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Mai

POUPILLEのインポーターであるモトックス社のスタッフが、プピーユにやって来た。

プピーユを日本へ輸入してもう何年もたっているけど、毎年、醸造現場を訪問して情報収集するモトックス社。 ネットでも、メールでも豊富な情報が入手できるけど、やっぱり現場に来ないとホントに大切なことは見えてこない。 畑の微妙な変化、近年の天候事情によって明らかに葡萄木の状態が違ったり、フィリップの考え方の進化で栽培方法も微妙に変化している。実際に来て自分の目でみて、質問して確認する作業は超大切。 この中には、もう10回以上訪問しているメンバーもいる。 蔵元の家族と触れ合って、子供達の成長によってフィリップの思考も、生き方も微妙に変化していく。 醸造所もまた新設した部分もあり、発酵槽も新しくなった、樽塾の場所も変化したり、垂直式圧搾機も新たに増やしている。 フィリップは常により良い品質を追求しながら、ベストを狙って進化している。 このレベルからの進化は、小さなコトの積み重ねが、少しずつフィネス、上品さへの進化に繋がっていく。 こんな小さな積み重ねの一つ一つは、実際に現場にこないと気付かないことが多い。 特に、フィリップは熟成のやり方、期間の長さを大切にしている。特に樽の使い方は天性のセンスがある。 こんな微妙は変化に気づき、即、質問攻めするモトックスメンバーの熱心さは凄いものがある。 フィリップもメンバーの熱心さに、感謝、感動していた。 ☆ボルドーのワインは、テーブルでその威力がわかる。CHEZ POUPILLEにて☆ ボルドーワインは大人のワイン。 造りたてのワインを飲んで、スイスイと体に入っていくスタイルではない。 濃縮感の中にある旨味がジワリとでてくるには、熟成が必要になる。

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Mai

Poupille Atypiqueプピーユ・アティピックを醸すフィリップとは30年前からの付き合いだ。

知り合ったのは、フィリップが20歳の時だった。 子供の心を持ちながら、自分の決めたことに突き進むPassionは今も変わらない。 30年前からワインを造らせたら、自分を転写したようなワインを造る。 ボルドーでSO2ゼロのワインを誰よりもはやく造った男だ。 “Atypique アティピック” ボルドースタイルのワインを理解するには、時間と文化が必要。 最近の若いワイン愛好家の皆さんは、造りたてで直ぐスイスイ入っていくワインを求めている人が多い。 ボルドーワインには、チョット時間的なものと、テーブルで飲まれる食との融合を考慮する“ゆとり”のようなものがあると評価しやすくなる。 Atypique アティピック、この濃縮感の奥にある透明なテロワールを感じさせてくれる美味しさに、感動させられる。。 これがボルドーのワインなのだ。ウーン、やっぱりボルドーだ! 特に、このAtypique アティピックはSO2ゼロゼロで醸造されている。 常に完璧を求めるフィップは、細心の注意力でこのワインを醸している。 ホントに完璧な葡萄を収穫した年しか造っていない。 何故?  自然な造りだからと云って、“欠点”のあるワインを絶対に許さないからである。 Atypique アティピック、なんて美味しいんだろう。 ボルドーでワインを始めた私の根底には、やっぱりこのボルドーが流れている。 フィリップは、カスティヨンでも早くビオ栽培に転換して、カスティヨンのエリアをすべてBIOにするために運動している。 プピーユの葡萄木は、サンテミリヨンから続いている同様な石灰質土壌の地中深くに根が入り込んでいる。 微生物がイキイキしている土壌は素晴らしい。 やっぱり、美味しいワインは、畑、土壌が命です。 ボルドーの本物ナチュール“Poupille Atypique プピーユ・アティピック”美味しいですよ! まだ、日本にも在庫が僅かにあるようです。 (Poupilleのワイン、日本での問い合わせはモトックス社です。)

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Fév

カスティヨンの暴れん坊プピーユ参上!

<フィリップ・カリーユとは> この男、日本では特に有名である。 1990年に彗星のごとく現れ、専門家によるブラインド・コンテストでシャトー・ぺトリュスと最後まで選考に残り、一躍、グラン・ヴァンだけでない、プティ・シャトーブームの先駆けとなった。 最近では、週間モーニング「神の雫」にも取り上げられ、その勢いは留まることを知らない。 彼は、18歳でボルドーを離れ、南アフリカで3年ギリシャで8年ワイン造りを行っている。 その他にも、アメリカ、チリ、ドイツ、オーストリア、世界各地を訪問してワイン造りを経験している。 その当時の彼のことを自分で「フライング・ワインメーカー」と呼んでいる。 まさに。 現在、フィリップ・カリーユ氏は今年41歳になる、6歳の娘アリス、2歳の男の子ピエールと奥さんの4人家族。だいぶ人間も身体も丸くなってきた。 彼のワインが日本に紹介されて15年以上、もう20回は日本に来ているだろうか、私自身もフィリップとの付き合いは10年近くなる。彼の性格を一言で言うと、とにかく無茶苦茶。超負けず嫌い。 ボルドーの星付きのレストランで、周りの人間が冗談でさすがのお前もこのテーブルの上には立てないだろうと言ったら、すぐに立った、しかも靴のままで。。。 また、この15年間の間に、彼との一気飲み勝負で潰された人間もかなり存在する思う。 そんな彼に付いたあだ名は「ナポレオン」、まさに傍若無人なその振る舞いから来ていることは 間違いない。 <フィリップの考える自然なワイン造り>  さて、その彼が、今回、輸入元の株式会社MOTTOXのオーガナイズのもと、東京、名古屋、京都、神戸と走り廻った。プピーユのぶどう畑は、昔から極力自然な栽培を行ってきたが、2004年より全ての区画にて有機栽培をスタート、2006年ヴィンテージからは、有機栽培の認証も取得する。 有機栽培を始めた理由は、哲学的やイデオロギー的な理由ではなく、環境問題。 自然なぶどう畑、土壌、すべての環境を汚すことなく次の世代に渡したいと考えてとのことである。 自分に子供、家族、守るべきものが出来て、この環境の大切さを実感したのである。  そこで、土壌を汚染する、農薬、化学物質の使用を一切やめたのである。また、川など水源を 汚さぬよう、ワインの醸造や、洗浄に使用した排水は全て、浄水設備でろ過してから川に流している。  また、剪定のぶどうの枝を燃やした熱を循環させ、シャトー全体を暖める設備を造り、年間13トンのCo2の排出量を減らすシステムにも設備投資している。また、有機栽培で認められているボルドー液などの散布も極力抑えるように、各ぶどう畑の区画に、センサーを設置し、ぶどうの状態(気温、湿度)などが一瞬にして、パソコンで見れるようにし、ぶどうの状態をいつでも監視できるようにし、病気などの問題が起きた場合、初期の段階で対処できるようにしている。そして、ソーラー・システムも設置の予定。 この男は、なんでもやりだすととことん突き詰めていく。遊びも、仕事も、なんでも中途半端ということができなのであろう。  このような考えのフィリップが造り出した、スペシャルキュべが、プピーユ・アティピック。 更に、醸造において酸化防止剤の使用ゼロ、ビン詰め前も無添加のワインである。樹齢70年以上 メルロー100%で、新樽100%使用、その味わいはというと、まさにピュアな果実味の凝縮! 樽のニュアンスは、きれいにワインに溶け込み、エレガントかつ、しっかりとした骨格を持つワインに 仕上がっている。まさに、ボルドー、フランスという枠も超えた、他に比べ用のないスペシャルキュべである。シャトー・オーゾンヌのオーナーが、このプピーユ・アティピックの大ファン、このワインには、ファンタジーがあると絶賛している。 <フィリップの更なる挑戦> 現在、ボルドーのワインは、一部のグラン・ヴァンを除き、かなり厳しい状況にある。 ここしばらくの画一的な個性のないシステマテッィクなワイン造りが原因であろう。 そんななか、「自然」というキーワードが未来を切り開くと考え、同じ、コート・ド・カスティヨンの 生産者にこの有機栽培を勧めている。この地区には、3500haのぶどう畑があり、約300の蔵元がある、 それらを全て有機栽培にし、フランスで初めて、いや世界で初めて、唯一の有機栽培のアペラシオンを 育てようというのだ。まだまだ時間は、かかるであろうが、この男ならやりそうだ。 <プピーユ旨さの秘密は樽にあり???>   彼はワイン造りにおいて、樽の木の原産地を毎年のぶどうの出来によって変えている。樽にぶどうを合わせるのではなく、ぶどうに樽を合わせるのである。  年のぶどうの出来により、リムーザン、トロンソー、アリエ、ヌベールなどの樫の木から造られた 樽を選ぶ。それぞれの産地のより、木の持つタンニンの量も違うわけである。  そして、最大の彼の秘密というか秘密兵器「オクソライン」。 これは、写真を見ていただくほうが、分かり易いと思うが、彼の熟成庫では、樽をスチールの丸い枠にいれて、縦に保存する。 このスチールは、くるくる廻るもので、これを手でグルグル定期的に回すことによって,樽のなかのジュースと澱がよく混ざり合い、ぶどうの皮からくる旨みが抽出できるわけだ。  通常は、樽のふたを開けて、器具を入れて攪拌するのだが、そうすると、酸化が進むし、バクテリアなどの混入のリスクもあるため、酸化防止剤の使用が必要となるわけである。  この「オクソライン」を使用することにより、酸化の心配なく澱の旨みを抽出できるのである。 この樽の使い方が、プピーユにおいては樽100%熟成(新樽80%)させても、樽臭くなく、また、ぶどうの果実のピュアな凝縮を感じる秘密である。 <日本食大好き>  フィリップは日本食大好き。普通のフランス人なら口にできない、蛸の刺身をお替りし、納豆も食べられるとのことである。 こちらが「何食べる?」と聞くと「日本食」という返事が速攻で返ってくる。帰国前の夜は、山本益博さんご家族と、「てんぷらみかわ」で美味しいてんぷらを堪能して帰った。 この1週間、フィリップとともにいて精も根も尽きたような気もしたが、いなくなるとなったで急に静かになってしまい、なんだかぽかっと空間に穴が開いたような気がした。  フィリップ・カリーユ、不思議な魅力の持ち主である。時として繊細で、時として冷静で、多くの部分でクレイジーである。とにかく存在感は人一倍である。  まだまだ進化する男である。