賭けるのはここしか考えられなかった。 ローヌに戻って親友、ラングロールのエリックにこの話をした。エリックは残念がったが大賛成してくれた。 エリックにとっては尊敬するお婆さん、お祖父さんの畑のあるタヴェルを離れる訳にはいかなかったのである。 こうして二人は別々にほぼ同時期に独立醸造所を立ち上げた。 ジャンフランソワにとって、畑を開拓しながら土壌を検証し自分が造りたいタイプワインの為に、土壌とそれに最適な品種を植えていった。 まさにオーダーメイドの自作葡萄園なのである。 二人は定期的会っている。2人のワインをブレンドしたワインを共同リリ-スしている。 お互いに尊敬しあう親友、ジャンフランソワとラングロ-ルのエリック ~ 倒産した農協の建物を利用して醸造開始 ~ そんなフラールージュに3度目の訪問だ。最初は7年前、ジャンフランソワが3年間の栽培のあと初醸造の為02年にフラ-・ル-ジュを立ち上げたばかりの頃に訪問したことがある。 初収穫のワインがまだ樽で寝ている時だった。元農協の醸造所だった建物を買い取っての初醸造の年だった。難しい顔をしていたのを覚えている。収穫量が極端に少なかった年だった。まだ、彼自身も葡萄達も土壌も馴染んでいなかったのである。土壌、栽培方法、醸造、などが違和感なく馴染むのに最低でも5年はかかる。そして安定して馴染むには10年はかかるといわれている。 当時は、まだ今のような風雪に耐えた精悍な顔つきではなかった。まだ脱サラ醸造家という雰囲気だった。 ~ 初回訪問から7年の歳月が流れ、自然との共生の世界が出来あがる ~ 7年の歳月が流れジャンフランソワが狙っていた理想のワインがやっとできあがってきたところだ。爽やかさを感じさせる酸を持ちながら、南仏の太陽をあびながら熟したピュアーな果実味が心地よい、なんて素晴らしいバランスなのだろうか!素晴らしい!マニフィックだ!ジャンフランソワのここまでの“道のり”に大拍手と感謝だ。 何事も時間がかかるものだ。特にワイン造りは、人間だけではない。人間が関われない自然を相手にするからなおさら時間がかかる。自然派は人間の妙なテクニックを使って、人間の都合のいいように自然を曲げるような事はしない。 開拓した土壌に微生物達が調和とれて住みつくまでも時間がかかる。雑木林を抜いて土壌がかき混ぜられて、葡萄園にした後の地中の湿気や温度、日当たり具合などが雑木林時代とは全く違うのである。それまで住んでいた微生物と葡萄園に再生したあとでは、生息する微生物群の種類が違ってくる。そこに住む微生物のお陰で有機物が発酵してその場所独特の土壌バランスができあがる。その微生物の一部がワインを造ってくれる自然酵母なのである。また、昆虫や草花や野兎やイノシシや鳥達などすべてが関わりあって調和がとれてくるのである。 すべてが違和感なく練れてくる、すべてが馴染んでくる。勿論、人間も含めてそこに馴染んでくる。ワイン造りには最も大切なことだ。自然との共生の世界である。今、フラールージュはジャンフランソワと土壌と風土、葡萄木の調和が10年たってやっと安定してきたところだ。 ~ 醸造家は自分のワインを売る人との交流も大切な仕事の一部だ ~ 今年は4月と6月の2回訪問をした。6月は日本からはオザミ・デ・ヴァンの丸山氏をはじめに酒販店経営者、レストラン業者、大阪の南海酒販の大型空手家営業マンの吉田さん、そしてパッション・ド・ヴァンの竹下、など総勢8名での訪問だ。 ワインは自然と関係のみならず、造る人から売る人達とも深く関わりあっている。つまりそのワインが最終消費者に飲まれるまでに関わるすべての人達とも関わり合っているのである。 自分が造ったワインを売る人達がどういう風に思っているのか?どんな気持ちでワイン販売しているのか?を醸造家が知ることは土壌造りと同じくらい大切なことだと私は思う。勿論、販売する方も、どんな人がどんな状況の中で、何を考えてどんな風に造っているのかを知ることは実に大切なことだ。 今日は、彼のワインを現場で消費者に勧めてくれる人達との共生調和を図る日だ。 販売者にとても、実際に葡萄園を自分の足で歩いて見ないと解からないことが山ほどある。お客さんにどのように説明して、どのように勧めたらよいか?を模索しながらの訪問は、貴重な無形財産となる。 ワインの重要な部分はすべて畑にあり、簡素な設備 フラ-ル-ジュの蔵は実に簡素な設備しかない。 重要なことはすべて畑にあり、と云わんばかりの簡素ぶりだ。蔵で重要なのはトロンコニック型の発酵木樽である。底辺が広くなっている。セミ・マセラッションカルボニック発酵の自然派醸造には絶対に必要な設備である。アル発酵時から木樽から僅かに出入りする空気にワインが馴染んでいく。 発酵中も“アル発酵の心臓部”と呼ばれる塊が樽内にできて、温度が上がり過ぎてくると、この部分が上部に移動して外気に触れて温度が下がり、また中心部に戻るという自然な温度調整をしてくれるのがこのトロンコニック型木樽の特徴だ。 ~ 08年テ-スティング ~ 10年の自然栽培の結果をジャンフランソワは語る 『このルシオンの乾燥度は僕がいたローヌ地方とは比べ物にならない程過酷なものだ。自然なビオ栽培をやって10年がたちやっと根っこが地中深く入りこんだのを感じる。地上が乾燥していても、乾燥に耐えられるようになってきた。つまり地中深いところの水分を吸収できるようになったんだ。だから、葡萄が良く熟しても酸がきっちり残るようになった。 』 LE SOIF DU MAL BLANC ソワフ・ド・マル 白 マカブ 60年の古木 – マカブは収穫直前に急激に糖度が上がり過ぎてしまう グルナッシュ・ブラン30年 – 注意に注意を重ねないと酸を残せない。 ステンレス・タンク発酵 2008年は夏も太陽が少なめでゆっくり熟してマカブも酸が残って、軽めに仕上がった。 ルシオンのワインとは思えないフレッシュな果実味が心地よいワインだ。 LE SOIF DU MAL ROUGE ソワフ・ド・マル 赤 シラ- 70% グルナッシュ 30% 最初の頃はシラ-100%で造っていた。グラップ・アンティエ-ル(除梗なしの葡萄を丸ごと)発酵槽にいれる。発酵はコンクリ-ト槽でやって、熟成を樽とトロンコニック樽 内で行った。早めの8月に収穫してフレッシュでグイグイ飲める果実味の軽快なワイン。 GLANEUSES グラヌ-ズ 赤 グルナッシュ70%  シラ-30%    17HL/H グラヌ-ズとは、収穫が終わったあと、数週間後にもう一度、葡萄園に行って穫り忘れの葡萄を収穫すること。2002年の初収穫の年は、天候も悪く葡萄が極端に少なかった上に 猪や鳥にも食べられて、収穫前だと言うのに葡萄が本当に少ししかなかった。まるで 2度目の収穫のようだったのでグラヌ-ズと名づけた。まさに、果実味に太陽を感じつつ、熟し過ぎること無く、メネラルと酸がビシと閉めているワイン。 GLANEURS グラヌ-ル 赤 グルナッシュ100% 45年 古木のみ ジャンフランソワは永年醸造した南ロ-ヌを彷彿させるワインだ。20HL/Hと収穫量も少なく、濃縮感もあり、ミネラルと酸がきっちり閉めている。理想のバランスだ。 オザミの丸山氏 『深みもあって、重すぎず、上品で、フレッシュまるで89,90のシャト-ライヤスだ』 FRIDA フリ-ダ 赤 カリニャン70% 80年~100年の古木のみ グルナッシュ30% 除梗して、低温で発酵、3週間の長いカモシ、セミ・Mカルボニックのスペシャリストが敢えて除梗をするには理由がある。自然派のセミMカルボニックが最近良く批判される。みな同じ風味だ、と。それに反発するかのように除梗する自然派が出てきた。 タンニンも色も濃縮感あり、でも細かい粒子のタンニンでフレッシュ感もあり。 最後は熟成中のシェリ-酒 試飲の最後は5年間、ウイラ-ジ(つぎ足し)もしないでソーラ-システムで熟成中のまるでシェリ-酒だ。 ムスカ・プティ・グレン品種 マカブ あまりにも量が少ないので毎年少しずつ足してソ-ラ-システムで熟成させている。まだ、販売していない。 アペリテキフ代わりに頂いた。 ~ お昼はモンテスキュ村にあるジャンフランソワの家で ~   モンテスキュウ村の中心部に彼の家がある。 見たこともない巨大なサボテンが繁殖しており、 […]

7
Jan

ルシヨン地方、標高400mで醸造している爽やかさN°1ワイン、ロイック・ルール!

フランスとスペインの堺に在るLansac*ランサックの町。トラモンタンヌというピレネー山の谷間で吹く強い風に耐えながらたどり着いた訪問先は、Domaine du Possible*ドメーヌ・デュ・ポシーブル、Loic Roure*ロイック・ルールさんの醸造所です。 ロイックは長い間ブドウ園を探していました。ある日この土地の山道を彷徨っていたら、青や赤、ラメ入りなどの様々な色をした石が道端に落ちていたそうです。そして顔を上げた瞬間、綺麗に並んでいたカリニャンの畑に一目惚れをしてしまったそう・・・!ここでワインを造りたい!という気持ちが強くなり、彼は即樹齢100年以上のカリニャンの区画を購入!自分の畑を手に入れたものの、ロイックには醸造が出来るカーブもなければ住む家も無い!仕方なく車内で睡眠を取り、アグリ川で体を洗う生活を送っていました。一刻も早く住む場所を見つけなくては!と焦ったロイックは、ちょうど空き巣になっていた協同組合の醸造所を見つけました。そして2003年、同じ町で自然派ワインを醸造しているDomaine Le Bout du Monde*ドメーヌ・ル・ブ・デュ・モンドのEdouard Laffitte*エドワード・ラフィットさんと共にこのカーブを購入し、本格的に活動を開始しました! 二人で使用するには十分に広く、しかも設備も完璧に整っています。 冷凍室もあれば、ちゃんと暖房室もあるのです。 そして何と言ってもこのファンキーなデコレーションがカッコイイ!壁は去年ロイックさん自信がペンキを塗りカラフルに、そしてアーティストのデッサンやバッカス(ワインの神)の像などが飾ってあります。ノリの良い音楽がいつでも流れており、自由人な彼にはピッタリな空間です! この日ロイックは肋骨の骨を骨折していて、しかも風邪を引いていてとても辛そう・・・しかし『大丈夫大丈夫!ただ鼻をかむ時に少し響いて痛いかな・・・』と笑顔で畑まで連れて行ってくれました。 そんな畑の地質は花崗岩や片麻岩、他にも触っただけで粉々になってしまうシストなどが混ざっています。 この地区は風がとにかく強く、何ヶ月間もの間止まなく吹き続けているという。これは、ブドウの木が折れてしまわないように紐で固定しているのです。 彼が栽培しているブドウの樹齢は略全てがヴィエイユ・ヴィーニュ。シラーは35年、グルナッシュは45年、そしてカリニャンは52年からなんと105年! 『僕はナチュラルにブドウを育てているよ。除草剤や殺虫剤は一切使用しないし、もし何かを撒くとすれば、植物で造った煎じ薬、もしくはブイィ・ボルドレーズくらいかな。 手摘みで収穫を行った後、ブドウを冷凍室に保管して、ブドウが傷まないように、ポンプは一切使わず、重力でタンクに流すんだ。 そして自然酵母でアルコール発酵が始まる。 シラー以外は房丸ごと発酵樽に入れるんだ。その方が濃厚な味に仕上がる。 そしてワインの美味しい成分が逃げてしまわぬようにフィルトラシオンもコラージュもしない。 もちろん亜硫酸も一切添加していないんだ。』と自然にワインを造る事が本当に当たり前のように話すロイック。 とそこに現れたのは、醸造所の上に住んでいるロイックの息子さん、 ティトゥアン君と現在妊娠38週目の奥さん!ティトゥアン君はまだ3歳前なのにとても元気でお喋り!お母さんそっくりな愛くるしい笑顔と、その人懐っこさで私達は即効彼の大ファンに! シャリヴァリ 07*Charivari 07 品種:カリニャン 樹齢:45〜80年 土壌:シストと片麻岩 醸造:プレキシタンクで15日間の醸造 − 2/3はマセラシオン・カルボニック 熟成:8ヶ月間のプレキシタンクと樽熟成 名前:シャリヴァリとは古くから伝わるカーニバルの名前です。楽器以外の 物で音楽を奏で(台所用具など)、町の中を回るというユニークで楽しいカーニバルです。 *ロイック曰く、カリニャンはルシヨンに最も合う品種なのです。時間が経つにつれ、赤フルーツのアロマが強く漂ってくるワインです。南仏ワインなので濃厚なはずなのに、驚くほど爽やか感とミネラル感があってとても飲みやすい!グイグイ飲めてしまう最高なワインです!*   クマ・アコ 07*Couma Acò 07 品種:グルナッシュ、カリニャン、シラー 樹齢:40〜105年 土壌:シストと片麻岩 醸造:ステンレスタンクで20日間の醸造 − マロラクティック発酵 熟成: 8ヶ月間の樽熟成 名前:クマ・アコはカタロニア語で『こんなものさ!』という意味です。 *友達との楽しい時間にはこのワインがピッタリ!事前に開けておき、30分くらい待ってみて下さい。どんどんと広がっていく果実の香りと複雑さは本当に感動ものです。このキュべもやはりフレッシュ感が強く、ブドウジュースのように飲めてしまいます。私も大のお気に入りの一本です!* セ・パ・ラ・メール・ア・ボワール07*C’est pas la mer à boire 07 品種:グルナッシュ、カリニャン 樹齢:35〜40年 土壌:シストと片麻岩 醸造:ステンレスタンクで15日間の醸造 − マセラシオン・カルボニック 熟成:9ヶ月間のステンレスタンクと樽熟成 名前:直訳すると、『海水を飲むわけでも無いし!』と言う意味なんですが、フランス人は『そんな大したことないでしょう!』という時に使う表現です。 *『このワインはアッというまに飲めてしまうからジョーク交じりでこの名前をつけたんだ』と半笑いなロイック!マセラシオン・カルボニックが果実身の深さを引き出し、ミネラル感たっぷりなワイン。繊細でフレッシュな味わいはとてもルシヨンのワインとは思えないほどです!* ロイックのワインは彼の優しさ、自由さ、穏やかさがあふれ出ています!楽しい雰囲気には本当にピッタリなワインです!是非お試し下さい! DOMAINE DU POSSIBLEのワインについてのお問い合わせは: オルヴォー(株) TEL : 03-5261-0243 FAX : 03-5206-8557 MAIL : tanaka@orveaux.co.jp 1972年代のウインチ。一応ランボルギーニだそうです・・・!今でも愛用していて、まだ全然いけるそうです!

21
Nov

大自然の中、ピレネ山のふもとで醸造する大物、ドメーヌ・ゴビー − ルシヨン 

自然な景色が果てしなく広がる丘。顔を上げるとすぐそこにはピレネ山が堂々と聳えています。この大自然の中、標高200-300mで醸造しているのは自然派ワインの中でも最もミネラル感が高いワインを造っている Domaine Gauby*ドメーヌ・ゴビーです! 生まれて以来ずっとCalce*カルセの町で暮らしているGérald Gauby*ジェラルド・ゴビーさん。彼はこの土地が大好き。16歳の時初めて祖父と醸造をしてからブドウとワインの魅力に取り付かれてしまったジェラルド。今では誰もが認める芸術家なのである!彼のワインはとにかく繊細でミネラル!栽培も全てビオ・ビオディナミ栽培。ジェラルドは自然を愛し、自然を守りたいという意志が誰よりも強い。 『私の最大の悩みは、今後どう自然を守っていくことかです。自然が与えてくれたもののみでワインを造って行きたい。ブドウ畑には一切化学物質は使用しません。ブドウ木の堆肥も全てナチュラルです。(21種類以上の草と、年中溜めた雨の水を使って造ります)。この地区で最も美しくて有名な丘、La Muntada*ラ・ムンタダでの狩も全て禁止にしました。』 彼は45haのブドウ畑を栽培し、それ以外にも香草や様々な植物で埋まっている45haもの土地を所有しています。しかし最も自慢なのはやはりミネラル感に溢れているテロワールです! 『ここの土壌質は全てシストや粘土石灰質、泥土質です。時にはブルゴーニュよりミネラルと爽やかさが感じられるワインが出来上がります。しかも山と海から吹いてくる風はワインに繊細さや豊富さ、綺麗な酸味とバランスを与えてくれます。日当りも非常に良く、パワフル感を生み出してくれるのです。地区中に生えている数種類の木も、様々な襲撃からブドウ達を守ってくれています。私の畑は本当に恵まれている。』 しかし彼の畑で一番誇り高いのは、フィロキセラにも負けずに生き延びた、樹齢130年のブドウ木でしょう!この畑にはカリニャンを始め、何種類ものブドウ品種が植えてあります。今でもしっかりと美味しくて甘いブドウを生せています。 他にもグルナッシュ・グリが実っている丘は、東西南北全ての方向に太陽の日が当たるので、熟成度抜群なブドウが収穫できます。 ゴビーの醸造はもちろん全て自然方法です。補酸も補糖もなし、亜硫酸の添加もなし、自然酵母でのアルコール発酵。健全なブドウが収穫出来るからこそ可能なのです。全てナテュラルに出来上がったワインなので、ペーハーも低く、とてもピュア!長年保てる事が可能!しかもゴビーのワインは置いておけば置いておくほどアロマが発達して偉大なワインとなるでしょう! 『ルシヨンの夏は本当に毎年暑い!!しかし山風と海風が吹いているので、ブドウ木はめったに病気に罹らないのが特徴かな。けれども今年は夏中一滴も雨が降らなかった。1925年以来の酷い乾燥だった。ブドウ木が弱ってしまわぬように、21種類の草を混ぜた堆肥を、50トン以上撒いたんだ!』と参った顔で語るジェラルド。 『でもその分完璧に熟されたブドウが収穫できた!』と今度は嬉しそうに話す彼! これが21種類の草を混ぜた堆肥です。 今後の目標は?と聞いてみたところ、 『ルシヨンのワインは12世紀の頃とても評判が良かったんだ。王様たちは皆この地域のワインを飲んでいたんだ。何故だろう?と思い、その時代のワインを研究してみたら、略全種類が甘口ワインだったんだ。』 と奥の樽へと移動するジェラルド。 『この時代、ワインは人間の手を一切借りずに、自然と出来上がっていたんだ。私も同じ様に造ってみた。今はもう4年以上熟成しているが、まだ100g糖が残っている。早く完成するのが待ち遠しい。きっと凄いワインになるよ!』 との事。 私達も一口味見してみましたが、蕩けるほどの美味しさです!!ちょうど良い甘さとたっぷりのミネラル感が良い具合にマッチして、やはりゴビーでしか味わえない美味さです!『本物の甘口ワインは後味が甘いだけじゃダメなんだ。ミネラル感で終了しないと!本物のワインだってそうだ。アルコールよりフルーツとミネラルを強く感じなければいけない!』と熱く語ってくれました! ラ・ムンタダ・ルージュ*La Muntada Rouge 品種:グルナッシュ30%、カリニャン40%、ムルヴェードル10%、シラー20% 樹齢:グルナシュ 60年、カリニャン130年、ムルヴェードル30年、シラー30年 土壌:泥土・石灰質 収穫量:15 hl/ha 醸造:2-3週間タンクでの醸造 熟成:20ヶ月間の木樽熟成 パワフルだがエレガント、そして何といっても爽やか!とにかくアロマの豊富さが凄い(カカオ、スパイス、フルーツ、花・・)このワインはまさにテロワールに含まれているミネラルが最大に引き出されているキュべです! ヴィエイユ・ヴィーニュ・ルージュ*Vieilles Vignes Rouge 品種:グルナッシュ35%、カリニャン40%、ムルヴェードル15%、シラー20% 樹齢:グルナシュ 60年、カリニャン130年、ムルヴェードル30年、シラー30年 土壌:シスト・石灰質 収穫量:20 hl/ha 醸造:2-3週間タンクでの醸造 熟成:24ヶ月間の木樽熟成 口に含んだ瞬間、香草(タイム、ローズマリー)と赤フルーツの香りでいっぱいになるワインです。グルナッシュのタンニンがとてもリッチでまろやか!そしてミネラルとフレッシュ感で溢れている一品です! キャルシネール・ルージュ*Calcinaires Rouge 品種:グルナッシュ15%、カリニャン10%、ムルヴェードル25%、シラー50% 樹齢:グルナシュ 15年、カリニャン30年、ムルヴェードル20年、シラー15年 土壌:シスト・粘土石灰・石灰質 収穫量:25 hl/ha 醸造:2-3週間タンクでの醸造 熟成:10ヶ月間の木樽熟成 (20%)とタンク熟成 (80%) 『カルシネール』とは『Calcaire=カルケール=石灰』から付けた名前です。 このワインを飲んだ瞬間、様々な風から来る酸味と、テロワールが生み出すミネラル感、そして土地に溢れている香草の香りが全て込みあがって来ます。 クーム・ジネスト*Coume Gineste 品種:グルナッシュ・ブラン60%、グルナッシュ・グリ37%、シュナン・ブランとマカブー3% 樹齢:グルナシュ 65年 土壌:シスト・粘土石灰質 収穫量:15 hl/ha 醸造:直圧搾・軽いデブルバージュ 熟成:12ヶ月間の木樽熟成 『クーム・ジネスト』とは『黄色い花が茂る谷』という意味です。 とにかくアロマの豊富さにビックリ:柑橘類、パッション・フルーツ、ピーチ、アブリコット・・さらにミネラル感と綺麗な酸味が関わります・・ボリューム感たっぷりで綺麗な後味が残ります! ヴィエイユ・ヴィーニュ・ブラン*Vieilles Vignes Blanc 品種:グルナッシュ・ブランとグリ30%、マカブー70% 樹齢:グルナシュ 65年、マカブー 65年 土壌:シスト・粘土石灰・石灰・泥土質 収穫量:15 hl/ha 醸造:直圧搾・軽いデブルバージュ 熟成:7-8ヶ月間の木樽熟成 (65%)とタンク熟成 (35%) まさに繊細な出来具合でしょう!ボリューム感あり、ミネラル感あり、爽やかさあり、花と柑橘類のアロマあり、何とも言えない完璧な味わいです。 キャルシネール・ブラン*Calcinaires Blanc 品種:マカブー35-55年、ミュスカ20−55年、シャルドネとベルメンティーノ30% 樹齢:マカブー20%、ミュスカ50%、シャルドネ25年 土壌:石灰・泥土質 収穫量:20-25 hl/ha 醸造:直圧搾・軽いデブルバージュ 熟成:8ヶ月間のシュール・リ熟成 『カルシネール』とは『Calcaire=カルケール=石灰』から付けた名前です。 名前通り、まさにミネラル感たっぷり!果実身が強く、白い花の香りが繊細さを与え、エレガントでまろやかに仕上がっています。 ゴビーさんの家は動物だらけ! ライオンの大きさくらいあるルネンちゃん ルンバちゃん、オリちゃん、後もう一匹、トゥコちゃん 2匹の馬:お母さんのガゼルちゃんと娘のリタちゃん そして1匹の牛:コリンちゃん そして彼の野菜園は野菜からフルーツ、何でもあります! 大体の食べ物は買わずに育ててしまうという完璧な自然派です!! セロリやレタス、ほうれん草やネギ、梨の木やアブリコットまで、色とりどりです! なす ピーマン トマト りんごの木 イチゴ そして息子さんのLionel*リオネルと合流して、 奥さんGhislaine*ジスレーヌさんが庭で取れた野菜と、豚肉のソーセージやハラミを焼いたお料理を出してくれました! デザートには、庭で摘んできだアブリコットの手作りタルト! もちろんゴビーの貴腐ワインと一緒に、ペロリと全部頂きました! ご馳そう様でした! 今後も息子さんのLionel*リオネルと奥さんのGhislaine*ジスレーヌさんとこの偉大な自然と力を合わせて、100%ナチュール・ワインを造り続けて下さい! […]

20
Juin

新感覚『バニュスル』誕生!〜”ドメーヌ・ド・ラ・レクトリー”

今回の旅の締めくくりは、ルーションの名門「レクトリー」だ。 このドメーヌは以前訪問したことがあるが、何としても晴らしたい疑問があった。酸化熟成型ワインの代表であるバニュルスで、どうしてこんな生き生きとした果実味に富んだ現代的なバニュルスを生み出すようになったかだ。ご存知の通りバニュルスは過熟させたブドウを発酵させ、発酵がある程度進んだ段階でアルコールを添加し残糖を残し、更に樽で長期間熟成させることにより、ランシオ香つまり熟成香を生じさせた手間と時間の掛かる贅沢な甘口ワインだ。フルコースの最後のデザートで、チョコレートを使ったデザートと一緒に年代物のバニュルスを頂くのはこの上もない贅沢であり、また伝統的フランス料理の締めくくりとしてふさわしいものでもあった。しかし、時が流れ、フランス料理も軽やかに洗練され、甘くどっしりしたデザートも好まれなくなった今、以前は好んで飲まれていた、とても甘く、アルコールも強く、なおかつ酸化香の強い伝統的バニュルスは誰にも飲まれなくなってしまった。 年代物の高級バニュルスも、売れなくなってしまったのだ。 そのような状況のなかで彗星のように現れたのが、この「レクトリー」なのだ!

3
Juin

Domaine de la Rectorie 訪問 

地中海の碧い海と空、そしてシスト土壌が醸すテロワールワイン 繊細でミネラルなワイン   ドメーヌ・ド・ラ・レクトリ    地中海とバニュルスの街を見下ろす葡萄園   海と山がくっ付いている。こんなに美しい景色の葡萄園を見たことがない。雄大で繊細な美しさ。人間的で野性的。海と山。美しい景色と厳しい土壌。諸々のコントラストが醸しだすワインのスタイルだ。上品で繊細な中にミネラルがしっかり存在した実にすばらしいワインだ。他では絶対にみられないユニークなスタイルのワインを造りだす。 詩人の心と鉄人の強靭な精神が必要 そんなワインを造るには、偶然にはできない。詩人のような繊細さと鉄人のような強靭な精神を備えた人でなければ出来ないスタイルだ。それらを備えているのがパルセル兄弟ファミリーである。 今日は2男のピエールさんファミリーが迎えてくれた。兄弟の中でも最も繊細でやさしい心の持ち主だ。 写真芸術家でもある。 別世界のワインの物語 雑草も生えないようなシスト岩盤の山が土壌だ。 葡萄が生息するのに実に厳しい条件だ。根ッ子がシスト岩盤の隙間に入り込んで根を伸ばしている。 まず岩盤にへばりついて、そして岩盤を徐々に打ち砕いて下に伸びている。葡萄の生命力は凄いものだ。 ここでは、ボルドー、ブルゴーニュの理論は通じない。別世界のワインの物語だ。 美しい景色とは正反対に葡萄木は過酷な条件の中で葡萄を実らせてくれる。 時々、シスト岩盤が崩れ落ちることがある。それでも葡萄木は岩盤にへばりつき自分の使命を果たすべく頑張り続ける。 感動せざるをえない。この葡萄木の努力の結晶が一滴のワインとなる。  ユニークなスタイルのワインが出来上がるのは当たり前だ。 元気が必要な時に飲みたいワイン 頑張らなければいけない時、疲れた時に飲みたいワインだ。 元気が出そうな気になる。 葡萄木、シスト、景観、人 葡萄木がこんなに頑張れるのも、こんなに美しい景色を見ているからだろう。そして、その努力をじっと見守ってくれる、やさしい心をもった人がそばで支えてくれるからだろう。頑張れ!!葡萄!! BANYULS・バニュルスの未来に大きな道しるべ パルセ・ファミリーはバニュルスの名門であり新参者だった。 パルセ家は1800年代よりバニュルスに住みワイン造りをしていた。しかし、現当主のおじいさんは優秀過ぎた。ポリテクに入学。日本でいえば東大のような存在。卒業後、パリにて電話線の会社を設立。一流企業に成功を収める。 しかし、敬虔なるクリスチャンのおじいさんは質素な生活を信条として孫達に、バニュルスの生活の事、人生で大切な事を常に語っていた。  26歳のマーク、パリを離れバニュルスでの人生を決意ピ エールのお兄さんのマークは重大な決意をした。26歳の時だった。おじいさんから話を聞いていた、家族の原点であるバニュルスの家に戻ることを決意。1974年、一つ年下のピエールは若干25歳だった。1980年には弟のチェリーも参加。それまで、曾おばさん(99歳まで生きた)が孤軍奮闘して守ってきたレクトリーが活気を蘇らせた。当時はすべて農協に葡萄を売っていた。しかし、農協の経営に陰りが見え出した頃だった。当時のバニュルスの農家と農協は、売れなくなった酸化ぎみの天然甘口ワインを何の疑問も持たずにせっせと造り続けていた。 農協脱退を決意 新参者であり、おじいさん譲りの経営感覚を持ち備えていたパルセ兄弟は農協から脱退することを決意し、1984年より自分達でワインを造り、RECTORIEの名で販売を開始した。 目的はバニュルスの偉大なテロワールを表現するワイン造りだ。 バニュルスのテロワールはボルドー、ブルゴーニュにはできない偉大なるワインの可能性がある。パルセル兄弟はこの偉大なテロワールが、まだ世界の人達に知られていないことに喜びと遣り甲斐を見た。それまで、ここバニュルスでは超完熟し過ぎた、焼けたワイン、アルコール香のするワインがほとんどだった。スティル・ワインで酸、ミネラル、果実味のバランスのあるワインは当時皆無だった。 天然甘口ワインは、酸化臭、酸化色のものばかりだった。テロワールの表現とは程遠い存在のワインばかりだった。これらの改良に乗り出した。             RECTORIEの館の窓から見た葡萄園、この山全体がシストの岩盤土壌だ。 1−CUVEE ARGILE BLANC アルジル AOC COLLIOURE BLANC フレッシュな酸、完熟感のある果実味,すべてを支えるミネラル感。どこにもないスタイルの完璧な白ワイン.シスト独特のミネラルが特徴。 葡萄品種             グルナッシュ・グリ80%      ブルナッシュ・ブラン20%                平均樹齢50歳         収穫量/H 20HL/H    手摘み カジェット箱 空圧プレス 樽発酵、樽熟、新樽20% シュール・リにて熟成 2-ROSE 赤に近い薄いルビー・ロゼ、ベリー系の果実味、辛口でフレッシュさもある。勿論、シストのミネラルがきっちりしめてくれる。食事合わせたいロゼだ。他に類のないロゼのスタイル。 葡萄品種  グルナッシュ、カリニャン、シラー、クノワーズ 平均樹齢50歳 翌年4月に瓶詰 一部一晩のマセラション後プレスにかけ、そして樽発酵、樽熟、 10%の新ダル、シュール・リ、バトナージ。 3-COTE MERE コテ・メール 今まではコリウール赤は、区画別に名前をつけて出していたが、それぞれの区画の収穫量をさらに下げたことにより区画別ワインの出荷が困難になってきた。よりシンプルに、高品質にする為に2種類の赤ワインに集中することを決意した。 気軽に飲める果実味を中心のワインをCOTE MEREコテ・メールとして、テロワールを最大限に発揮したワインをCOTE MONTAGNE コテ・モンターニュとして出荷することを決めた。 実に心地よい酸をともなった熟した果実味が中心  勿論、シストからくるミネラルが背骨を構成している。 葡萄品種  グルナッシュ50% 、カリニャン25% 、シラー25%  樽熟70%、フードル(大型木ダル)30%     4-COTE MONTAGNE コテ・モンターニュ パルセ兄弟が永年かけて完成度をあげていた芸術作品。 過酷なシスト土壌から、こんなにも繊細で上品なワインが出来上がる。まさにテロワールと人との共同芸術の域だ。 シスト土壌が濃縮感と透き通ったミネラル感を与えてくれる。多くの古木が上品さと繊細さを、収穫日の決断がフレッシュな酸をも与えてくれる。これぞバニュルスのテロワール・ワインだ。 葡萄品種  カリニャン 27%   ルーサンヌ 12%   クノワーズ 35% ルーサンヌ 12% ムールヴェードル11% グルナッシュ 15% フードル熟成70%、樽熟成30% 18か月熟成、平均樹齢50歳 VIN DOUX NATUREL 天然甘口ワイン、酒精強化ワイン これもパルセ兄弟が改良したワインである。 褐色化した 酸化臭のしたバニュルスが売れなくなった 5- PARCE FRERE – パルセ・フレール この天然甘口ワインは、ルビー色である程度の酸も備えて いる、フレッシュな果実味豊かな甘口赤ワイン。 酒精強化の時期を、マールがまだ葡萄の房の状態の時にア ルコールを足している。フリーランのみ使用。 6- LEON PARCE - レオン・パルセ 最初の原料ワインは同じ、プレスワインも足して樽熟成を 10か月したものがレオン・パルセである。 奥さんの手料理とワインが最高に美味しかった。